第58話 キングと夢と遺恨と未来(前編)
その日、僕たちがキングキャッスルへ帰ると、フォルスタッドさんから、夕食が終わったら、お茶でもどうかとお誘いがあった。
「ランドさん、わかりました。お部屋に伺えば宜しいでしょうか?。」
「はい、部屋でお待ちしています。」
「分かりました。食事が終わりましたらお伺いします。」
「できれば、ミーサ、メイサ、ピピ、ポポも一緒に来ていただけると。」
「エッ!、ピピとポポもですか?。」
「ええ、大事な話なので。」
「わ、分かりました。連れていきます。」
でも、フォルスタッドさん、なんでピピとポポがいることを、知っているんだろう。
まあ、確かにいろいろと情報は、知っていそうだからなあ。
気にしないでおこう。
そして夜になり食事を済ませた僕たちは、フォルスタッドさんの部屋に行った。
コン!、コン!。
「フォルスタッド様、ライト達が来ました。」
「入っていいよ。」
その部屋は、キングキャッスルの中だけど、豪華な書斎を思わせる部屋だった。
「やあ、ライト。みんなもよく来てくれた。足を運んでくれて嬉しいよ。」
「フォルスタッドさん、何か僕たちに話があると、伺ったのですが。」
「そうなんだ。さあ、遠慮しないで座ってくれたまえ。」
僕たち5人は、フォルスタッドさんが座っているデスクの、向かいにあるソファへ腰を下ろした。
「話によると君たちは、近々、ダンジョンキングへ向かうと聞いたんだが。」
「はい、フォルスタッドさん。ダンジョンキングの攻略は、私の昔からの夢なので、ライト達と挑もうかと思っています。」
「そうかね。ところで、ピピとポポ、君たちも一緒に行くのかい。」
ピピとポポが、僕を見た。
「はい、彼らさえ良ければ、僕は、出来れば一緒に行ってほしいと思っています。」
「い、行くニャ!。ライトが行けって言えば。恩を返すニャ。」
「話は分かった。そうか、キングに挑むのなら、話をしないといけないことがあるんだ。今日は、その為に来てもらったんだよ。」
その時だった。
フォルスタッドさんが、手をかざすと僕たちの周りに、何かが出来上がったような感じがした。
「流石だね。ライト君。気が付いたかね。」
「えっ!。今、何かが僕たちの周りに出来たような。」
「そうだね。他の人に話を聞かれないように、風魔法で囲ったんだ。」
「それだけ重要なことなんですね。」
「ああ、この国にも、影響があるかもしれないからね。」
ええ~!、僕、只のEランクの冒険者なんですけど。
「ピピとポポから、少しは話を聞いたかもしれないけど、キングを狙っているのは、アルフォード侯爵。そして彼は、この国の裏で悪事を働いている元凶とでも言っておこうか。」
「フォルスタッドさん、そこまで言われるってことは、ある程度、証拠だったり、証人だったりがいるんですよね。」
「そうだね。過去には居たね。」
「過去ですか?。今でもアルフォード侯爵が健在ということは、捕まえられなかったってことなんですか?。」
「ああ。いざ、アルフォードの犯罪を、立証出来る寸前まで来るとね、証人が死んだり、証拠が紛失したりしてね。」
「それもアルフォード侯爵が、手を回してるってことなんですか?。」
「そうだね。どうやっているかは分からないけど、証人の死体を調べても、発作で死んだとしか見えないんだ。証拠も信用していた人間が持ち逃げして、死体で発見されたりしてね。」
「きっと、その信用していた人間も、発作で死んだように見えるんですよね。」
「ライト、よく分かるね。実はそうなんだ。外傷も毒も、何も見つからなくてね。現場には証拠だけが無くなっていて、死体だけが見つかるんだ。」
「だから今まで、罪を問えないでいるんですね。」
「ああ、わたしも王も手の打ちようが無くてね。」
「そこで、君たちがキングに挑むと聞いてね。ピピとポポには悪いけど、アルフォードに接近してくれないか?。」
「そこで、何かの証拠なり、手口が分からないかってことですね。」
「ああ、ライト。君なら何かに気づくんじゃないかと思ってるんだ。」
「僕ですか?。」
「すまないけど、君のことは調べさせてもらったよ。信用していないとかじゃないんだ。なぜ、守護獣が、君と一緒にいるのかも気になってね。」
「守護獣って、やっぱり、気づいていたんですね。」
「ああ、君が初めて、猫を連れてきたときにね。君は不思議な青年だね。ダンジョンで遭難して、生き残った。そしてキラービーやクロードの件。アルフレッドも随分、君のことを気にかけていたからね。」
「アルフレッドさんに、会ったんですか?。」
「ああ、王宮でね。機会があれば、また会えるさ。アルフレッドも会いたがっていたよ。」
「フォルスタッドさん、ピピとポポが証人ではダメなんですか?。」
「そうだね、ピピとポポが話したとしよう。だけど、実際に脅されていた本人が否定したら、意味がないだろうね。」
「それは、何か集団で洗脳されているとか、裏切らないような、何かがあるってことですか?。」
「そうなんだよ。その何かを突き止めない限り、アルフォードを止められないと思っているよ。」
「そういえば、アルフォード侯爵も領地がありますよね。領民はどうなっているんですか。」
「ああ、領地には、表も裏も手を回して調べたさ。表では何もない。領民も何も問題なく暮らしていると回答しているし、生活しているように見える。裏については、帰ってきたものはいない。」
「いないって、帰ってこないってことですか?。じゃあ、殺されたってことですか?。」
「それが、分からないんだよ。死体も出ないし、行方不明と言ったほうが正しいかな。」
「ピピ、ポポは、何か心当たりはないの?。」
「確かに、家族がいるようニャやつらはみんな、家族も領地に行っているニャ。だけど不満や不信があって辞めようとすると、家族をたてに脅されるニャ。どうやって家族を人質に、脅かされているかは分からないニャ。誰もしゃべらないニャ。」
「調べた結果と同じようだね。結局、誰も喋らないし、裏切ろうとした人間は、突然、死んでしまう。」
「やっぱり、何か秘密があるんですね。」
「ライト、この国の将来がかかっているんだ。闇を無くし、近隣の国の見本となるべく進んでいく未来。私に力を貸してくれないか。」
僕に、そんな力は、無いような気がしますけど、.....。




