殿様のロンド
「かのような奴ら、顔も見とうないわ!早々にブタ箱にぶちこめい!」
「ははっ、仰せの通りに・・・!」
殿様の横暴にも困ったものである。
ここはギナ国。一説によると偽那国という字が当てられるのが本当だという説もあるが、定かでない。
我が国の殿は、君臨するや否や「宮廷遊郭」という珍妙な制度を作り出し、欲望のままに振舞っている。
娘たちは意気揚々と志願してくるが、あまりのおかしな殿の性癖に、
殿様をバカにしたような態度がついつい出てしまう。
そしてお決まりのように「ブタ箱」にぶち込まれてしまうのだ。
その者たちの行く末は悲しいものである。
何とか殿の許しと信用を得れば、宮廷飯炊き女として生き延びることもできる。
宮廷遊郭の秘密を口外しない、とよほど殿が確信すれば、娑婆に戻る例もなくはないが例外的だ。
それ以外の例は・・・いや、私も曲がりにも宮廷仕えの身故、滅多なことは口にできぬ。
年頃の娘たちの間で、宮廷遊郭は天国のような所らしい、と噂されることも多いらしい。
殿のきつい命令で宮廷遊郭の実態は絶対の秘密とされているのである。
だが本当はとんでもないところであることは、知っているものは知っていることである。
今日も、新しい志願者の娘がやってきた。
「どれどれ、なかなか良い女ではないか、では・・・」
輪舞曲は続くよどこまでも―