第60話 東の国の冒険者
その日、僕とミーサは、ギルドに来ていた。
ミーサが、Aランクへ上がったからだ。
窓口で、イザベラさんへ声を掛けると、ギルマスの部屋に通された。
「ギルマス、ミーサさんが来ました。」
「ミーサ、ライト。まあ、座れ。」
あれ、今日は、なんかギルマスが、真面目なんだけど。
「それでは、冒険者ミーサ。今までの功績により、Aランクに認定する。」
ギルマスが、新しいギルドカードを、ミーサに渡した。
「ゴールドカードなんですね。」
「ライトは、見たことないのか。Aランクはゴールド、Sランクはプラチナだ。」
「やっぱり、上位は凄いんですね。」
「それになAランクになると、専用の職員が付くんだ。ミーサ、お前には、イザベラだ。まあ、今までとあまり変わらんかもしれんけど。あと、ダンジョンや町への優先入場ができるぞ。そろそろキングに行くんだろ。」
「ええ、今、準備をしているところ。」
「そうか、お前も知っていると思うが、50階層の転移の他に、80階層でも見つかったんだ。」
「ええっ!!。転移できるの?。」
「そうだ。しかし、条件があるんだ。」
「条件?。」
「どうも、最後に戻った時に、暗号があるらしく、暗号がないと戻れないらしい。」
「じゃあ、もし、自分たちが戻った後に、誰かが戻ったら、使えないってこと。」
「そうだ。」
「それ、どこからの情報なの?。」
「アルフォードさ。」
「ピピやポポからは、聞いてないわよ。」
「まあ、戻ったら確認してみてくれ。」
「どっちみち、今のところ、アルフォードの攻略部隊が独占状態だからな。」
んん~ん、困ったなあ。
最短で攻略するには、結局はアルフォードなのか。
やっぱり、利用するしかないんだよなあ。
そんな話が終わり、帰ろうとすると。
何故か、ギルドの受付向かいの壁際周辺で、異変が、....。
いつもは、いろんな人が、ごちゃごちゃとしているが、一角だけ違った。
そこに、見慣れない装備を付けた、女の人が二人いた。
一人は、これはまた、前の世界でいう和風の美人だった。
もう一人は、冒険者としては、お年をめした人だった。
雰囲気もそうだが、その美しさに、周りの冒険者もどうしたらいいのか、迷っているようだった。
ミーサも気づいて、
「ライト、変わった人がいるわね。他の国から来たのかしら。」
でも、僕だけは知っていた。
「多分、東の国だよ。」
「ええっ!!。ライト知っているの?。」
「いや、見たことはないけど、前の世界でいう、東の国の人に、似ているんだ。」
二人と目が合った。
まあ、声をかけてみるかな。
ナンパもしたことないけど、向こうも困っていそうだし。
「あの、何かお困りですか?。」
ブワアアン!。
「うっ!!。」
なんか、凄いプレッシャーを掛けられているんですけど。
でも、ミーサと訓練した僕は、受け止めた。
「ほう、近づいてきた者で、初めて、威圧を受けれる者がいたとは。」
「あの、そろそろ、もういいですか。止めてもらって。」
「あい、分かった。」
「ふうう!!。」
なんか疲れるな。
「ところで、どうされたんですか?。」
「こちらで、冒険者の仕事を貰おうと思っておったのだが、なかなか話が出来ずにおったのだ。」
いやいや、それは、凄いプレッシャーを掛けているからですよ。
「僕でよければ案内しますよ。申し遅れました、僕はライト。こっちは、ミーサです。」
「こちらこそ、挨拶もせずにすまぬな。わたしはカエデ、こっちはトメ。」
「すいません、もしかして東の国から来られたんですか?。」
「分かるのか?。」
「ええ、以前、ちょっと。」
「言われる通り、海を渡ってこちらの国にやってきた。」
「いや~、懐かしいなあ。ほんと、よく似てる。」
シマッタ!!。
思わず喋ってしまった。
「お主は、東の国に来たことがあるのか?。」
「あっ!、いえいえ。ライトは、孤児院に来る前に育ててくれた人が、東の国の話をよくしていたらしいので。ね、ねえ、ライト。」
「そ、そうなんです。小さい時で、懐かしくて。」
「そうであったか。」
「ところで、どんな仕事を探してるんですか?。」
「そうよなあ、ここはダンジョンとかという所で、稼げると聞いたのだが。」
「もしかして、キングですか?。」
「そう、それそれ。大したお宝があるとか。」
「僕たちもこれから、ダンジョンへ行くんですよ。もしよかったら一緒に。」
ミーサが耳元で囁く。
「ライト、大丈夫なの?。どんな素性かもしれないのよ。」
「だって、異国からきて、可哀そうじゃないか。下のほうへ行くわけじゃないし、お試しで途中の階層でも、腕試ししてみても、いいんじゃない。」
「分かったわ。」
「それに、東の国の話、聞いてみたいんだ。」
「そうか、前のね。」
「忝い《かたじけない》。」
「どこまで、ご一緒できるかわかりませんが、それでも宜しければ。」
「よろしくお願い致します。」
「じゃあ、ここで立ち話もなんですから、僕たちの家にでも行きませんか?。」
「お主たちのか。」
「ええ。新しく借りたんんで、広くてゆっくりできますよ。」
「そ、そうか。重ね重ね、忝い。」
僕とミーサは、カエデさんとトメさんを連れて、屋敷に帰った。
「こ、ここがお主たちの家か?。」
「ええ、そうですよ。いろいろとあって、ここに住んでます。」
「遠慮しないで、入ってください。」
そりゃ、そうだよね。
なんてったって、国一番の貴族の屋敷なんだから。
カエデさんとトメさんを、リビングに通した。
「どうぞ、座ってください。」
「こ、ここで、よいのか?。」
「ええ、どうぞ。ああ!、そうか。国じゃあ、こんな四角い小さい布団ですよね。」
「おお、座布団を知っているのか。」
「あっ!!。」
また、やっちゃったよ。
どうもダメだな。
昔のことを思い出しちゃって。
「あはははははは!。」
笑って、誤魔化そう。
「カエデさんとトメさんて、いつこの国に、来られたんですか?。」
「そうよなあ、もう、2年は経つか。」
「に、二年!!。それなのにギルドの要領とかも、分かっていないんですか?。」
「ライト殿、話せば長いのだが、確かにギルドには、何回もいったのだが。その度に騙されたり、利用されたりして、今に至っておってのう。」
「苦労されたんですね。だから、変なのが言い寄らないように、あんなやり方をしたんですね。すいません、ご迷惑をお掛けして。」
「そなたが誤る必要はないであろう。悪い奴は他の奴じゃ。」
そんな話をしていたら、メイサがお茶を入れてくれた。
「これも、どうぞ。」
プリンだね。
気が利く!!。
「これは?。」
「今、彼女が料理を手伝っている宿屋で、出している料理です。甘くて美味しいって評判なんですよ。どうぞ、食べてみてください。」
「ほう、これが。なんかプルプルしてますなあ。」
「カエデ様、まずは私が。」
トメさん、毒みなんですね。
「ん!、こ、これは、.......。」
カエデさん、僕を睨まないで!!。
ト、トメさん。
ええ!!、一気食いした。
「カエデ様、大変、美味しゅうございます。」
旨いんか~~い!!
カエデさんも食べてみた。
「こ、これは、.......。こんな食べ物があるとは。」
ちょっと、落ち着いたかなあ。




