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第拾参話



 戒翔が王城の庭で暴れる少し前に遡る


 「おっさん、そこの木材と大工セットにその木箱を頼む。」


 「まいど、合わせて200Gだ。」


 「これで良いかな。」


 此処で改めてこの世界の通貨の説明をすると小銅貨、銅貨、銀貨、新銀貨、金貨、純金貨、白金貨の七種類の硬貨からなるが小銅貨が10円、銅貨はそれの10倍で更にその倍で次の銀貨となる。最終的な金額として白金貨は日本の金額に換算すると1000万となる。そして、祐樹の支払った代金の200Gだと銅貨二枚分である。


 「さて、次は中の改装に使う布類と食器に酒や食材…他にもあるな。」


 祐樹は手に持ったメモとステータス欄のスキルを選択する


 「えっと…値引き30%のバフを設定して交渉術のスキルをセットして…口八丁のバフも追加っと」


 なにやら歩きながらブツブツと呟く祐樹は知らずの内に色々と商人泣かせなスキルを発動させていたようだ。


 「流石に半額はやり過ぎたな…」


 此処に出向く前に修理を頼んだ時の大工さん達の請求してきた費用に対しても値引きのスキルを使ったが半額設定でミレイ達母娘たちを驚かせていた事を思い出す。


 「Magic&swordの時の癖で節約根性丸出しで言ったのが不味かったな…。少しは自重しないと直ぐに目立っていけないな…。」


 そのまま祐樹は商店街を物色しながら練り歩く。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 そして、戒翔はと言うと


 「あ~、なんだ、そのスマナイ。非常時とはいえ補佐の者を潰してしまって」


 城の一室に招かれておりサラと正面から向き合いバツの悪い表情で謝罪する。


 「いや、気にしないでくれ。そもそも奴の方が悪いのは明白だ。奴の爵位は剥奪され、所有していた物は全て没収された。後はその分配なのだが…エルフやフェアリーと言った種族の奴隷が何人かいる位で家は悪趣味の塊と言えるな…。」


 「…取り敢えずその悪趣味の塊と言うその家は売るなり解体(バラ)すなりするのが今後の為に良いのだろうな。奴隷の方は…あの宿の従業員として働かせるのが良いんじゃないのか?どうせ騙されたとはいえ借金を持っている者は住み込みで働き、人買いにより奴隷にさせられた者に関してはある程度国の方で面倒を見るのだろう?」


 「まぁ、そうなのだがな…」


 戒翔の言葉にサラは歯切れの悪い答え方をする。


 「…その様子だと国の重鎮達が難色を示していると言う所か?」


 「…聡明なのも困り者だな…。そうだ、国の老人達が渋っているのだ。奴隷なぞ養う金はこの国には無いと…。」


 「女王の意見は?」


 「重鎮達で塞き止められて王女様の所までその事が届いていないのだ…!」


 「…成程な。なら、その老人達とOHANASIして来ればいいのだろう?俺が直々に出向いて行くか…。」


 「不吉なニュアンスに聞こえたが気の所為か?そもそも、重鎮で阿呆な呆け老人で老害なヤツラだが一部の者は国の根幹部分に携わっているのも事実でなんともやり辛いのだ。」


 「…サラも大概だな、人の事を言えた義理ではないが」


 そこへ扉をノックする音が聞こえる。


 「姫様か?少々お待ちください!」


 席を立ち応接室の扉をサラが開けると


 「あ、貴方様はっ!?」


 「おぅ、サラの嬢ちゃんが面白い人族を連れて来たってんで覗きに来たぞ!ワハハハハッ!」


 現れた人物は蒼い色の軍服に純白のマントを羽織り右目にモノクルを付けた壮年のエルフで将軍の様な出で立ちだった。


 「シュウ将軍!いつお戻りになられたのですか!?」


 「いや、ついさっきだ。ウチの王都防衛騎士団の連中が王女近衛騎士団の団長が連れて来た人族が副団長の人狼族を斃したと聞いてな?一目見に来た訳だ。で?その噂の人族は…お主か?」


 値踏みするような視線を感じ、すぐさま戒翔は不機嫌を露わにして敵意すら抱く。


 「…そうだが、観察するのならもう少しさり気無く出来んのか?その虫を観察するような視線を引込めなければ前のあのヴィンセント同様に潰すぞ?」


 「ははは、スマンスマン!これも儂の性分一つなのだ。長生きすればその分新たな発見と言うモノはあるからな。儂はそれの観察が趣味と言う訳なのだよ!」


 戒翔のその言葉に豪快に笑うシュウは近くに座りバシバシと戒翔の背中を叩く。


 「…で、此処にアンタほどの人間が来たと言う事は先程の騒ぎの件の処遇…か。」


 「…察しが良くて助かるわい。お主の処遇なのだが、そこのサラの嬢ちゃんの副官の代役を頼みたいのだ。副官と言うのは時に団長の指示を仰がずとも臨機応変に対応できる人物でなければならんのでな?」


 シュウのその嬉々とした表情から告げられた言葉にサラと戒翔の2人は唖然とした。



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