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第77話 化粧品の製造



 翌日、僕は街に出ていた。


 目的は指輪なんだけど、何か代わりの物でも、同じように使えればよかった。


 お店がどこにあるかが、分からなんだよな。

 ミーサやメイサに聞いたら、分かったかもしれないだけど、......。


 指輪とかって言ったら、前世からして、


「何々、何するの?、プレゼント?。とか、そんなイメージなんだよな。」


 だから、一人でぶらぶらしている。

 お店がある場所を、ぶらぶらしてみるが、あるにはあるんだけど。

 前世でもあったアクセサリだけど、ちょっと違うんだよね。



 丁度、コマースさんのお店の近くまで、来てしまった。


「そうか、コマースさんなら男だし、聞いてみようかな。」


 僕は、コマースさんのお店に、行ってみた。


 お店の人に声を掛けると、奥の接客間に通された。

 しばらく待つと、コマースさんがやってきた。


「ライトさん、今日は如何されました?。」

「ちょっと、探し物をしていまして。」


「探し物ですか?。どんなものでしょう。」

「指輪かネックレスのような、アクセサリなんですが。あっ!。プレゼントとかじゃあないんですよ。加工して使いたいんです。」


「そうですか。ちょっと、お待ちください。」


 コマースさんが、部屋を出て、直ぐに薄べっらい箱を持ってきた。



「ライトさん、これなんか如何でしょうか?。」


 コマースさんが、箱の蓋を開けると、指輪が並んでいた。



「これは、......。」

「加工を頼む前に、どういった作りにするかの見本ですよ。」


「そんなものも、あるんですね。」

「ええ。当然、高価な宝飾品も扱っておりますので。」


「ちょっと、見せてもらっていいですか。」

「どうぞ、どうぞ。」


 そこには、何十という形や大きさが違う指輪があった。

 魔法陣を写さないといけないから、台座がある程度、平らで大きさがないといけないよな。



 僕は、一つの指輪に目が留まった。


「これなら。」


 それは、1.5センチぐらいの四角い台座で、裏も平らになっていた。

 それに、指にはめる部分も、リングに丁度、台座の反対側に切れ目があり、うまい具合に、台座の裏面がハッキリと見える形状だった。



「コマースさん、この指輪、手に入りませんか?。」

「こちらの形状ですね。ライトさんの様子からすると、お急ぎなんですね?。」

「はい、どうしても直ぐに必要で。」


「かしこまりました。これは、見本なので、普通は、材質も決めてから作るのですが、お急ぎであれば、知り合いの加工業者に、直ぐに作らせますので。材質は何かご希望は?。」


「いえ、特にはありません。余り目立たないものがいいです。」

「どれぐらい必要でしょうか?。」


「ええっと、5個ぐらいでしょうか。」

「分かりました。とりあえず、10個ぐらいなら、直ぐに出来るでしょうから、後でご自宅まで届けさせていただきます。」


「あ、ありがとうございます。」

「いえいえ、こちらこそ、いつもいろいろとお世話になっておりますから。」



「ライトさん、こちらからも一つお願いが。」

「コマースさん、なんでしょう。」


「先日の化粧品なんですが、幾つかご用意は、出来ませんでしょうか?。」

「ああ、あれですか。」


「あの日の晩から、妻が使っておりまして、大変、気に入っておりまして。」


「奥さん用ですか?。」

「いえいえ、あの時、妻に宣伝と言っておられたので、使ってから誰かに言うのかと思っておりましたが、毎日、自分が使うだけで、特に何も言わなかったのですよ。」


「じゃあ、宣伝はまだ。」

「いえいえ、それが、女性からしたら、変化は見たら分かるのですねえ。親しい方が会うたびに、雰囲気というか見た目が明らかに違うのか、聞いてくるそうなのですよ。」


「じゃあ、奥様は自らを宣伝とされたんですね。」

「そうなんですよ。ライトさん。」


「女性はそういうことに、敏感ですからね。」

「はい。で、その中でも特に有用な方、数名に使って頂こうかと考えておりまして。」


「コマースさん、指輪を待っている間に、アイラさん達に教えますよ。そうすれば、必要な時に作れますよね。」

「おお、それは助かりますなあ。」



 僕は、コマース商会の中にある、作業場へ行った。


「ライト様、今日はどうなされたんですか?。」

「最近は、アイラさん達に任せっきりで、スイマセン。」


「メイサさんとも、いろいろとお話をさせてもらいながら、調整いたしましたので、順調に作業はさせて頂いてますから、ご安心ください。」

「今日は、また、新しい商品について、お願いしようと思って。」


「また、何か食材でしょうか?。」

「いいえ。そうだ、先に使ってもらった方がいいですよね。アイラさん、アイさん、すいませんが、顔を洗ってきてもらっていいですか?。」


「顔?ですか。」

「はい。」



 アイラとアイは、ライトに言われた通り顔を洗って帰ってきた。


「ライト様、顔を洗いましたが。」

「じゃあ、これを顔に塗ってもらっていいですか?。」


 僕は、例の化粧水を二種類出して、見せた。


「これって。」

「ええ、女性が顔に付ける、化粧水っていう商品です。」


「化粧水?。」

「アイラさんとアイさんて、村にいた時に、メールの水で顔を洗ったり、付けてませんでしたか?。」


「ライト様は何故、それをご存じなのですか。確かに昔からカイーデの女性は、メールの水で顔を洗ったり、体を拭いたりしておりました。」


「あのメールの水って、お肌にいいんですよね。だから、カイーデ村の女性って皆さん、お肌が綺麗っていうか。これは、その体にいい物を、錬金で、取り出してみたのがこれです。」


「なるほど、メールの水でこれを。もう一つの白っぽい方は、何でしょうか。」


「これも、メールの水を使ってますが、半分だけです。残りの半分は、ミノタウロスクイーンのミルクです。お肌に良い部分が、違うようなので、人によってどちらが合うかが、あるかもしれません。」


「ライト様は、いろんなものを作られますねえ。」

「いえいえ、たまたま、思いついただけですよ。アイラさんとアイさんには、これの製造も、お願いしたいと思ってます。」


「それで、使ってみて実感させたいということですね。」

「ええ、そうです。」


「白い方は、どうすればいいんでしょうか?。」


「ミルクは、僕しか作れないので、メイサに届けてもらうようにします。器にメールの水とミルクを半分づつ入れて、よく混ぜてから錬金で加工するんですけど、ちょっと、やってみますね。」



 僕は、メールの水だけの物と、ミルクを混ぜた物を、両方を目の前で作って見せた。


「アイラさん、アイさん、これで出来上がってるんですけど、何か気づきませんか。」

「器の中の量は変わってないけど、ミルクの方は、上に何か浮いてますね。」


「アイさん、そうですね。下に溜まった分が出来上がった物で、上に出てきているのは、余分な水と不純物です。」

「なるほど。じゃあ、上の部分は捨てて、下の残ったものが、使う部分ということですね。」


「ええ。なので、この状態もよく見ておいてください。」

「はい、分かりました。こちらも今日から少しずつ、作業に取り掛かってみます。」


「はい、よろしくお願いします。」



 そんなことをしていたら、大分、時間が経ったんだな。

 ちょうど、コマースさんが、指輪を持ってきてくれた。


「ライトさん、工房から指輪が届きました。こちらです。」


 手帳ぐらいの、小さな平べったい四角い木箱を渡された。


 蓋を開けると、さっき見た見本と同じ形の、銀色の指輪が10個入っていた。


「これって、........銀ですか?。」

「はい、本当はミスリルとか、冒険者としてお役に立てるような材質で、お創りしたかったのですが、材料が足りないそうで。」


「コマースさん、そんなに高価なものでなくても、大丈夫ですよ。銀でも十分高価ですから、申し訳ないです。」


「いえいえ、いつもお世話になってますから。こういう機会でないと、お返しができませんから。」


「いつもお世話になっているのは、自分の方ですよ。この指輪ってお幾らですか?。」


 きっと、受け取らないんだろうなあ。


「ライトさんに差し上げます。化粧品代には遠く及びませんから。」

「いつもすいません。ありがとうございます。」


 僕は、コマースさんに挨拶をして、帰宅した。






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