第69話 憧れちゃうお姉さま
僕たちは、もう一回、挑戦する前に、反省会をやった。
「ニッキー。ちゃんと、やらないと駄目よ。」
「はい、すいません。ミーサさん。」
「教えているのは、Eランクのライトだけど。Eランクだって、馬鹿にしないでね。Eランクだけど、ミノタウロスを倒せる実力があるんだから。」
「はい、すいませんでした。」
「あ、あのう。カエデさんて、強いんですね。」
「あら、そうかしら。ミーサと同じぐらいよ。」
「えっ!。もしかして、Aランクなんですか?。」
「そうだけど。」
五人が、羨望の眼差しで見ていた。
さっき、ミーサに、怒られたばっかでしょ。
大丈夫ですか。
「ちゃんと出来るように、もう一回行くわよ。」
「ニッキー。コツは、布を自分の正面じゃなくて、脇で動かして誘うこと。いい。」
「はい、ミーサさん、カエデさん。」
なんか、返事が増えてるし。
そっちの話は、聞くんか~い。
僕たちは、通路を回って、50階のボス部屋に入った。
ゴゴゴゴゴゴゴ!!。
扉が閉まる音が、聞こえる。
今度も、5体だけがでてきた。
さっきの失敗もあったが、今度は初めから、ニッキーが相手をした。
「ニッキーさん、相手をよく見ていてくださいね。布は脇ですよ。」
「分かってるわよ。」
今度は落ち着いて、対応できそうだ。
布を取り出すと、ミノタウロスに向かって、ひらひらさせてみる。
右足を前後に、
ズシャッ!。
ズシャッ!。
っと掻き始める。
ミノタウロスが、突っ込んできた。
ニッキーは、ヒラヒラさせていた布を、ハラリとさせてかわす。
「上手い、上手い、そうですよ。」
それからニッキーは、何回かかわして見せる。
しばらく経つと、ミノタウロスが疲れてきたようで、勢いが無くなってくる。
「そろそろかな。ニッキーさん、動きを止めて、止めです。」
「分かったわ。」
ニッキーは、剣を抜いて、布と合わせて構える。
そして、次に突進してきた時に、すれ違いざま、
ザシュッ!。
ミノタウロスの右足に一撃!。
動きが止まったミノタウロスを、回り込みながら、止めを刺した。
「どうですか?。」
「ええ、慣れてきたら、大丈夫ね。」
その後は、残りの4人も順番にやってみた。
僕は、
「じゃあ、最後に五人全員で、やってみましょうか。」
「五人全員でって、そんなの、大丈夫なの?。」
「ええ、それぞれが相手を、布に集中させながら、間隔を空けて離れていけば、後は、今まで確認したとおりに、出来るはずです。」
まずは、僕たちが見本を見せる。
それぞれが布をチラつかせて、部屋の違う方向へ誘導し、後は手順どりにやって見せる。
「どうです。お互いの間隔がある程度、離れれば、後は、今まで通りだったでしょう。」
「分かったわ。今度は、私たちのパーティーだけでやってみる。」
「じゃあ、最後の一戦だね。」
だが、ここでアイツがやってきた。
ボス部屋の扉が閉まる。
いつものように湧き出て、だんだん形が出来上がってくる。
「あっ!!。」
「一、二、三、四、五、六?、ここでかよ。」
「みんな、落ち着いて。上位種が出たわ。みんなは、予定通り5体を相手にして。」
「あれって、王冠被ってるけど。」
「あれが、キングよ。」
「ミーサさん。キングって、初めて見ましたよ。」
「さあ、みんな。ライトの言うとおり、ちゃんと、五体を相手にして。」
「はい!!。」
それぞれが、一体ずつを、さっき僕たちがやったように、離れた位置に誘導し、練習通り倒して見せる。
「よし、後はキングね。私がやるわ。」
カエデが、前に出る。
「カエデさん、ちょっと待って。」
「えっ!。どうしたの?。」
「あいつには、技を出させたいんだ。」
「技を?!。」
「技の最中でも、今回のやり方が通じるのか、確認したいんだ。それが出来れば、みんな、攻略が出来るはずなんだ。」
「そうか。そうね、分かった。」
「どうすればいいの?。」
「普通に武器同士で争って、時間を掛ければ、技を出してくると思うんだけど。」
「分かったわ。やってみる。」
キングに、対峙するカエデ。
キングは、カエデに、斧をぶん回してくる。
ぶん!!。
ひらっ!!。
ぶん!!。
ひらっ!!。
大ぶりな攻撃を、なんなくかわすカエデ。
斧の攻撃が当たらないキングは、突進と角による攻撃に切り替えてきた。
突進を繰り返すキング。
と、その時、カエデの脇を抜けるはずが、急ブレーキで直後に止まった。
振り向きざまに、角による攻撃が、カエデを襲う。
剣の柄と刃の先の峰を持ち、攻撃をかわすカエデ。
しかし、力が勝るキングに弾き飛ばされる。
心配そうに見つめるブラッディーファングのメンバ。
飛ばされた先で、剣を収めるカエデ。
そして右手には、棒を握っていた。
「あれって?。」
ミノタウロスが、カエデに迫る。
カエデが、右手を振ると、先ほどの棒が槍となる。
「カッコイイ!!。」
おいおい、そこかよ。
僕は、突っ込みたかった。
勢いのある突進をかわすカエデ。
ミノタウロスは、急ブレーキで直後に止まり、首を傾けながら角でカエデに迫る。
カエデは、両手で槍を握り、角と角の間に槍を挟ませて、かわす。
ブモォッ!。
ブモォッ!。
ブモォッ!。
首を必死に動かし、角で攻撃するキング。
不意に左下から、斧で切り付けてきた。
「ちっ!!。」
カエデは、飛びのき、斧を避ける。
再び、間を開けて対峙する。
その時だった。
キングが、鼻息荒く、
バフっ!!。
って、息を吐くと、離れた位置から斧を振り出した。
「やっぱり、出したな。」
振った斧を、遠心力で体ごと回転を始める。
「なんなんですか。あれ?!。」
「斧嵐って技だよ。僕たちも前回、あれで攻撃されたんだ。」
唖然とするブラッディーファングのメンバ。
「か、カエデさん、大丈夫なんですか?。」
「多分、大丈夫。あれ、わざと技を出すまで、戦いを伸ばしているから。」
「ええ~!!。嘘でしょ。どうするんですか?。」
「ちょっと、確認したいことがあって。」
キングは、回転する速度が増してくると、風が起こり、どんどん大きくなる。
更に、回転速度が上がり、竜巻のようになる。
そして、竜巻の進行方向に、無数の斧が現れる。
「あ、あんなのどうするんですか?。」
「カエデさん、じゃあ、お願いします。」
「分かったわ。でも、竜巻ギリギリじゃあ、危ないわね。」
「そうですね。早めに避けたほうが、いいかもしれないです。」
「分かったわ。」
カエデは、布を取り出し、ヒラヒラさせる。
「嘘でしょ。あれでも通じるんですか?。」
「それを確かめたかったんだ。だって、他の人が遭遇したら、危ないからね。」
竜巻に向かって、布をひらひらさせるカエデに、竜巻が向かう。
近づいてくると、早めにかわしてみせるカエデ。
何度か、かわしてみせると。
「カエデさん、やっぱり、習性で向かってくるみたいです。それに、正面は見えているみたいですけど、少しずれると見えないみたいですね。今の要領で、続けてください。」
「そうね。そんな感じよ。分かったわ。」
慣れてきたカエデは、かわし続ける。
しばらくすると、竜巻が小さくなってくる。
「疲れてきたな。カエデさん、小さくなり始めました。多分、もうすぐです。」
「了解よ。」
そして、とうとう、キングは、回転を止めた。
カエデは、疲れ切ったキングに対しても、回り込みながら止めを刺した。
キングは、倒されると王冠と、肉をドロップした
それを拾って、カエデが戻ってくる。
「カエデさん、お疲れ様です!!。」
戻ってきたカエデは、不意に王冠を、メグに投げて寄こした。
「えっ!。カエデさん、これって。」
「あんた達、頑張ったから、ご褒美であげるわ。」
「カ、カエデさん、.......。ありがとうございます!!。」
僕達は、ブラッディーファングのメンバと、引き上げた。
「ブラッディーファングのみなさん、どうでしたか、攻略。上位が出ても同じ要領なので。それに、もし、技を出してきても同じ要領でいけますから。」
「は、はい。」
あれ、なんか疲れましたかね。




