第86話 帰還と告白
僕は、通路の途中に、立っていた。
ゴーレムは、倒せたけど、.....。
「ん~ん、どうしようかなあ。結構、押されて、こっちまで、来ちゃったしなあ。」
このまま、逃げちゃうと、怪しまれるよね。
「ライト、どうしたの?。早く、戻って。」
しばらくは、死んだ事にしておいた方が、邪魔されずに、攻略に、集中出来るかなあ。
よし!!。
僕は、入り口に向かって、歩き出した。
それも、通路の、ど真ん中を。
歩く度に、左右の壁から、
ゴゴゴゴゴゴ!!。
石が、崩れるような音が響く。
そして、現れるゴーレム。
「ラ、ライト。早くしないと。」
ミーサが、心配してくれるけど。
ゴーレムって、そんなに、動き早くないし。
尚も、歩き続ける。
ゴゴゴゴゴゴ!!。
ゴゴゴゴゴゴ!!。
ライトの後ろに、また、数十体のゴーレムが、既に、出現していた。
入り口に向かうにつれ、どんどんと増えるゴーレム。
そして、入り口に戻った。
「ライト。死んだかと思ったんだから、もう。」
「じゃあ、みんなで帰ろう。」
「このゴーレム、どうするのよ?。」
「えっ!。そのままだよ。だって、僕達、死んだ事にするから。ゴーレム出てないと、おかしいでしょ。」
「えっ!!。死んだ事にって!。でも、まあ、それはそうね。」
「後、みんな。使わなくなった剣とか武器、持ってないかなあ。」
僕は、短剣を出した。
折れた双剣の一本、槍二本。
曲がったレイピア。
僕は、ゴーレムが迫ってくる中に、それらの武器を、投げ込んだ。
バキっ。
バキっ、バキっ!!。
「ライト、何してるの?。」
「死体も無くて、壊れた武器も、落ちてないと不自然でしょ。」
「まあ、それもそうね。」
「じゃあ、ゴーレム来たから、帰ろう。」
僕は、ミーサの手を取って、引っ張る。
「ささ、カエデさん、婆やさん、ピピも、ポポも。」
「でも、どうするニャ。このまま階段を上がれば、安全地帯を抜けるしかないニャ。」
「大丈夫だよ。ほら。」
僕は、指輪を、取り出した。
五人は、唖然として、
「何、言ってるの?。」
って顔をした。
婆やさんは、我、関さずだったけど。
僕は、階段の途中にある壁の隙間に、同じ指輪を隠した。
「じゃあ、みんな集まって。」
「ライト、どうするのよ?。」
「さあ、さあ。もっと、寄って。よし、行くよ。」
僕は、指輪の魔法陣へ、魔力を注いだ。
ブワアアアアアアん!!。
「此処は?、.......。」
「えっ!。屋敷のリビング。どうして?。」
「みんな、どっから?。」
家に居たメイサも、驚いた!!。
僕は、屋敷のリビングにある、植木の鉢から、羊皮紙と、さっき見せた指輪を、出して見せた。
「また、その指輪?。その指輪と、羊皮紙が何なの?。」
僕は、ミーサに、指輪を投げて、
「台座の裏を、見て。」
「こ、これって、魔法陣。どうしてこれを、此処に?。」
カエデさん、ピピ、ポポも、ミーサが持っている指輪を、見た。
「この羊皮紙、50階に在ったやつと、同じ魔法陣?。指輪も小さくて、よく分からないけど。同じなの?。」
「カエデさん、凄いね。そうだよ。50階のやつと、同じさ。」
「でも、どうやって。こんなに小さくなって、この裏にあるニャ。」
屋敷では、メイサが、僕達を信じて、帰りを待っていてくれたけど。
メイサにも話を、聞いてもらわないと、いけないね。
「メイサも一緒に、話をしようか。」
「私、食事の準備が。」
「メイサ様、今日は、私が、代わりましょう。いつも通りでしたら、直ぐに、出来ますから。」
「じゃ、じゃあ、婆やさん。すいません。お願いします。」
僕達は、今回のダンジョンでの事を、反省も込めて、話をした。
クロードが、生きていて、アルフォードの手先になって、ダンジョンを攻略している事。
僕が、ゴーレムを倒す事が出来たが、危なかった事を、ミーサが、メイサに伝えた。
バシイ!!。
「だから、一人で、何でも背負わないでって、言ってるじゃない。」
「はい、すいません。」
バシイ!!
「何で、自分だけで、残ったのよ。ずっと、一緒って、言ったじゃない。」
「はい、すいません。」
バシイ!!
「えっ!。」
何故、カエデさんまで。
「私だって戦う。仲間だから。」
何か、一発、増えたんですけど。
「所で、ライト。さっきの転移よね。」
「そうだけど。」
「何で、あのゴーレムの時、使わなかったの?。」
「あっ!!。そうだった。何か、倒す方法で、頭一杯だったから。」
バシイ!!。
バシイ!!。
バシイ!!。
また、何故、カエデさんまで。
「だから、あんたは、.......。」
しばらく三人に、お説教をされた。
「でも、あの指輪って、どうやって?。」
「50階に、何回か、行っただろう。あの時、転移の魔法陣を、鑑定したんだ。」
「協会の時と、同じって事?。」
「前に、ライシール様の教会に行っただろ。その時、鑑定した時には、気づかなかったんだけど。記憶している技の所に、技とは違って、四角い模様があったんだ。」
「魔法陣?。」
「それを操作したら、魔法陣が、そのまま残っている事に気づいて。いじっているうちに、魔法陣そのものを、何かに、写せる事が分かって。」
「魔法陣を写せる?。」
「だから、もしかしたらと思って、時空魔法で、定着出来ないかやってみたら、その結果が、羊皮紙と、あの指輪。」
「じゃあ、あの指輪があれば、何処にでも。」
「多分ね。でも、移動先に、指輪があるか、魔法陣を、移動先に書かないと、駄目だけど。」
「じゃあ、指輪を、いっぱい作れば、何処にでも、行けるね。」
「うう~ん、そうもいかないんだ。指輪を一個作るのに、魔力をほとんど使っちゃうんだ。だから、直ぐに、いっぱい作るのは、無理なんだ。」
僕は、2個の指輪を、みんなに見せた。
「今は、二個だけ?。」
「いいや、三個と、その羊皮紙がある。一個は、81階の入り口に、隠してきたけど。」
「ニャるほどニャ。だから帰りに、壁を、いじっていたのかニャ。」
「そうだよ。」
カエデが言った。
「ライトの攻略とか、スキルの使い方って、.......。」
やっぱり、そこに、気がつくんだね。
「そ、それは、....。」
ミーサは、多分、僕の事を思って、何か、理由を言おうとした。
でも、僕は、それを制止した。
「いいんだ、ミーサ。」
僕は、カエデさん、婆やさん、ピピとポポ、彼らを信じてる。
「この間の話は、まだ僕の事を、半分しか、話してないんだ。だから、僕の、本当の事を、話さないといけない。」
「ライトの本当の事?。」
「そう、僕の事。」
それから、僕は、どうして僕が、此処に居るかを話した。
僕は、転生者である事を。
「ふっ!(笑)。転生って、.....、でも私は、......信じるわ。」
キモ悪いとか、馬鹿じゃないって、言われなくてよかった。
「私の事も、話さないと、いけない。」
「か、カエデ様、宜しいのですか?。」
婆やさんが、止めようとした。
「いいのよ。大した事じゃない。」
「カエデ様、.....。」
「私は、東の国から来た事は、本当よ。ジャポーネって言うの。」
やっぱり、日本と似てるんだね。
日本、ちゃちゃちゃ!!。
「姫様は、今、ジャポーネの国を、治めている氷雪原家の第四女、楓様なのです。」
「父上は、氷雪原景虎。ジャポーネは、ずっと、海に囲まれている島なのに、その中で、小さい国同士が争ってるの。父上は、領主同士が争うのを、一旦は、収めたんだけど。何時、反乱が起きるか分からない世の中になってるの。」
「殿は、世継ぎがおりません。なので、5人の姫様を、有力な権力者に、嫁に出さねばならないのです。」
「じゃあ、カエデさんも?。」
「いいえ、私は決められて、好きでもない男と一緒になるぐらいならと、国を出たの。私が認めた男にしか、嫁ぐつもりはありません。」
ん!。
何か、チラチラ、こっち見ました?。
どっかで、同じような事、言ってた人いましたよ。
僕は、ミーサを見た。
あっ!、視線外した。
「でも、ジャポーネか。聞いただけでも、僕の住んでいた国に、似てるんだ。一度、行ってみたいなあ。」
「是非、是非。お越し下さい!!。」
あれ、婆やさん、何か積極的だなあ。
「でも、先ずは、キングだよね。」
「そうね。でも、ライト。彼奴等が、先に、進むんじゃないの。」
「いや、無理だよ。」
「えっ!。でも、あの攻略なら、行けるんじゃあ。」
「確かに、対ゴーレムで、倒すだけならね。だけど、あの先が見えないフロアで、あと何組、あの男達の様な人材を、用意すればいいのか。」
「そうか。人がね。」
「それに、人数が増えれば、食料だって、休憩だって必要だ。あの通路の何処で、休憩するんだい。時間が経てば、ゴーレムが復活するんだよ。」
「じゃあ、あの攻略でも、無理だって。」
「そうだね。」
「あのフロアの攻略は、只一つだよ。」
「只一つ?。」
「そう、フロアを抜けるまで、一気に、倒して突き進む。」
「じゃあ、私達にも、無理なの?。」
「いや、僕は、出来ると思ってる。」
「その為に、みんなには、訓練をして貰う。」
僕は、思ったんだ。
あのゴーレムに囲まれて、もう駄目だと思った時。
この81階以降って、何かの試練なんじゃないかって。
人が、超えられるか、越えられないかのギリギリの。
知恵や、気力、体力、魔力、全てを掛けて、超えていく試練。
その先に、何があるのかは、分からない。
だけど、僕が、やらないと、いけないんじゃないかって、あの時に思ったんだ。
何かの為に。




