第8話 ミーサと
「ライト。ライト、....。起きて、.....。」
ん?。
「だ、誰?」
僕は目を覚ました。
「め、メイサ。どうしたの。こんなに朝早く。」
「仕事の前に、此処の近所を案内しようと思って。」
「近所?」
「ほら色んな所見ていたら、思い出すかもしれないじゃない。」
あ!
「そ、そうかあ。そうなんだ。ありがとう。」
それから僕とメイサは孤児院を出た。
「昨日はギルドがこっちだから、こっちから来たんでしょ?」
「うん、そうだね。」
「じゃあ、反対の方へ行ってみるね。」
「朝早くに御免ね。仕事が始まる前しか、こんな事出来ないから。」
「メイサは何の仕事をしているの?」
「私はお店で料理を作ったり、接客したりしてるのよ。「一刀両断」っていう店で。」
いっ、一刀両断って、ネーミングが、凄いな。
「デルポートの中じゃあ有名なお店なんだからね。」
「そ、そうなんだ。」
で、何で腕を組んでくるんですか?
そして、ぐいぐい、来ますね。
どうして?
メイサは朝早かったけど、主だった建物だったり、場所を案内してくれた。
「あ!。此処は第一孤児院だよ。」
「そうなんだ、此処にも孤児院が、......。」
ん!
誰か孤児院の庭で、剣を振っているのが分かった。
近づいて見ると。
「ミ、ミーサさん?」
「あら、ライト君。それにメイサちゃん。」
「おはようございます。」
「おはよう。こんな朝にどうしたの?」
「いえ。僕がまだよく分かっていないから、メイサが仕事の前に、近所を案内してくれているんです。」
「へえ~。それで思い出す切っ掛けになればいいわね。」
「ミーサさんは何をしてるんですか?」
「私は、ずっとデルポートに居る時は、此処で朝訓練をしてるのよ。」
「訓練って、もうBランクですよね。それなのに訓練なんですか?」
「そうね。私みたいに何の才能も無い人間は、他の人より努力しないと、上には行けないから。もうBランクって言ったでしょ。私には、まだBランクだから。」
「そうか、そうですね。すいませんでした。上には上が居るんですね。」
「私は私みたいに努力すれば、孤児だって上に行けるって、子供達に見せたいの。」
何か、カッコいいなあ。
あっ!
「もうこんな時間だ。私、仕事に行かないと。ライト。自分で、帰れる?」
「うん、大丈夫だよ。」
「じゃあ、これ。朝ご飯だから。」
「ありがとう。頂くよ。」
「じゃあね。」
そう言うとメイサは街の方へ消えていった。
さて、この後はどうしようかなあ。
「そうだ。ミーサさん。朝ご飯食べましたか?。良かったら一緒に食べませんか?」
「あら、いいの?」
「はい。一人で食べても美味しくないですから。」
「じゃあ、頂こうかしら。」
僕は第一孤児院の庭に入れてもらった。
二人で庭にあったベンチに腰掛けて、メイサから貰った包みを開けた。
それはパンにお肉が挟まったサンドイッチみたいな物だった。
「ミーサさんは今日みたいな訓練って、どれぐらいやっているんですか?」
「もう10年は経つかしら。師匠に会ってから始めたから。」
じゅ、十年。
そんなに、やってんの。
凄~!!
「昨日帰ってから、メイサに事件前の僕について聞いたんです。何の取柄もない奴だったって。」
「そうなの?。それじゃあ私と同じね。」
「えっ!。何でですか?。凄い剣捌きじゃないですか?」
「私は何の取柄も無いから努力しているの。たまに寝ていたら、急に目が覚めて夢じゃないかって不安になって、枕元にある剣を触ってみるの。それで夢じゃないって。」
「ミーサさんは凄い冒険者だって思っていました。でも不安があるんですね?」
「そうね。冒険者何て、何時死んでもおかしくないし、死ぬ時にああしておけば良かったって後悔したくないの。だから毎日訓練もするし、今、出来る事をやるようにしているわ。」
「何か朝から、変な話しちゃってすいません。」
「ライト君も今は何も分からないから不安なのね。」
「そうかもしれません。これから何をどうすればいいのかも分かりませんし。」
「そうだ。良かったら私と一緒に、朝、訓練してみたら。何か思い出す切っ掛けになるかもしれないわよ。」
僕はこんな美人と、毎朝一緒にいられるなんてラッキーぐらいに思った。
それは甘い考えだったって事を、僕は後で後悔する。
「いいんですか。じゃあ、お言葉に甘えてお願いします。」
「剣は私の使っていた古い剣があるから、それを使えばいいわ。」
「ありがとうございます。」
「じゃあ早速、明日からこの場所でいいかしら。」
「はい。明日の朝から来ます。」
ふう~。
これで何とか、剣は使える様になるかなあ。
後は魔法とか、投擲ってどうなんだろ。
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