第63話 そして、またもや新たな料理?
「それって、婆やさんが出してくれた。」
「そう、ニンニクとショウガ。」
「じゃあ、お肉を買って来たほうがいいよね。」
「うん、そうだね。牛と豚がいいんだけど。ちょっと、いい肉がいいなあ。ついでにキャベツとパンも。」
「分かったわ。買出しに行ってくるわね。」
「私も、一緒に参りましょう。これから買い物に、行くこともあるでしょうから。」
「婆やさん、ありがとうございます。よろしくお願いします。」
そうして、メイサと婆やさんが、買出しに行ってくれた。
僕は、その間に、使ってなさそうな箱を探した。
そして、庭に行き、箱の2/3ぐらいまで、土を詰めて持ってきた。
頼む、上手くいってくれ。
貰ったニンニクとショウガを、箱の土に埋めて、部屋の日が差す場所に置いた。
魔法を使ったら、どうなるかは分からないけど、少し、木属性の魔法を掛けてみる。
「ニンニクとショウガ、上手く育て!!、数が多くなるイメージで。」
魔力を注いでみた。
いっぺんに出来るかも分からないから、少しづつやってみよう。
そうこうしているうちに、メイサと婆やさんが帰ってきた。
「ライト、買ってきたわよ。」
「じゃあ、牛はステーキで、豚は生姜焼きにするね。」
「分かったけど、どんな料理なの。どうするの?。」
「ステーキは、婆やさんが、生姜焼きはメイサが作ってみようか。」
「えっ!、どうして?。」
「だって、お互いに作れるようになったほうが、幅が広がるだろ。」
「そ、そうね。」
「じゃあ、婆やさんは、肉をこれぐらいの厚さに切ってください。メイサは豚肉を薄く切って。」
「はいはい、分かりました。」
「婆やさんは、その後、ニンニクを薄く切ってください。メイサは、ショウガを摺り下ろして。」
「はい。」
「婆やさんは、鉄板の上に網を載せて、温めてください。メイサは、ショウガに醤油と酒、砂糖を入れて、お肉を入れて揉んでください。」
「はい。」
「婆やさん、網が熱くなったら、肉を載せてくださいね。」
「これは、なんで鉄板の上に、網なんですかね。」
「鉄板で焼いてもいいんですが、余計な油を落として美味しくするためなんです。」
「なるほど、そうですか。」
「メイサは、油をひいたら、そのまま焼いちゃっていいよ。」
「分かったわ。」
「ある程度、出来たら、火を止めて、その間に、キャベツを千切りにして。」
「うん、わかった。」
「婆やさん、肉に焼き目が付いたら、網を外してください。肉から出た油をそのままで、そこにニンニクを炒めてください。」
ジュワッ!!。
「いいですよ。香りが立ってきたら、さっきの肉をもう一度、そこに乗せて香りを付けます。」
「はい。」
いやあ~!!、香りも昔の世界を、思い出すいい香りだ。
「んっ!!。」
なんか、視線が!!。
僕が振り向くと、ミーサとカエデさん、ピピとポポが、ジッと見ていた。
そうだよね。
そそられる香りだもんね。
「メイサ、婆やさん。出来たらお皿に盛って、運びましょう。」
「それじゃあ、頂きます。」
「ライト、このステーキ、香りが食欲をそそるわね。」
「そうね、こんな食べ方があったのね。」
「でも、カエデさんと婆やさんって、生ニンニクを、どうしていたんですか?。」
「焼いて食べていましたよ。」
「疲れを取るのに、いいとされているのよ。」
この世界でも、同じようなことなんだね。
「さあさあ、こっちの生姜焼きも食べてみて。キャベツも一緒にね。」
「うん、うん、こっちも美味しいわ。こんなの初めて食べたわ。」
「カエデさんたちが、東の国の調味料を持ってたんで、出来たんだ。」
「しかし、ライト殿は、小さい時のことを、よく覚えておいでですね。」
「小さい時って、ライトは物心ついた時から孤児院で、....。」
僕は、メイサに、
シーっ!!。
って、人差し指を口に当ててやってみた。
メイサは、
「あっ!。」
って顔をして、話を止めた。
「そうなんですよ。ライトって記憶だけはいいんで。」
ミーサが、何とかごまかした。
でも、いずれ話さないといけないことは知っている。
その時が、お別れなのかもしれないけど。
そんな時に、サンニャがやってきた。
「よしよし、あなたたちのは、別にあるからね。」
メイサが、いつものように、餌を用意してあげていた。
「その猫は?。」
「僕たちと一緒にいる猫ですよ。」
「変わった猫ね。金色っていうか、見たことない色ね。」
「そ、そうですかね。」
後から、ブリーニャもやってきた。
ふと、見つめあうカエデとブリーニャ。
にゃああああああ!!。
「な、何、この猫。何か引き寄せられるような。こっちも、青なんて珍しいわね。」
「すいません。黙っていようかと思ったんですが、ちょっと、訳ありで。」
「えっ!!、訳ありって?。」
「実は、.......。」
北の森の出来事を、カエデさんと婆やさんへ話した。
「えっ!!、じゃあ、この子たちが、守護獣なの?。」
「ええ、そうなんです。何故か付いてきちゃって。」
ブリーニャは、カエデに擦り寄って、懐いたようだった。
「守護獣って、守護するもの現れし、........。」
「知っているんですか?。伝説。」
「私の国にも、同じ言い伝えがあるから。でも、未だかつて姿を見た人はいないわ。」
「やっぱり、そうなんですね。一体、何しに出てきたんですかね。」
たぶん、ライト以外は、みんな「あんただよ!。」って思った。
side:カエデ
「カエデ様、宜しかったのですか?。あの者達に付いてきて。」
「ええ、災いを転じて福となす。国を出てから、いろんな国を渡ってきたけど、ろくなことがなかったわ。でも、やっと、やっと、巡り会えたような気がする。」
「あの、ライトという青年ですか?。」
「そうよ。婆やも見たでしょ。あの槍捌き。始めて槍を扱ったものとも思えない捌きだった。それに、一の槍なんて、どうやって知ったのかしら。私が一回やっただけよ。それを、正しい持ち手に変えて、突いて見せるなんて。」
「そうでしたな。しかし、昔、東の国に関わった人間が教えたのでは。」
「いいえ、食事の時に、メイサが口を滑らせたでしょ。物心ついた時から、孤児だったって。何か私たちに言えないことがあるのね。」
「それでは、彼らを信用しても大丈夫なのでしょうか?。」
「そうね。でも、彼らはそんな人間じゃないは、きっと。だって、あの伝説の守護獣がいたのよ。そんな、人を騙すような人間に、守護獣が付くとは思えない。」
「じゃあ、カエデ様は信じてみると。」
「ええ、しばらく一緒に居てみようと思うわ。それに、あのミーサが、信じているんだもの。あの剣捌きも、只者じゃないわ。紙一重だった。剣を交えたから分かる。彼女は本物。その彼女が一緒にいるんだもの、彼だってきっと、只者じゃない、何か理由があるんだわ。」
「姫様が、そうおっしゃるのなら、何も言いますまい。」
「婆や、わがまま言ってごめんなさい。でも、父上を超えるぐらいの男を、探さないとあの国は変わらないから。」
「そうでございますね。姫。」




