第73話 侯爵の誘い
それから、僕たちはいつも通りに過ごすことにした。
こちらから、アルフォードに売り込むって言っても、どうやって近づくさえ分からないから、ひたすら待つことにした。
誘いが来なかったら、自分たちで51階層から潜るしかない。
だけど、もし、誰かが誘いを受けたら、どうするのかは決めていた。
まず、直ぐには返事をしない。
一人では、誘いにのって行動しない。
今、一緒にいるパーティで参加が出来るのかは、確認する。
一人づつの勧誘なら、その後の行動をどうするのか、相談しないといけないからだ。
だけど、パーティーでの参加が了解された場合、後日、パーティーで条件交渉を行うということにした。
そんなある日、僕がキングキャッスルへ向かっている途中、
「失礼いたします。ライト様でいらっしゃいますか?。」
「えっ!。そうですけど、どちら様でしょうか?。」
「突然、声をお掛けして申し訳ございません。私、セバスと申します。」
「セバスさんですか?。ええ~と、どこかでお会いしましたか?。」
「いいえ、直接お会いするのは、本日が初めてで御座います。」
「ええと、どういったご用件でしょうか?。」
「キングの件と言ったら、お分かりになるでしょうか。」
きたっ!、アルフォードか?。
「キングって、ダンジョンキングのことですか?。」
「左様でございます。」
「なぜ、僕にダンジョンキングの話を?。」
「はい、今、ご一緒におられる、ミーサ様はダンジョンキングの攻略を目指しているとお聞きしまして、是非、お話をさせて頂きたいと思って参りました。」
「そ、そうですか。ミーサさんは、確かにダンジョンキングを目指されていますが、今は、仲間を集められて準備をされていますけど。」
「そのようで御座いますね。ピピとポポ、そして、カエデ様とトメ様でいらっしゃいますよね。」
「えっ!。そこまでもう、調べられているんですね。」
「ええ、ええ、こちらも色々とありまして。」
「そうですか。」
「81階の情報も、ご存じなんでしょうね。」
「えっ!。ええ、話は聞きました。なので、どうしようかと思っています。」
「そうでしょう。そうでしょう。あのフロアは、難易度は非常に高いですからね。今のあなた達のメンバで、攻略は如何なもんでしょうかね。」
そうか、やっぱり、81階の難易度で誘ってきたか。
まあ、話にのってみるか。
「そうなんですよ。大量のゴーレムですよね。力技があるメンバがいないですからね。」
「そうでしょう。そうでしょう。ですから、協力させて頂ければとお誘いに参りました。それに、攻略が進んだ際の報酬についても、ご相談させて頂きたいのですよ。」
「そうなんですね。でも、そうしたら直接、ミーサさんに話をしたら、良かったんじゃないんですか?。」
「はい、そうなんですが、最近、ギルドにも顔を出されていなかったので。それで、丁度、同じパーティーのライト様をお見掛けして、こうしてお声を掛けさせて頂きました。」
「そうでしたか。」
「それでなんですが、ミーサ様にお話をさせて頂けないでしょうか?。」
「セバスさん、あの、お聞きしたいんですが、協力させて頂くっていうのは、ミーサさんだけなんですか?。」
「いえいえ、パーティーで、参加いただいても何の問題もございません。」
おっ!、それは好都合だなあ。
「お話はどちらで、聞かせて頂けるんですか?。」
「はい、それは、アルフォード侯爵邸で、如何でしょうか?。」
「アルフォード侯爵邸ですか?。」
「既に参加される方たちも、続々と集まっておいででして、どのような生活をされているかも含めて、確認していただいてから、参加するかしないかを決めて頂ければと思いますが、如何でしょうか?。」
「分かりました。帰ったら伝えます。何時、何処に伺えば宜しいでしょうか?。」
「それでは、明日、10時にアルフォード邸でお待ちしております。」
「アルフォード邸ですか?。」
「はい、アルフォード邸は東門の近くですので、ピピとポポにお聞きになれば分かりますよ。」
「分かりました。帰って伝えてみます。」
「よろしくお願い致します。」
そうして、僕はセバスさんと別れた。
「ふうう!。とうとう来たな。」
それにしても、いきなりアルフォード邸か。
東門って、ダンジョンは近いけど、貴族が住むような高級住宅地ってあるのかなあ。
まあ、帰って、みんなに相談しよう。
僕は、家に帰るとみんなを集めた。
「みんな聞いて、さっき街の中で、セバスという人に声を掛けられたんだ。」
「セ、セバスニャ!。アルフォードの執事ニャ。」
「ライト、なんて言ってきたの?。」
「パーティーで参加しても構わない。一度、参加する条件を交渉したいって。それに、向こうはカエデさんと婆やさんのことも知っていたよ。」
「えっ!、もう知っているの?。」
「多分、ギルドとかで監視しているんじゃないかなあ。だから、一緒に居たところを見られて、素性も誰かに聞いているんだろうね。」
「ライト、どうするのよ?。」
「一旦、話を聞きに行ってみようかと思ってる。動かないと、どうしようもないし。」
「みんなで行くの?。」
「そうだね。ピピ、ポポ、悪いけどアルフォード邸まで、案内してくれる?。」
「分かったニャ。」
「ピピ、ポポ、君たちの気持ちは分かってる。だから、今は我慢して。多分、どうして戻ったとか聞かれると思うけど。」
「分かっているニャ。前の仲間の借りを、ダンジョンで晴らすためニャ。」
「いい答えだね。でも、ピピ、ポポ、今は我慢だよ。最後にはアルフォードに返そう。」
「分かっているニャ。」
翌日、僕たちは、アルフォード邸に向かった。
ピピとポポが、案内をする。
東門に向かい進んでいくけど、
「あれっ!。ピピ、ポポ。王都の外に出ちゃったけど。」
「そうニャ。アルフォードの屋敷は、街の外ニャ。」
「そ、そうなんだ。」
東門を出て、僕たちは街道沿いを少し歩く。
「あれニャ。」
「ええ~!。あれって。」




