第59話 キングと夢と遺恨と未来(後編)
「それと、アルフォードについて、もう一つ、言っておかなければいけないことがあるんだ。彼は人間至上主義者なんだ。」
「人間至上主義ですか?。」
「そうなんだ。だから、エルフとのハーフである私が、王家に一番近いのが気に入らない。王家についても、過去には、アルフォードに近い考えの王もいたんだ。だけどね、現在の王は、私と同じ考えだ。人間以外とも共存することで、この国を営んでいくというね。」
「じゃあ、最終階層にあるお宝を手に入れたら、そのお宝で何か企みがあるかもしれないと。」
「そうかもしれない。だから、彼らよりも先に手に入れて欲しいんだ。」
「あの、フォルスタッドさん、そんな重要なこと、Eランクの僕でいいんでしょうか?。」
「フフっ、相変わらずだね。私は、君にしか出来ないと思っているよ。きっと、ミーサやメイサも同じじゃないかな。じゃあ、聞いてみるけど。もし、君と出会っていなかったら、今の自分があると思うかい。ミーサ、メイサ。」
「正直に言って、無理だと思います。今の彼に会わなかったら、ここまで成長できるまでに、後、何年掛かっていたかと思います。」
「わたしも同じです。あんな料理の仕方なんかを、一人では思いつきもしません。」
「彼とだったら、ダンジョンキングも制覇できる、更に最強って呼ばれる冒険者にもなれます。」
ミーサが僕を、ジッと見ている。
「私も、世界で一番の料理人になれます。」
メイサも僕を、ジッと見ている。
「ライト、君には周りに影響を与える力がある。そして、誰も思いもつかない発想がある。前にも言ったと思うけど、私は300歳を超えているけど、君のような人間に出会ったのは初めてだよ。きっと、君は今の時代に必要なんだと思うんだ。だから、力を貸して欲しい。」
なんか、めちゃくちゃ期待されちゃってるような。
でも、前世じゃあ、そんな事もなかったし。
悪い気はしないけど、結構、プレッシャーなんだけどなあ。
「でも、ダンジョンキングに挑むには、どのみちアルフォードの影響があるんですよね。」
「そうなんだよ。アルフォードは、昔からキングにこだわっていてね。最終階層のお宝に、何かを期待しているんだ。」
「僕たちも、制覇を目指しますから、利用できるところは、使わさせてもらいます。」
「たぶん、ミーサがAランクになることも、掴んでいるだろうから、向こうから誘いをかけて来るかもしれないよ。」
「まあ、そうしたら、利用してやりますよ。」
「アルフォードは、抜け目のない奴だから慎重にな。」
「分かりました。できる限りやってみます。」
「そうだ、いつまでもキングキャッスルじゃあ不便だろう。私の屋敷を使ってみたらどうだろうか。」
「ええっ!!。フォルスタッドさんの屋敷ですか?。」
「ああ、改装しているのは、新しく購入した屋敷でね。以前に使っていた屋敷は、そのままなんだ。売りに出すのはいつでもできるからね。」
どんだけ金持ちなんだろう。
いつまでも、コマースさんにお世話になっていてもなあ。
それに、ここじゃあ、何かあった時に、大変だよなあ。
「フォルスタッドさん、その申し出、遠慮なく受けさせていただきます。」
「そうかそうか、よかったよ。これからダンジョンやアルフォードの件で、何かあったら、連絡をしてくれれば、協力はさせてもらうよ。」
「ありがとうございます。」
翌朝、僕たちは、リンドさんに連れられて、フォルスタッドさんの屋敷に行ってみた。
場所は、王都でも高級住宅の一角にあり、利便性はとてもいい。
「こちらが、フォルスタッド公爵の邸宅ですよ。」
「ええっ!!。門だけでも一軒家ぐらい、ありそうなんですけ。」
「そうそう、一応、重要な貴族が持っている王都の邸宅は、騎士が警護しているのからね。」
やっぱり、別格の人なんですね、フォルスタッドさん。
リンドさんが、手を挙げると門を開けてくれた。
なんか僕たちじゃあ、住みずらいんですけど。
中に入っても、これぞ豪邸って感じだった。
部屋は全部で15部屋。
前の世界でいう豪華なホテルにあるような大浴場があるから、僕としては、物凄く満足できそうな屋敷です。
もっと凄いのは、地下に訓練場があって、物理、魔法、防音の特殊効果があるらしい。
これ、もう学校の体育館ですよね。
メイドとかは、相談した結果、遠慮させてもらった。
キングの件が決着するまでは、なるべく人と関わらないほうがいいと思ったんだ。
だけど、掃除とか雑用は、依頼したらやってくれるらしい。
ほんと、すいません。
メイサは、キッチンがお店のように使えるので、満足だったようだ。
ミーサは、やっぱり、地下にある訓練場に惹かれたらしい。
そんな施設がある家なんて、そうそうないよね。
コマースさんと、デライトさんには、挨拶をして、今日からこっちで生活することにした。
さあ、ダンジョンキングに挑戦だ!!




