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第1話 あの日、夏が始まった

その年の夏は、いつもより少しだけ早く訪れた。6月の終わりだというのに、真昼の陽射しは既に盛夏を思わせる強さで、肌に当たるとじんわりと熱が伝わってくる。風は湿り気を帯び、少し重たく感じられた。


何も特別なことはない、平凡な日々が続いていたはずだった。だけど、そのときの私は、理由もなく胸がざわつくのを感じていた。まるで、どこか遠くから何かが近づいてくるような――そんな予感が、心の片隅にずっと引っかかっていた。


そんなある日、いつもの通り道で、不意に見慣れない風景に足を止めた。目の前には、まだ見ぬ季節の予感と、これから始まる何かを告げるように、青い空が広がっていた。


その日は、特に目的もなく、ふらりと街へ出かけた。いつものカフェでアイスコーヒーを頼み、涼しい店内でぼんやりと窓の外を眺めていた。何気なく行き交う人々の姿を目で追いながら、頭の中では夏の計画をぼんやりと思い描いていた。けれど、特にこれといった予定もなく、ただ毎日がいつも通りに過ぎていくだろうという予感しかなかった。


そんなとき、ふと視線を感じて顔を上げると、カフェの入り口に見覚えのない人が立っていた。短い黒髪が陽光を受けて輝いていて、白いシャツが涼しげだった。彼の視線が、まっすぐにこちらを捉えていることに気づき、思わず目を逸らした。

(誰だろう、知り合いかな?)

心の中でそう呟きつつ、再び視線を戻すと、彼はもういなかった。いつの間にか店を出て行ったらしい。少しだけ心に残る違和感を抱えながら、私はまた窓の外に目を向けた。けれど、今度は風景が何だか少し違って見えた。まるで、世界が少しだけ動き出したかのような、不思議な感覚だった。


その夜、家に帰ってからも彼の姿が頭から離れなかった。あの人は誰だったのだろう?なぜ、あんなにも強く視線を感じたのだろう?まるで、彼に出会うことが、どこかで決められていたかのように。

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