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第72話 新商品と後輩の悩み



「それと、夫人にもお願いがありまして。」

「ライト、あれでしょ。」

「うん、あれ。」


 僕は、小瓶を2本取り出し、コマース夫人に見せた。


「これは?。」

「これはですね。美容品で、寝る前や顔を洗った後に、付けていただく美容液と申しましょうか、そういう商品です。」


「えっ!、美容品ですって。」



 やっぱり、女性って、そういう反応だよね。


「コマースさん、カイーデ村のメールの水がありますよね。原材料はあれです。あの水を元にして試しに作ってみたんですが、今までミーサやメイサが使って調子がいいようなので、どうかなと思いまして。」


「あの水から、こんなものまで出来るんですか?。」

「ええ、それに、今日、夫人に渡した透明の方の1本は、今まで作ったものですが、白っぽいもう一本は、クイーンのミルクが手に入ったので、昨晩、作った新作です。」


 あれ、なんか、後ろから殺気がする。

 アハ、アハ、アハ。



 恐ろしくて後ろを向けませんが、笑って誤魔化すしかないのかな。

 心配しなくても、ミーサやメイサの分もありますよ。

 はいはい。



「これを私に、どうしろと。」


「コマースさんも商売ですから、実際に使って頂いて、効果を見て頂いた方が良いかなあって。ちょうど、今日は夫人がいらしたので、試してみて頂けないでしょうかという相談です。」


「あら、女性向けっていったら、ねえ。それは主人よりも私のほうが、ねえ。ホホホホホホ!。」


 明らかに試さなくても、乗り気な雰囲気、満々ですよね、夫人。



「それに、夫人だったら、いろいろとお知り合いがいるでしょうから、夫人から更にお知り合いにも、使って頂けるように、口コミで宣伝してはどうかと。」


「なるほど、もし、欲しがるようであれば、購入をしてもらってということですね。」

「ええ、継続して欲しいようであれば、その時はコマースさんの出番ですね。」


 あれっ!。

 もうコマースさん、頭の中でソロバン弾いてますよね。



「先ほどお渡ししたのは、奥様自身で使って頂いて、価値を確かめて頂くものですから、是非、使ってみてください。」

「あら、そうですわね。私自身でも使ってみないと、人には勧められないですものねえ。ホホホホホホ!。」


 いやあ~、夫人、満面な笑みでも、目がキラリンッって、光ってましたよね。


「ライトさん、これからもどうか、どうかよろしくお願いいたします。」


 コマースさん、もう売る気、満々ですよね。

 コマース夫妻との話も終わり、夫妻は帰宅された。



「あのう、ミーサさん、すいません。」


 あっ、そうだった。

 ブラッディーファングのメンバが、いたんだった。


「あら、どうしたの?。」

「みんなで話し合ったんですけど、私たち今のままじゃ、ダメだと思うんです。」


「ダメって、何が?。」


「冒険者として、中途半端なんじゃないかって。今日のミノタウロスだって、最初に、ニッキーが油断しちゃって、危なかったし。このままでいたら、いつか怪我したり、下手したら死んじゃうんじゃないかって。」


「それで?。」


「今までも、不安なことはあったんですけど、辞めるのは嫌なんです。ミーサさんやカエデさんのように、なりたいんです。だから、弟子にしてください!!。」


「えっ!、ええ~。無理無理無理。私、面倒見れないし。か、カエデ、弟子だって、どう。」

「ええっ!!。私だって無理よ。だって東の国から来てるし。」


 なんか、二人で僕のこと見てるし。

 この中で、僕が一番、ランクが低いんですけど。


 ランクが低い人に弟子って、ありえないよねえ。



 悩んだ末に言ってるんだろう事は、分かるんだよね。


「あの、ブラッディーファングの皆さん。僕の考えを聞いて貰えませんか。今、僕たちの目標は、これから挑むダンジョンキングの最終階層です。」


「それって、まだ誰も制覇していない階層でしょ。」


「そうです。だから、最初の達成者を目指しています。だけど、いろんな情報を集めてみると、アルフォード侯爵が、牛耳っていることが分かったので、難しいと思ってます。なので、侯爵からミーサやカエデさんに誘いがあったら、乗ろうとも思ってます。」


「やっぱり、そうなのよね。最短で行くには、それしかないわね。」


「ブラッディーファングの皆さんは、アルフォード侯爵の噂は、知っていますか?。」

「え、ええ、なんとなく。」


「ピピ、ポポ、説明してくれる。」



 ピピとポポが、今までの経緯や経験を説明をすると、


「やっぱり、事実なんですね。」

「そういうことです。あなたたちは今日のことで、ギルドでも一緒にいたし、ミーサとの関係が分かったら、利用されるかもしれません。」


「えっ!。ライト、それって。」


「そうだよ。人質ってこと。ミーサ、彼女たちの顔を見て。もし、人質になったら見捨てられる。目の前で乱暴されて、殺されて、ミーサは耐えられる。無理だよね。だから、彼女たちも攻略が終わるまで、ここに居てもらうのが、一番いいと思うんだ。それが、僕の意見。」



「この娘たちが、利用される、..........。」

「私だって、今日、初めて会ったけど、もし、ミーサと同じように言われたら、........無理かも。」


「アルフォードは、抜け目がないって、そういうことだと思うんだ。だから、僕たちは今から隙を見せたらいけないんだ。たぶん、ギルドの人やコマースさんは、影響が大きいから手は出せないはず。だから、これ以上、付け入る隙にならないように、周りの人にも、気を付けていかないと駄目だと思うんだ。」



 ここにいる全員が、頷いた。


「分かったわ。ライト。」


「メグ、ニッキー、ハミル、レイニー、クリスタル、いい。あんた達を、これからここで、面倒見てあげる。だから、私たちがアルフォードと関りを持ち始めたら、決して私たちがいないところで、勝手なことはしないで。お願い。」


「ミーサさん、カエデさん。分かりました。」

「約束してくれるなら、あんた達を強くしてあげる。それでどう。」


「えっ!、いいんですか?。」

「ふふ、そうね。私もライトの言うことが正しいと思う。弟子かあ。弟子とはいかないけど、鍛えるなら、適任者がいるわよ。」


「それじゃあ、カエデが面倒みるってこと?。」

「いいえ、婆やよ。もともと、国にいた時から、身を守ったり、戦えるように女性の面倒をみて、訓練をしていたから。」


「カエデ様、宜しいのですか?。」


「ええ、婆や。ここに来て、まだ数日だけど。ライトやミーサと一緒に居ると、ずっと一緒に居たような気がする。それに、この子たちと、今、出会ったのも、何かの縁だと思うの。だから、お願い。あんた達、婆やは、厳しいわよ。でも、鍛えられたら、Aランクだって、見えてくるわよ。」


「私たちが、A。Aですか。なんか夢みたいです。」


 五人は顔を見合わせて、頷いた。


「や、やります。」


 五人は真剣な表情で、もう一度、頷いた。



 さあ、とりあえず話は出来たから一安心。


「ところで、ライト。さっきの話なんだけど。」

「ギクっ!!。な、なんの話でしたっけ。」


「美容、........。」

「あ、はいはい、分かってます。用意しておきます。」


「ミーサ、その美容ってなんなの?。」

「実はねえ。」


 ヒソヒソヒソ!。



「えっ!、そんなことがあるの?。」


 なぜ、カエデとミーサの話を、ブラッディーや、婆やさん、ピピまでも聞き耳をたてて聞いている。


「ミ、ミーサさん。」

「どうしたの、ニッキー。」


「今の話、聞いちゃったんですけど。女性にもいろんな人がいると思うんですよね。だから、いろんな人が使ってみたほうが、いいんじゃないかって、思って。」


「そうよね。さんせ~い!。」

「そうニャ。獣人も使うかもしれニャいニャ。」


 えっ、なんで、10人で僕を見るんですか?。


「あのう、すいません。10人分用意しておきます。トホホ。」



「ようし、じゃあ、今日はみんなで、お風呂いこうか。」


「えっ、ミーサさん。ここって、お風呂あるんですか?。」

「あるわよ~。特大なのが。それにいつでも入れるように、ずっと、お湯が流れてるの。」


「すご~い!!。」


 なぜ、ハモル。



「私もこの間から、ここに住まわしてもらっているけど、旅してきた中でも、ここは最高!。」

「ええ~、ほんとですか。カエデさん。」


「じゃあ、私たちも使っていいんですか?。」

「そりゃ、これからここに住むんだから、当然よ。」


「やったあああああ~!!。」


 なんか、どこの世界でも、女子トークですね。


「じゃあ、ライト、よろしくね。」

「は、はい。」


 その後、彼女たちはお風呂に行った。



 で、僕は部屋に行き、美容液を10人分作ることになった。


「新作なんて、止めておけばよかったかなあ。」


 そうそう、ミノタウロスクイーンからコピーした、ミルク生成のスキルについて確認したら、どんな牛からとったミルクでも、クイーンから獲ったミルクと同じ成分まで、加工が出来ることが分かった。


 50階に何度も行かなくて済みそうなんで、それは助かったけど。



 そして、彼女たちがお風呂から上がるころ、僕は美容液2種類を、人数分リビングのテーブルに置いておいた。


 何やら、騒がしくなっていたけど、僕は他にやることがあったから、部屋にこもっていた。




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