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第拾弐話



 「オオォォォッ!!!!」


 獣化したヴィンセントが迫る中、戒翔は軽やかなステップを踏みながらその豪腕から繰り出される攻撃を躱して行く。


 「無駄に変身をして威圧した所で無駄な事を…」


 尚も迫る腕を躱しつつ戒翔は


 「そろそろ飽きたな…光明聖剣(レム)


 戒翔は合掌の姿勢から片方の…左手の方で何かを掴む様にしてその場から引き抜く動作に入る。すると掌から剣の様な物が神々しいまでの光と共に迫り出して来る。


 「な、なんだそれは!?」


 見た事も無い武器の出現とその取り出し方に驚いたヴィンセントはその場で固まる。


 「貴様に教える事では無いし…知る所でもないはずだ。これから貴様には真の恐怖というモノを教えてやる。」


 「クッ…ん?あれは…」


 悔しそうな顔をする中でヴィンセントがある方向を見てニタァと笑みを零す


 「何処を見ている…?」


 「そこだッ!」


 「キャアァァァッ!?」


 戒翔が余裕を残して後ろを振り向くとヴィンセントはその巨体からは想像の出来ない速度で迫り遙か後ろにいた筈のサラをその手に掴み天に高々と掲げる。


 「ハハハハ!これでも手が出せるかな?」


 「…いよいよもって下種な性格をしてる様だな。聞くとは思わんがサラを離す積もりは無いのか?」


 「大切な人質を簡単に手放すと思うか?貴様こそその剣をさっさとその場に置け!」


 「戒翔殿!私を気にせずこの愚か者を斬り捨てろ!」


 「余計な事を言わないでもらおうか?この雌が!」


 「グゥッ!」


 「この剣を置けば良いのだな?」


 「そうだ!変な動きをしたらこの雌を握りつぶすからな。」


 「…お前は口調が安定していないな。」


 「余計な事を喋ってないでその剣を置いたら後ろに下がれ!」


 「か、戒翔殿…」


 「サラ、俺を信じろ直ぐに助け出す。」


 「丸腰の状態で粋がるなよ!この豚が!」


 「…その豚に貴様は今から処刑されるんだよ!」


 そう言った瞬間、戒翔の姿が霞んだ。


 「は?」


 ヴィンセントが呆けた様な声を出すが次の瞬間にはサラを掴んでいた腕に違和感を覚え、そこに目をやると…


 「俺の腕がァァァァァァっ!?」


 ヴィンセントの視界には二の腕の先からバッサリと切断された腕があり切断面から鮮血が溢れだす。


 「なにも剣が無くとも貴様の腕を切断するなど造作も無い…」


 「か、戒翔殿…」


 「直ぐに終わらせる。そこの貴様、団長の警護をしておけよ?万が一あそこの下種と似たような事をすれば命が無いと思え」


 戒翔は即座に距離を詰め二の腕を切断しサラを助け出すという行動の一連の動きを一瞬で果たすと後方で呆然としていた兵士の近くに降り立つとそのままサラを渡して脅しまがいの事をして頼みその場を後にしてヴィンセントの下へと戻る。


 「グルルルルルル…貴様、モウ許サンゾォッ!」


 「それは此方の台詞だ。持ち主を殺してまで手に入れた武器に形勢が悪くなるとサラを人質にしたりと戦士の風上にも置けぬな…。」


 「黙レ!原型ヲ留メル事無ク八ツ裂キニシテクレル!」


 怒りにより言語が怪しくなってきたヴィンセントに戒翔は


 「この手に戻って来い【レム】」


 そう告げるとヴィンセントの目の前に刺さっていた【レム】は眩い光と共に戒翔の手の中に収まった。


 「馬鹿ナ!ソンナ簡単ニ回収出来ルノカ!」


 「俺の武器(相棒達)は特別製だからな…これで終わらせてもらう…」


 「クソオォォッ!!!!」


 「光の前に平伏すがいい…【光の斬撃ライトブレイザー】!」


 戒翔の振るった剣の軌跡をなぞる様にして光の筋が出来上がりソレはヴィンセントの体を二分するには苦労せずに終わった。


 「さて、これで終わったな。…しかし、この後の後始末はどうしたものか。」


 戒翔は倒れ行くヴィンセントは既に興味が無いとばかりに背を向けた。その倒れ行くヴィンセントの中からナニかが這いずりだす事も感知しておきながら…


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