第91話 それぞれの技
「じゃあ、次は、ミーサかな。」
「えっ!。私は、ライトと同じで、電撃を、這わすんじゃないの?。」
「それもあるんだけど、他のやり方も、在った方が、いいと思うんだ。」
「他のやり方?。」
「じゃあ、先ずは、見本を、見せるね。」
僕は、ミーサの後ろから、右手と、左手に、それぞれ手を添えた。
「ミーサ、剣を抜いて。」
「分かったわ。だけど、この剣、魔鋼は、使って無いから、魔力は通さないわよ。」
「大丈夫。」
僕は、ミーサが、右手で持った剣を、目の前で立てて、ミーサの左手の人差し指と、中指を伸ばし、自分も、同じ指を添えた。
そして、
「電撃!!。」
僕は、ミーサの剣を、根元から、先端に向かって、伸ばした二本の指でなぞった。
ジイイイイイイイイ!!。
剣は、なぞられた個所から、電気を帯びてゆく。
「なっ!!、何で?!」
「ミーサ。魔力を感じて。指先だよ。」
ジイイイイイイイイ!!。
ピシイイイイイイイ!!。
先端まで、なぞられた剣は、電気を帯び輝いていた。
「ライト。キラービーの時と、同じよね。」
「いや、違うんだ。」
「えっ!!、何処が?。」
「剣を、根元から、触ってみて。」
ミーサは、恐る恐る触った。
「えっ!!。見た目には、電気が走っているけど、何ともない。」
「そう、先端に向かって、触ってみて。」
ミーサは、言われた通り先端に向けて、指を移動する。
そして、もう先端という箇所で、
ピシっ!!。
「えっ!!。此処だけ?。」
「そうだよ。先端から、親指の太さぐらいかなあ。それぐらいしか、電気を放出しないようにしたんだ。キラービーの時は、まだ、よく分かっていなかったから、全体だったけど。」
「どうして、そんな。」
「電気の威力を、長い時間、強く出力させる為かな。」
「そうなの?。」
「全体で、電気を出しちゃうと、無駄に、魔力を放出しちゃうからね。」
「これで、私に、どうやって、ゴーレムを倒せって?。」
「ミーサは、地面に、電撃を這わしたら、この剣を出して、ゴーレムを、順番に擦っていくんだ。」
「擦る?。」
「そう。そうすると、この間、僕がやった電気同士と同じで、走らせた電気と、擦った剣の電気同士が、繋がるから、同じように倒せる筈。」
「そ、そうなのね。」
「但し、なるべくゴーレムの上の方を擦らないと、全身は壊れない。」
「分かったわ。ライト、もう一回、やってみて。」
「いいよ。集中して、魔力を感じて。」
僕は、指を鳴らして、剣の電撃を、解除した。
そして、もう一度、ミーサの手を取って、剣に、電撃を纏って見せた。
「ライト。防御壁と電撃、地面に飛ばした電撃、凄い複合技なのね。」
「あれ、やっぱり。流石だね、ミーサ。そうだよ。後は、ミーサのイメージ次第だから。」
「分かったわ。やってみる。」
「よし、じゃあ、次は、ポポだね。」
「何ニャ。」
「ポポは、この間、僕がやった黒炎を見ただろ。先ずは、あれから。」
「分かったニャ。」
僕は、ポポの手を取って、手の平に、小さい闇属性の球を出した。
「いいかい、ポポ。これを炎で、燃やすんだけど、只、燃やすだけだと、この間みたいに、爆発しちゃうんだ。やりたいのは、あの時の炎を、使いたいからね。だから。」
僕は、手の平の闇属性の球を、燃やした。
だが、爆発はしなかった。
「どうして、爆発しないニャ!。」
「一つは、周りを防御壁で、囲んでいる事。もう一つは、さっきの婆やさんに教えたのと、似てるんだけど、闇の球を、只、燃やすと外に向かって、爆発しちゃうだろ。」
「そうニャ。」
「だから、それを中に、中に、ぐるぐる回る様にするんだ。そうすると、ほら、色が変わってきただろ。」
「ほんとニャ。もっと、黒くなったニャ。」
「じゃあ、ポポ、とりあえず右側の剣を、抜いて。」
僕は、黒炎の球を、左手で持った。
ポポは、右手で剣を出して、持った。
「よし、行くよ。ポポ。」
「黒炎剣!!。」
僕は、左手の黒炎の球を握り潰して、右手の剣に、人差し指と、中指を這わせた。
すると、
シュウウウウウウウ!!。
右手に持った、双剣の刃の付け根部分から、剣先に向かって、指が這う度に、剣が、漆黒に変わっていく。
「よし、出来た!!。」
「何ニャ、これは?。」
「ポポの双剣に、さっきの黒炎を、纏わせたんだ。」
僕は、倉庫から、壊れた鎧を持ってきた。
「ポポ、これを軽く、擦ってみて。擦るだけでいいよ。熱くしたいだけだから。」
「分かったニャ。」
ポポが、鎧を擦ると、擦った場所が、真っ赤になった。
「何ニャ、これは!!。」
「それだけ、熱量が高いって事かな。これがゴーレムだったとして、氷の槍が当たったら、どうなる?。」
「そ、それは、この間の時と同じニャ。粉々ニャ!。」
「そうだね。それが最終段階。」
「わ、分かったニャ。やるニャ。必ず仇は、取るニャ!。」
頑張れポポ!!。
「じゃあ、最後は、ピピだね。」
「そうニャ。私は、何をするニャ?。」
本当は、あれやりたいんだけど、どうやるか分からないんだよな。
だから、とりあえず、
「じゃあ、ピピは、槍に、氷を纏わせようか。」
僕は、みんなと同じように、ピピの手を取って、右手に持った槍に、氷属性の魔法を、纏って見せた。
そして、地面を突いてみる。
ピシっ!。
「どうだろう。ピピ。」
「うん、何となく分かるニャ。」
「御免、ピピ。今は、此処までしか思いついて、いないんだ。」
「何となく、分かったニャ。本当は、もっと、違う事が、出来ニャいかあるんニャろう。」
「うん、そうなんだ。氷って、一種類だと思うかい。」
「違うって、言いたいんニャろ。」
「あれ、何で分かるの?。」
「ライトなら、言いそうニャ。」
「氷って言っても、段階があるんだ。水が氷るのと、他の物が凍るのと。でも、絶対に、全てが凍る所があって、それが絶対零度って、言うんだ。」
「そ、それは何ニャ。」
その時、何故か、ブリーニャが、訓練場にやって来た。
「あれ、ブリーニャ、どうして?。何か、手伝ってくれるの?。」
みゃおおおおおお!!
「あれ?。もう一回、氷を、纏わせろって事?。」
みゃお、みゃお!!
「分かったよ。」
ブリーニャが、僕の肩に乗った。
そして、僕は、ピピの手を持って、槍に、氷魔法を纏ってみた。
そして、もう一度、地面を突いた。
ピシっ!。
ピシっ!。
ピシピシ!!。
「ええ~、こんなに凍るなんて。ブリーニャ、これって絶対零度じゃあ。」
みゃおおおおおお!!
僕は、思わずブリーニャを抱きしめて、頬摺りをした。
「流石、守護獣だね。ブリーニャ、ありがとう。」
「ライト。今の技って?。」
ピピとの訓練を見ていた、カエデさんと、婆やさんが、寄ってきた。
「そうだよね。カエデさんと、婆やさんも、氷属性持ちだよね。同じ様に、これが出来れば。」
「ライト。前に、ミーサと剣を交えた時が、在ったでしょ。」
「うん。」
「その時の技を、覚えてる?。」
「氷雪原槍術、一の型、吹雪でしょ。」
「そうね。実は、あの型は、五の型まで、有るの。」
「五の型?。」
「その最終奥義が、絶対零度よ。」
「じゃあ、カエデさんと、婆やさんて、使えるんじゃ。」
カエデと、婆やさんは、首を横に振った。
「え!、何で?。」
「父上でも、四の型までしか出来ないの。五の型まであるから、創始者は使えたのかもしれないけど。ずっと、昔の話。御爺様も、使えないって、聞いたわ。」
「そうで御座います。先代も、四の型までで、御座いました。今までの歴史上、使えたのは、創始者のみとしか。」
そんなに、難しい事だったのか。
さっき、出来ちゃったけど。
「婆や、必ず、やって見せましょう。」
「そうで御座いますね。カエデ様。」
何か、また、スポコン漫画並みに、目が燃えてるんですけど。
その後、僕は、カエデさん、婆やさん、ピピに、ブリーニャに肩に乗ってもらいながら、何回か、実演をして見せた。
僕は、実演が終わったので、次の事に向かおうとした時、カエデさんが、僕の手を取って、振り向かせた。
そして、僕を抱きしめて、
「ありがとう、ライト。貴方に会えて、良かった。」
カエデの目から、涙が零れた。
きっと、僕には分からない、何かがあるんだろうって思った。




