第84話 クロードの罠
そして、運命のゴーレム討伐の日が、やってきた。
だが、僕は、未だに、雷魔法を維持する事が、出来ていなかった。
「よし、集まったな。行くぞ!。」
クロードが、声を掛ける。
1番隊、2番隊、僕達、3番隊、4番隊、クロード達の順で、階段を下りる。
各隊の編成を見た。
「何だ、あれ?!。」
僕は、驚いた。
今まで、見た事の無い、盾とハンマーを、持っていたからだ。
盾は、二人で持つのか、上から見たら、多分、大きなU字型と、言ったらいいだろう。
高さは、2m以上もあった。
そして、内側には、左右に、大きな棒の持ち手らしいものが、付いていた。
そして、ハンマーは、片側は、平たい面になっており、もう片面は、尖っていた。
「何かの為に、研究したのか?。」
あれで、どうやって攻略するのか。
81階の通路の前に、順番を維持して、並んで待機する。
その両脇に、クロードと、一味が、左右に分かれて、広がった。
「よし、準備は、いいか?。」
「おおおお~!!。」
えっ!。
そんな挨拶するの?。
「4体ずつだ。進め!!。」
早速、81階層への進行が、開始された。
部隊が、壁画二体分通路を進むと、前に、左右から一体ずつ、後ろで、左右に一体ずつ、ゴーレムが出現する。
ゴゴゴゴゴゴ!!。
石が崩れるような音が、響く。
「来るぞ!!。」
「いいか。作戦どうりだ。落ち着いていけ。」
後ろから、クロード一味の声が飛ぶ。
前後、左右の四方から、ゴーレムが迫る。
「ん?!、何だ、あの動き。」
前後左右で、一つの盾を、二人で持ち、それを二組が、くっつく様に、ゴーレムへ寄る。
U字型した盾の二枚が合わさり、ギリシャ文字のω《オメガ》の様になった。
僕は、何をどうするのか、見ていた。
盾二枚の4人と、ゴーレムが、ぶつかる。
「な、何?!。」
屈強な男4人が持つ盾は、高さが3メートルを、超えているようだった。
流石のゴーレムでも、上に、手を伸ばしても届かない。
ゴーレムは、左右から、盾を抱えようとする。
だが、それも、丸み掛かった形状と、盾の縁までの距離が長い為、手が盾の縁まで、届かない。
ゴーレムは、ジタバタするように、お手上げ状態で、進めなくなった。
「凄い!、あんな方法で、抑えるなんて。」
すると、今度は、あのハンマーを持った男4人が、盾2枚が重なっている部分の後ろに、並んだ。
「何をする気だ。」
左右の盾の後ろにいる、それぞれの指示役の男が、声を掛ける。
「行け!!。」
すると、合わせていた2枚の盾の真ん中に、隙間を空けたのだ。
ゴーレムは、手も使えず、何も出来ない状態だ。
空いた隙間から、ゴーレムが見える。
先頭の男は、尖った先の方で、ゴーレムの胸を、思いっきり叩く。
どがっ!!。
そして直ぐに、2番目の男と交代する。
「あれは、.....。」
先端が、尖っている為、ゴーレムの胸には、窪みが出来ていた。
2番目の男も、尖った先の方で、ゴーレムの胸を、思いっきり叩く。
どがっ!!。
そして、直ぐに、3番目の男と交代する。
「あれは、ひび、.....。」
一撃目と、ほぼ同じ位置に、打たれた二撃目によって、窪みが大きくなり、窪みから、ひびが出来ていた。
3番目の男は、平たい先の方で、ゴーレムの胸を、思いっきり叩く。
ドオオオオオオん!!。
ぴしっ!!。
ゴーレムの胸に、ひびが、広がった。
そして最後に、4人目の男が、平たい先の方で、ゴーレムの胸を、思いっきり叩く。
ドオオオオオオん!!。
ぴしっ!!。
ぴしっ!!。
ビシビシビシ!!。
ゴーレムの胴体に、ひびが広がり、ゴーレムは崩れた。
「マジか。あんな方法で、攻略するとは。確かに王道。」
ライトは思った。
アルフォードを、侮っていたと。
あそこまで、綿密に装備を考え、調達し、準備をするとは。
流石、此処まで、何だかんだと、あったかもしれないが、生き残ってきただけはあると。
前方の一体と、ほぼ同じぐらいのタイミングで、残りの三体も倒した。
おおおおおおお~!!。
クロード達が、雄叫びを上げる。
クロードが、声を掛ける。
「よし、次だ!!。」
「ん!!、何だ?。」
今のクロードの動きは。
手を広げて、手の平を下に向けて、上下した。
僕の居た世界で、あれは、抑えろって、意味だけど。
この世界では、何なんだ?。
抑えろ?。
何を、抑えるんだ。
力加減か?。
どういう意味なんだ。
そんな事を感じながら、次の4体のゴーレムへ、向かう。
次の4体。
動きは、全く同じだった。
だが、僕は、違和感を感じた。
何だ、この違和感は?。
全く同じ動きだった筈。
何が、違う?。
クロードが、声を掛ける。
「よし、次だ!!。」
また、クロードが、手の広げて、手の平を、下に向けて上下した。
何なんだよ、あれは。
次の4体。
また、動きは、全く同じだった。
だが、また、僕は違和感を感じた。
何なんだ、この違和感は?。
全く、同じ動きだった筈。
何が、違う?。
クロードが、声を掛ける。
「よし、次だ!!。」
今度は、あの動きがない。
次の4体。
また、動きは、全く同じだった。
違和感も無い。
何だったんだ、さっきの。
クロードが、声を掛ける。
「よし、次だ!!。」
今度も、あの動きが無い。
やはり、僕が、気にしすぎなのか?。
力加減の指示だったのか。
次の4体。
また、動きは、全く同じだった。
違和感も無い。
クロードが、声を掛ける。
「よし、次だ!!。」
ゴゴゴゴゴゴ!!。
石が崩れるような音が、響く。
倒したゴーレムが、20体を超えた、その時だった。
異変が、起きた。
ゴーレムが出現し、盾役が、同じように抑えた。
同じ動きを、繰り返して、問題が無かった為、僕達は油断した。
「今だああああ~!!。」
クロードが、後ろで、叫んでいた。
「何?、何が、今なんだ?。」
僕達は、一体、何が起きているのか、分からなくなった。
その掛け声で、前衛の右の盾役4人が、進んで来た入り口の方向に、ズレた。
それによってゴーレムが、盾から、体半分が、見える状態になった。
「不味い!!。」
僕だけじゃなく、ミーサや、カエデさん、婆やさん、ピピと、ポポも気づき、武器で、抑えに回った。
「ど、どうしたんですか?。」
僕は、唖然とした。
左側も、同じ状態だったからだ。
三人ずつで、二体のゴーレムを。抑える。
その時、僕は、見た。
僕達が、必死で食い止めている後ろで、指示役のあの嫌味を言っていた男が、
にやっ!!。
と笑ったのを。
「し、しまった。罠か。」
僕は、攻略に没頭し、そんな可能性を、考えられなかった。
「くそっ!!。やられた。」
「ラ、ライト。どうするの?。」
「おい、ライト、いつもの威勢は、どうした?。俺の事を、挑発しないのか?。」
「クロード。お前えええええ!!。」
「悔しいか。Eランク様あああああ!!。」
わははははははははははは!!。
クロードの仲間が、笑う。
「ライト。お前は、もう終わりだ。糞ガキヨオオオオオオオオ!!。」
「クロード!!。」
「おい、ミーサ、カエデ。お前達は、助けてやってもいいぞ。その代わり、俺の女になれ。」
「ふん!!。誰が、あんたなんかに。」
「いいのか、そんな事言って。ゴーレムに潰されて、死ぬんだぞ。」
「私も、御免だね。あんたの女になるぐらいなら、ここで、ライトと一緒に、死ぬわ。」
「むううううう!!。クソガキも、糞ガキなら。バカ女も、一緒だあああ!!。みんな死ね。これで、裏切ったアルフォード様も、喜ぶぜ。」
「おい!!。もういいぞ。やれ!!。」
クロードが、声を掛けると。
後ろ側で、抑えていた奴も、同じように、ゴーレムをずらして、僕らの方へ、ゴーレムが見えるようになった。
「不味い!!。挟まれる。」
挟まれるのは、不味い。
何とかしないと。
そう思っている中に、攻略部隊の奴らが、一目散に、入り口の方へ逃げて行った。
当然、通路を、通り抜けると、
ゴゴゴゴゴゴ!!。
石が、崩れるような音が響く。
「くそ!!、あのサインは、時間稼ぎだったのか。」
クロード達は、わざと時間を掛けて、ゴーレムが復活するのを、待っていたのだ。




