第拾伍話
戒翔殿、此処が宴の場所になります。」
サラの先導の下、戒翔は煌びやかになった大広間に通された。
「戒翔殿か、先程あったばかりだな!」
「シュウ殿だったか?」
「おぉ!さっそく名前を覚えて頂いたようで嬉しいな!」
会場に入るなり近付いて来たのは先程の待合室で会ったエルフ族の男性のシュウがワイングラスを片手に持って豪快に笑う
「シュウ将軍、その方が姫様のお命を救った御仁か?」
長髪のブロンド女性が純白のドレスを身に纏いその色香を惜しげも無く周囲に振り撒きながら此方に近寄って来る。
「ミオンの嬢ちゃんか。騎士団の連中はどうしたのだ?」
「彼女達には彼が強烈かと思いまして少し離れた席で楽しんでいますわ。」
シュウが聞くとミオンと呼ばれたその女性は程よく焼けた褐色の肌を仄かに赤らめていたがしっかりとした柔らかい口調でそう告げた。
「俺が強烈…ですか?」
「顔や体格ではなくてだね…君の持つ魔力が強烈なの。」
「魔力が?」
「私達の騎士団はサキュバスやエルフと言った魔力保有量に探知などに長けた種族で構成された騎士団なの。その彼女達…もちろん私もそうなのだけど君の魔力は下手な媚薬よりも強力なの。現に私も近くにいるだけで上等の美酒に酔った状態になりかけているのよ?」
そう妖艶に笑う女性、ミオンに戒翔は一瞬だがドキリとする。年頃の少年では仕方ない事だと思いたい。
「シュウ…さんは王都防衛騎士団でサラが王女近衛騎士団と…。貴女は?」
「自己紹介が遅れたわね。私は魔法騎士団団長のミオン・グラッセよ。気軽にミオンと呼んで頂戴ね?因みに種族はダークエルフよ。」
「魔法を使うのに騎士団?」
「魔法を使うけど近接戦闘も王都防衛や近衛騎士団の連中に負けない者しかいないわよ?」
「ある意味では彼女達が我が王国の最強だと思う事が多々あるのだ。」
「謙遜しないで下さい。貴方方防衛の要がいてこそ私達魔法騎士団は大いに力が行使できるのですよ?」
「んなものせぬよ。儂は正直に言っとるだけじゃ。儂は450を迎えるが嬢ちゃんは120歳ってところだろ?その歳でこれだけ効率の良い部隊運用が出来るだけで有能な者と判る。解らんのは馬鹿なだけじゃ。のぅ、姫様?」
「そうね。ミオン達がいるだけじゃこの国は守り切れていないわ。防衛騎士団に私直属の近衛騎士団に魔法騎士団、それにお母様の十人からなる近衛部隊、そして国の要となるのは一つの部隊や騎士団では無く結束した皆の力があってこそ今の国があるのよ。王族、貴族の前に民がいなければ国は成り立たないわ。」
シュウの後ろから現れたのは戒翔達がこの国に来る切っ掛けとなったリオ・インゴベルト・スペンサー本人っが真っ赤なドレスに身を包み、最初に会った時のポニーテールでは無く白銀の髪下ろした姿であった。
「ひ、姫様!?」
「ミオン、そのままでいいわよ。祝いの宴の場でその様に畏まる事でもないわ。」
「は、はい。」
「それでシュウ・グランガイツ将軍。先程の言葉は私も馬鹿者と言う事かしら?全員が揃わなければ意味が無いと言ったのだけれど?」
「…ははは、これは失礼申し上げました!その様なつもりは無いですな、ただの言葉のあやと言う物ですじゃ。」
「そう、それなら良いわ。戒翔様、宴の席は楽しんでもらえていますか?」
「(戒翔様? )まあ、楽しませて貰っているな…食事も飲み物もこの世界に来なければ味わえない物ばかりで新鮮そのものだよ。」
「それは良かったです!」
戒翔の言葉にリオが頬を染めて花の様に咲き笑う。
「姫様、公の場ではなくとも一人で先に行かれては困ります。」
更に後ろの方からピシッとスーツ姿で現れたのはグレーの髪をサイドテールに結って褐色の肌に軽く化粧をしたサラであった。
「サラ…?」
「か、戒翔殿…!」
サラは戒翔と対面した瞬間、広場での出来事と待合室でシュウに言われた事を思い出し赤面する。
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