第拾仇話
戒翔達が奴隷に会いに行く事になりそこに向かう中…
「その奴隷たちはどうするんだ?没収したはいいけどまた流すとかっていうなら構わないけど…?」
「それなのだが、戒翔が拠点にしようとしている宿…確か、眠りの森って名前の宿よね?」
「ん~、確かそんな名前だった筈だね。それがどうしたんだ?」
「そこに戒翔様が良ければですけどあの子達を雇ってあげてくれませんか?私たちには養うだけのお金が、つまり国庫が危ない状況なのです。ですから」
「…その没収した奴隷の処分に困ったから俺に譲る…と?」
「そう言う訳ではないのですが…。」
戒翔のその不機嫌Maxな言葉にリオは委縮する。
「戒翔様、申し訳ありません。ですが、私達の所でも厳しい状況なのです。ギルドの他にも捕縛して貰いましたあの冒険者によって我が国は切り詰めているのです。」
「分かった。もういい」
戒翔はシオン女王の言葉に参ったとばかりに両手を上げた。
「その子達の意志も確認して向こうの宿に住み込み寮を建てる準備も始めなくてはいけないな。」
「では…?」
「早合点しないで欲しい。あくまでも彼女達の意志で決めて貰う。」
「分かりました。それとこの部屋になります。」
リオの先導の下で一つの部屋に辿り着いた。
「リア、私よ。開けてくれないかしら?」
「少々お待ちくださいぃ~」
部屋の中からやけに間延びした声が聞こえてくると同時に扉が開くと双子なので当然だがリオと瓜二つの容姿だが、リオの様に活発な様子は見られずに逆におっとりとした雰囲気を醸し出している事に戒翔は少なからず驚愕を覚えた。
「君がリア王女? (双子だと言うのに此処まで雰囲気が違う者なのか?二卵性なら納得のいくようなものだが…)」
「はいぃ~。私が第二王女のリア・インゴベルト・スペイサーですぅ。」
ユックリだが、その口調は王族としての気品のある喋り方と振る舞いに戒翔はただの不思議な天然娘ではないなと感じる。王女相手に今更ながらに不敬罪で処断されかねない事である。
「それでリオ、彼女達は?」
「経過は良好ですが、男性を相手にした接触と会話はしていないので安全かは判断しかねますぅ。」
「そう、戒翔様。そう言う事ですがどうします?」
「…一応面談はしておかないと話が始まらないな。」
戒翔がそう言うとリアは難しい表情をするも戒翔を部屋に通すと戒翔とそんなに変わらなさそうな6人の少女が立ち位置が違うものの戒翔を目の前にして怯える者、敵意を向きだす者、絶望したような虚ろな目をした少女と様々な表情をした少女がいた。
「…これは酷いな。リア王女、彼女達の精神状態は大丈夫なのですか?」
「ある程度は大丈夫なはずですが男性相手には試していないですぅ。」
少女たちをよく見ると耳がツンと尖り、目鼻が整っている長髪のブロンドのエルフと思われる少女に犬耳を生やした藍色の髪を持った獣人の少女。赤茶色の長髪で背中から純白な羽を生やした鳥人の少女。褐色の肌を持ち、他の少女達とはどこか距離を置いた雰囲気を持つ不思議な少女…最初に見たエルフの少女と似通った箇所があるが混血なのだろうと思う。そして、一番酷いのが双子の奴隷である。他の少女達とは違い頭一つ分小さいが背中に生えた半透明の4対の羽に尖った耳。草色のワンピースを着た双子の妖精は蒼と緋と違う髪色をしているが同じ所は全てに絶望し、生に対して無気力な瞳で戒翔を仰ぎ見ているだけで他の少女達とは違い表情に大きな変化を見せずハイライトの抜けたガラス球の様な瞳であることだ。
「リア王女。彼女達が?」
「はい。其方のエルフさんがネルさんで、犬耳の少女はケイさんです。そして、ハーピィの方はミリィさん。ダークエルフのクノンさん。そして双子の方が髪色が違いますが蒼色の方がリンさんで、緋色の方がルナさんです。」
リアの紹介に戒翔はその少女達の顔を見ようとすると異様に体をビクつかせる者に敵意を向けて来ていた少女はより強い敵意を露わにして警戒をしてくる。
「…やれやれ、警戒されている上に敵視されるか。やはり不当な扱いを受けていたのか。」
「そのようです。ヴィンセント元騎士団長補佐官は色々とアクドイ事に手を出していたと噂されていた人物でしたから十分に在り得た事です。中には廃人になって処分されてしまった少女もいたようです。」
リアの言葉に戒翔はいち早く反応する。
「処分…だと?命をなんだと思っていやがる!あの下種は…!」
思わず近くの壁を思い切り殴り付けてしまい陥没させてしまい少女達が一層怯えてしまった。
「いかんな…。今日は出直す事にするよ。リア王女、冒険者になった後でも彼女達に会っても構わないですか?」
「大丈夫ですよ~?むしろ彼女達と交流を深めて貰えればもしかしたらこれよりも良くなる可能性もありますしぃ」
戒翔はその言葉を聞いてありがとうと言って踵を返す。しかし
「待て。」
目の前にはダークエルフの少女、クノンが立っていた。それに戒翔は面喰いながらも目線を合わせる為に少女の前にしゃがみ込む。
「どうしたのかな…えっと、クノンだったか?」
「お前は私達の敵か?それとも味方か?」
「それはどう言った意味だ?」
「そのままの意味だ。わたし達の中ではわたしが一応だが姉の役割をしてこの子達を護る事が義務だ。…それで質問に答えろ、貴様はわたし達の敵か?それとも味方か?」
クノンの言葉に戒翔は口を開き
「勿論、味方だ。といっても言葉だけでは信じられないだろ?だから、冒険者となった後でも此処に通い続けて君達の心が癒されるまで待つよ。」
戒翔の言葉に今度はクノンが面喰っていた。
「前の胸糞悪い奴とは大違いだな。貴様は…いや、貴方は心地のいい雰囲気をお持ちの様だな。」
クノンの口調の僅かな変化に戒翔では無くリアが驚いていた。
「それは好印象ととっても構わないのかな?」
「た、多少信頼出来ると感じただけだ。図に乗るな!」
戒翔のはにかむ顔を見てクノンは耳を赤くしながらも顔を背けて突っぱねるがその照れている事は隠せていないのである。
「お兄さんはわたし達を虐めないの?」
エルフの少女が戒翔のマントの端を僅かに掴んでそう聞いて来る。
「虐めるものか。きみ達が安心できる環境を作ってみせる。だから信じてくれないか?」
戦々恐々といった感じの少女の頭を撫でる。最初は緊張して固かった体だが、次第にその緊張で固まった体の力が次第に抜けて行くのを感じた戒翔は僅かに安堵していた。
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