第92話 攻略計画
そして、先が見え始めたその晩、みんなで、夕食が終わった後、話をした。
「みんな、短い間に、僕の考えに付いてきてくれてありがとう。今の訓練が終わって、みんなが、技を使えるようになれば、行ける筈だ。」
みんなが頷く。
僕達が死んだと思われてから、1週間が経っていた。
「そろそろ、行っても問題ないか、先ずは、81階の様子を、見に行こうと思うんだ。」
「それって、81階の階段に置いた転移でって事?。」
「そう、今は、それしか、手がないからね。」
「私が、行くニャ!。」
「そうだね。あれから、どうなっているか、分からないからね。スキル持ちの、僕と、ピピで行ってみようか。」
「大丈夫なの?。」
「何とも言えないけど、とりあえず見てくるよ。直ぐに戻る。ミーサ、これ、預かっておいて。」
僕は、指輪の一個を、ミーサに渡した。
そして、僕と、ピピは、転移をして、キングの81階へ向かう。
僕は、指輪の魔法陣へ、魔力を注いだ。
ブワアアアアアアん!!。
そこは、間違いなく81階への階段だけど。
「ピピ、何か静かだね。」
「そうニャ。下には、誰も、居なそうニャ。」
一旦、81階へ、行ってみた。
そこには、確かに、誰もいなかった。
だけど、ゴーレムが居た。
「えっ!、何でだよ。僕達の後片づけしてないの?。」
僕と、ピピは、階段へ戻った。
「ピピ、ゴーレムって、通路から、こっちには来ないんだね。」
「そうニャ。キングは、どのフロアも、入り口を超えて、移動したりはしないニャ。」
「じゃあ、休憩所も、見てみようか。」
「分かったニャ。」
僕達は、80階にある休憩所へ、そっと、行ってみた。
階段の入り口から、休憩所のエリアを、覗く。
「誰も、居ないニャ。」
「テントの中かなあ?。そっと、近づいてみようか。」
僕と、ピピは、フロアに出て、幾つかあるテントの影を移動しながら、本部のテントに近づいた。
途中のテントは、もぬけの殻だった。
そして、本部のテントに近づき、中の様子を伺う。
「兄貴、暇ですねえ。」
「まあな。部隊も、一旦、引き上げちまったしな。」
「次は、何時、来るんでしょうね?。」
「部隊を、もう何組か用意しねえと、無理だろうからな。しばらくは、無理じゃねえか。」
「じゃあ、俺達も、上に帰りましょうぜ。」
「そうだな。今度、連絡が来たら、旦那に聞いて貰うか。屋敷の中に居れば、兵隊にも見つからねえし、いいだろう。」
「上手く脱走をさせて貰ったは良いですが、普通に、町とかに行けないのが、困りましたねえ。」
「そうだな。今はいいが、しばらくすると、外にも行きたくなるだろうしな。」
「でも、兄貴。あのアルフォード様と約束した時に付けた、この赤い印。これって、何でしょうかね。」
「俺も気になって、旦那に聞いたんだが、奴隷の紋章みたいなものらしいぞ。ちゃんと、働いたら消して自由にしてくれるらしい。そうしたら、他の国にでもいって、報奨金で、一生、遊んで暮らせるんだ。」
僕は、ピピに、手で戻ろうと、合図をする。
ピピも頷いて、来た時と同じように、テントの影を移動しながら、階段まで戻った。
「ライト、帰るニャ。」
「よし、帰ろう。」
僕は、指輪の魔法陣へ、魔力を注いだ。
ブワアアアアアアん!!。
僕達は、屋敷のリビングへ戻った。
「ライト。ちょっと、遅いから、心配したのよ。」
「御免。ちょっと、探ってたから。」
「で、どうだった?。」
「81階は、僕達が出したゴーレムのままだったよ。」
「ええ~!。彼奴等、何で、ちゃんと、片づけないのよ。」
「80階にも、行ってみたよ。テントは、そのままだったけど、クロード達しか、居なかった。攻略部隊は、確認が取れたから、地上へ戻っているみたい。確かセバスさんも、そう言ってたし。」
「じゃあ、今なら、行けるのね。」
「そうだね。クロード達にも気づかれないように、寝ている時に向かおう。ピピ、彼奴等が、どういう生活しているのか、何回か確認に、行ってくれないか?。」
「分かったニャ。」
「次に、部隊が下りるのが早いか。僕達が、攻略方法を掴むのが早いか。」
「そうね。頑張りましょう。」
「そうだ、メイサ。僕達は、死んだ事になってるんだけど、君は、それを知らない事にして。誰かに、何かを聞かれても、今は、ダンジョンへ行ってるって、話にしておいてね。」
「あっ!、そうか。転移も、知らなんだね。分かった。攻略中って事にしておく。」
「後、フォルスタッドさんへも、連絡しておかないと。ミーサ、手紙を書いてくれる?。」
「なんて書くの?。」
「まず、最初に、メイサと、何気ない話をしながら、読んで欲しいって書いて。」
「えっ!、何で。」
「多分、近くに、アルフォードの手先が、居るんだ。情報が漏れてる。」
「分かった。」
それから、僕達は、その場で、事のあらすじを話し合って、それをミーサが、羊皮紙に書いた。
「ミーサ。最後に、こう書いて。近くに、アルフォードに精通した奴がいます。赤い痣って。」
「じゃあ、メイサ。明日は、普通に仕事に行って。キングキャッスルで、フォルスタッドさんへ、直接、手紙を渡してくれるかなあ。」
「分かったわ。」
「それと、以前から、ライトが、魔力回復薬を欲しがっていたって、伝えて。」
そして翌日。
メイサは、いつも通り、仕事の為、キングキャッスルへ行った。
メイサは、朝食を済ませたフォルスタッドさんへ、声を掛けた。
「フォルスタッドさん、リンドさん、おはようございます。」
「やあ、メイサ。どうしたんだい。」
「少しお話でもと、思いまして。」
それで、何かを察したフォルスタッドは、メイサと、自室に行く。
「それで、話って何だい。」
「いえ、みんなが、今、ダンジョンへ行ってしまっているので、何か連絡はないかなあって、思いまして。」
メイサは、昨日の打ち合わせ通り、話をしながら、そっと、手紙を出した。
その行為にも、何かを察したフォルスタッドは、同じように、話しながら手紙に、目を通す。
頷きながらしゃべる、フォルスタッド。
「そうかい。行っているのかい。私も気にしていた所だよ。」
それから、何気ない会話をしながら、手紙を読み終わるフォルスタッド。
そして、横にいたリンドにも、手紙を渡した。
不思議そうに、二人の行動を見ていたリンドも、納得する。
「フォルスタッド様も、ダンジョンの中の情報までは、中々入ってきませんよ。」
「そうですか。」
「フォルスタッドさん。ライトが魔力回復薬が、手に入らないかって、言っていました。」
「そうかい。リンド。保管してある物から、渡してやってくれ。」
「分かりました。」
「でも、受け取るまでに、時間がかかるだろう。」
「そうですね、いつ帰ってくるやら。」
そんな会話をしながら、フォルスタッドは、渡された手紙を燃やした。
そして、会話をしながら、羊皮紙に、何かを書いて、メイサに渡した。
「では、失礼します。」
「メイサ。また、何かあったら、声を掛けてくれ。」
「ありがとうございます。」
「メイサ。じゃあ、これを持って行って。」
メイサは、リンドから、魔力回復薬を渡された。
「ありがとうざいます。帰ってきたら渡します。」
そして、メイサは、夕方、仕事が終わると家に帰った。
「ああ~、もう。ライト、めちゃくちゃ、疲れたよ。」
「御免。でも、メイサしか、外出れないから、しばらく頼むよ。」
「それは、分かっているけど。これ貰ってきたやつ。」
「ああ、ありがとう。凄いな、直ぐに、持ってるなんて。」
「後、これも預かったわ。」
僕は、フォルスタッドさんからの手紙を、読んだ。
「ライト。先日、お城で、アルフォードに会ったよ。何か、大変、ご機嫌でね。そうか、君達の事だと、分かったよ。私も、君達が、死んだという事にしておくよ。それに、今は、それも知らない事に。君が、教えてくれた赤い痣、気にしておくよ。今まで、アルフォード絡みで、口封じされた者には、無かった筈だ。」
痣は、無かったのか。
だけど、セバスさんのあの慌てようは、何だったんだ。
それから、僕達は、数日間、訓練を行い、ようやく使えそうな所まできた。
ミーサは、完璧に使いこなした。
カエデさんも、火力は、まだ、そんなに出せないが、使えるようになった。
そして、婆やさんは、元々、火属性も使えた事もあり、問題なく使えるようになった。
ポポも、まだ、完ぺきとは言えないが、何とか温度を上げて、剣を使えるようになった。
そして、カエデさん、婆やさん、ピピの絶対零度は、完成していない。
ブリーニャのお陰で、今までよりも、温度を下げて使える事は出来る。
だけど、絶対零度までは、到達していなかった。
絶対零度を、身につけるには、何か、壁があるようだった。
だけど、今のままでも、攻略には、行けるんじゃないかと思ってる。
「よし、みんな。今までの成果を、一度、試してみないか。」
「試すって、どうやって?。」
「当然、81階だよ。」
「でも、それじゃあ、また、失敗したら。」
「どれぐらい倒せそうか、感触だけだよ。丁度、僕達が出したゴーレムが、出っぱなしだし。」
「じゃあ、入り口辺りで、出来るって事ね。」
「そういう事。」
「ピピ、様子は、どうだった?。」
「彼奴等は、夜遅くまで、お酒を飲んでるニャ。だから、朝は寝ていて、お昼ぐらいまでは、起きニャいニャ。」
「じゃあ、一旦、明日の朝に、行ってみよう。それで、一人一人が、確認出来たら、戻って、行けそうか確認しよう。」
「分かったわ。」




