第98話 硬氷壁と絶対零度
「ん、んん。ここは、........。」
「か、カエデ様。カエデ様。大丈夫ですか?。」
「婆や、婆やなの。」
「はい。」
「わたしは、........。」
「ダンジョンで、アイスゴーレムに攻撃されて、意識を失っておいででした。」
「あっ!、そうだわ。あの時、玄斎様の声がして。」
「玄斎?。玄斎とは、創始者の玄斎様で、いらっしゃいますか?。」
「ええ。私、玄斎様に会ったわ。」
婆やは、カエデが玄斎様に、会った夢を見たのだと思った。
「カエデさん、大丈夫?。」
「ライト、助けてくれたのね。ありがとう。」
あれ、なんで、知ってるんだろう。
ライトは、不思議だったけど、魔法を使える自分が、助けたんだと思ってると考えた。
カエデは、自分が倒れていた間の話を、みんなにした。
「わたし、氷雪原玄斎様に会ったの。」
「氷雪原玄斎って、創始者っていう人だよね。」
「そうよ。どこか、不思議な空間だったわ。」
ライトは、また、あの人なんじゃないかって気づいた。
「絶対零度の秘密を、聞いたわ。」
「えっ!!、絶対零度。それって。」
「死にそうにならないと、出来ないって。」
「えっ!、それじゃあ。」
「いえ、無理って、言ってるんじゃないわ。それぐらいの感覚だって、言いたいんじゃないかって思う。温度が、一度でも上がると出来ないって。」
「でも、みんな体温あるよね。」
「ええ、だから、体の半分と少しで体温を保って、残りを低温にして、そこで冷気を練り上げるみたい。危ないから時間が、大事だって。」
「やっぱり、人間の限界に、近い技なんだね。」
「ええ、そうみたい。でも、やるわ。それと、ゴーレムの攻略が分かったわ。」
「えっ!、ゴーレムの?。」
「硬氷壁も、元は、玄斎様の技らしいの。」
「そうだったのか。」
「硬氷壁には、目があるって。」
「目、め、目かあ。それって、凍る時の差があるってことかなあ。」
「え!。ライト。分かるの?。」
「言われてみたらね。なるほど。その目を突けば、破壊できるんだね。」
「そうよ。でも、目を見切るのが難しいわ。わたしは、玄斎様に教えられたけど。」
「そういえば。もしかしたら、.......。」
僕は、アイスゴーレムからコピーした、硬氷壁を出してみた。
「ちょっと、ピピ。こっち来て。」
僕は、ピピの後ろから、右手と左手を取って、
ピピの右腕に向かって、
「硬氷壁!!」
って、やってみた。
「あっ!!」
「やっぱり、出来るんだ。」
ピピの右腕には、アイスゴーレムと同じ、氷のプレートが出来た。
「ライト、それって、技なんじゃ。」
「うう~ん、技っていうか、魔法に近いんじゃないかな。」
「そういえば、ライト。玄斎様が、絶対零度の硬氷壁は、完璧に近いって。」
「ふう~ん、なるほどね。」
「えっ、ライト。どういうこと?。」
「多分、扱える氷属性の温度によって、固さが変わるって言いたいんじゃないかな。だから、一番、低い温度の絶対零度が使えれば、硬氷壁も一番、固いものが出来るってことかな。カエデさん、なんとなく82階の攻略が分かっよ。ありがとう。」
カエデさんは、まだ、休んでもらって、僕は、ピピと婆やさんと、地下の訓練場へ行った。
「婆やさん、ピピ。攻略には、硬氷壁を壊さないといけないから、本物で、目を突ける練習をしたいんだ。だから、氷属性を使える二人には、硬氷壁を使えるようになってもらわないと。」
「分かりました。」
「分かったニャ。」
「じゃあ、また、何回か実際に、一緒になってやってみますね。」
僕は、婆やさんとピピの手を取りながら一緒にやってみた。
「確かに、魔法に近い技ですね。」
「そうでしょう。多分、玄斎様は、魔法というよりも、何かあった時に、無意識でも出せるように、なっていたんじゃないかなあ。だから、技になったと思うんだ。」
「なるほど、確かにそうですね。」
「今は、意識しながらでも、使えるようになれば、いいと思います。」
「分かりました。やってみます。」
「分かったニャ!。」
それから、二人は訓練を続けた。
そのころ、カエデは、一人で部屋で休んでいた。
というより、ベッドで横になりながら、玄斎の言葉を思い出していた。
「まずは、体の半分ぐらいを、冷たくする。」
カエデは、魔力防御を意識しながら、まずは腕から冷たくすることを始めた。
魔力防御を、右腕から外して、氷魔法で腕を冷たくしてみる。
「ぐわああああ!!。」
激痛が右腕を襲った。
「こ、こんなの無理よ。腕が凍ってしまうわ。」
カエデは、腕を摩りながら、玄斎の言葉を思い出す。
全部を、冷たくするんじゃない。
「そうか、一か所でもまとめて冷たくすると、さっきのようになるんだわ。」
温度を保ちながら、防御をして、隣を冷たくする。
その時、窓から風が吹いて、カエデの髪が舞った。
「髪の毛。そうだわ。この髪の毛の太さのように。もっと、体の中で細い、小さな小さな物を意識して、それを広げていけば。」
カエデは、ベッドに横になりながら、以前、ライトに教わった魔力の流れを意識した。
そして、その中に一つの小さい小さい塊を意識する。
それを二つ。
片方は冷たい、もう片方は、今まで通り生きているもの。
「そうだわ。塊だと何か意識が弱いわ。人にしてみれば。そうよ、ライトと私。」
カエデは、自分とライトが、小さくなったことを想像する。
「二人は仲良し。仲良し。私は冷たくなる。ライトは暖かい。一緒に遊ぶ。私が引っ張れば冷たくなって、ライトが引っ張れば暖かい。」
そして、カエデは、人を増やすことを思いつく。
ライト側の人間が一人多ければ、大丈夫なはずだわ。
カエデは、横になりながら、魔力を込めて、冷たい暖かいを繰り返す。
翌日になり、カエデも訓練に加わった。
僕は、昨日と同じように、カエデさんと一緒に、硬氷壁をやってみた。
「分かったわ。やってみる。」
あれ、なんかカエデさん、もう出来そうだよね。
カエデは、午前中は訓練を行い、午後には部屋に籠った。
そして、二日が過ぎたころ、硬氷壁が出来上がる。
婆やさん、ピピ、そしてカエデさんは、硬氷壁を纏って見せた。
「みんな、流石だね。短い時間でよく、出来るようになったね。」
ミーサとポポも呼んで、硬氷壁の目について、カエデさんに説明してもらった。
「でも、動きながら見極めるのって難しいわね。」
「確かにそうね。でも、慣れれば行けるはずよ。ミーサ。」
「分かったわ。」
ミーサと婆やさん、ピピとポポ、そしてカエデさんと僕が、一緒になって訓練をする。
カエデさんに、硬氷壁を纏ってもらい、僕が突いてみる。
「ピシっ!。」
「カキン!!。」
「ピシっ!。」
「カキン!!。」
「ピシっ!。」
「カキン!!。」
そして、
「ピシっ!。」
「パリン!!。」
「えっ!!。もうわかったの?。」
「うん、なんとなくね。」




