第47話 サイクロプスと猫
「いたたたたた~!!。」
「だ、大丈夫なの?。」
ギリギリの所で、間に合った僕は、二匹の猫を抱えて、
「まあ、何とかね。吹っ飛ばされたけど、猫も無事。」
「ちょっと、気を付けてよ。一発貰ったら、即死よ。」
僕は、猫を抱えながら、サイクロプスの周を、グルグル回った。
サイクロプスは、それを追うように、こん棒を振り回す。
僕は、周回を止めて、木の陰に隠れた。
サイクロプスは、相変わらずこん棒を、叩きつけている。
「噂通りのおバカさんだな。実物は、初めて見たけど、前世の本で読んだ話の通りだ。」
さて、どうする。
とりあえず鑑定しておきますか。
サイクロプスリーダー:レベル78 HP 670/MP 230
スキル 怪力 レベル9 遠視 レベル7
ええ~と、もしもし、リーダーというのは何でしょうか?。
ハハハハハハ、上位種でしょうかね。
まさかね。
だから、いやだって言ったのに。
とりあえず、ミーサの所に行かなくちゃ。
木の陰から探すと、元々いた場所から、少し離れた木の陰に、いることが分かった。
相変わらず、やたらめったら、こん棒を振り回して、そこいらじゅうを叩いて回っている。
僕は、視線が向いていないのを見計らいながら、木の陰から木の陰へ、移動する。
元々、僕たちがいた辺りまで戻ると、ミーサが見えた。
もう少し。
次に振り回したら、移動だ。
パキッ!。
しまった!!。
小枝を踏んでしまった。
いやな予感。
振り向いた先には、既にこん棒が、迫っていた。
逃げようにも、間に合わない。
一か八か、コピーした怪力を、スキルセットに入れて、
「ミーサ、逃げて!!。」
「ごめんな。守ってやれなくて。」
僕は、猫に声を掛けた。
どごおおおおおおおおおお~ん!!。
こん棒が降ってきた。
「ライト~~~~!!。」
ミーサの声が聞こえた。
「ぬううううううううううう。」
僕はこん棒を、受け止めた。
だけど、太ももぐらいまでが、地面に埋まってしまった。
助けた猫達は、手を離した時のまま、傍らにいた。
サイクロプスを見ると、こん棒が持ち上がらないのが、不思議なようだ。
そして、力比べになった。
「ミ、ミーサ、聞こえる。こん棒を抑えているけど、足が埋まってるんだ。僕は動けない。早く、猫を、猫を連れて逃げて。」
「ライト?。ライト!、無事なの。」
「こいつのスキルをコピーして、怪力同士でぶつかったんだ。でも、使いこなせていないから、僕の方が、先に力が尽きるから、だから、だから、早く来て。猫を連れてって。」
「でも、そうしたら、ライトが。」
「僕のことは気にしないで、何とかするから。それよりもギルドに知らせて。こいつサイクロプスリーダーなんだ。王都まで行ったら、大変なことになる。」
「で、でも、ライトが。」
「ごめん、ここは僕が何とかするから、早く。ミーサ、僕よりも街が危険なんだ。」
ミーサが、すぐにやってきて、猫を連れて行った。
「ライト、死んじゃだめだよ。私のこと幸せにするっていったじゃない。」
僕は、そうは言ったが、何の策も手も、無かった。
力が尽きるまで、こん棒を抑えるしか。
手を離したら、魔力が尽きるまで、魔法を打つまでだ。
それが終われば、.....。
「ミーサ、僕は大丈夫だから、早く行って。」
ミーサ、ごめん。
約束守れないかもしれない。
メイサ、ごめん。
お昼ご飯、美味しかったよ。
さあ、覚悟は決まった。
「サイクロプスのやろう!!。」
って思ったら、まだ、ミーサが少し離れたところで、立ち止まっていた。
「ミーサ。早く、.......。エッ!!。ええっ?!。」
「ライト。猫、猫が.....!!。」
フフフフフフ、ハハハハハハ、オモシロイヨ。
コンナニンゲンガ、イルナンテ。
ワタシタチヲ、カバッテ。
マモッテ、ジブンヲギセイニ、シヨウナンテ。
ハハハハハハ、オモシロイ、ニンゲンナンテ、ジブンカッテダト、オモッテイタヨ。コイツトイタラ、オモシロイカモネ。
ソウダナ。
コイツナラ、コレカラサキヲ、ミテミタイ。
二匹の猫が叫んだ!!。
「ミャアア~!!。」
「シャアアアア~!!。」
ミーサが、片手で一匹づつ持っていた猫が、光っている。
一匹の毛の色が、黄色から金色そして黄金に。
もう一匹も、青色から青白く、そして氷山の様に青く。
「あれっ?、こん棒の力が弱くなった?。」
そして、サイクロプスは、こん棒から手を離した。
少しづつ、後づさるサイクロプス。
サイクロプスは、狩る側から、狩られる側になった獲物の様に、圧倒的な強者からの威圧に怯えていた。
二匹の猫は、ミーサの手から、二筋の金色の光と、青色の光になって、サイクロプスに迫った。
青い光は、足元から腰まで、駆け上がると僕の傍らに戻った。
サイクロプスを見ると、下半身が氷漬けとなり、身動きが出来ずに、もがいていた。
金色の光は、右の肩口から腰まで一閃したかと思うと、再び、駆け上がり、サイクロプスの頭の上にいた。
サイクロプスの右肩から腰までは、5本の金色の線が走り、切り裂かれていた。
「グヲオオオオオオオオオ!!。」
絶叫を上げるサイクロプス。
そして、頭の上にいた黄金の猫が毛を逆立て、
「シャアアアアアアアア~!!。」
と叫ぶと、サイクロプスの頭上に、巨大な稲妻が落ちてきた。
ドッ、ゴオオオオオオオオオ~ん!!。
バリバリバリバリバリ~ん!!。
そして、サイクロプスは、動かなくなった。
いつの間にか、金色の猫も僕の傍らにいた。
「た、助かったあ~。」
また、死ぬかと思ったよ。
それにしても、
「君たち、強いんだね。よしよしよし。」
僕は、二匹の猫の喉を、撫でてやった。
「にゃああああああ~。」
気持ちよさそうだ。
「ライト、大丈夫。もう、こんなに埋まっちゃって。」
僕は、ミーサに引っ張ってもらって、抜け出した。
「そういえば、猫だと思って鑑定してなかったなあ。ねえ、君たち、僕に鑑定させてくれないかなあ。」
「みゃあ~。」
「鑑定してもいいんだね。じゃあ、鑑定するよ。」
守護獣(金猫):レベル90 HP 930/MP 870
スキル 神速 レベル10 雷属性魔法 レベル10
守護獣(青猫):レベル89 HP 890/MP 920
スキル 神速 レベル10 氷属性魔法 レベル10
「あの~。あなたたちは、何者なのでしょうか。恐れ多いんですが。」
「えっ!。ライトどうしたの?。鑑定したんでしょ。何て出たの?。」
「うん、守護獣って。」
「しゅ、しゅ、守護獣って!。初めて見たわ。だって、噂話とか、昔話とかに出てくる獣よ。えっと、えっと、確か、「守護に値する者現れし時、姿を現す。共に奇跡を呼び、人々に幸せをもたらす。」確か、そんな言い伝えが、あったはずよ。神獣や守護獣は、神が使わすって、話もあるわよ。」
「ふう~ん、そうなんだ。君たち誰かを、守護するんだね。そんな伝説に会えたし、助けてくれてありがとう。さあ、ご主人を探しにお行き。」
いやいや、凄い物が見れて、よかった。
僕なんかを、守護獣様が、守護するわけないじゃん。
もっと、凄いのがいるんだぞって、見せてくれたんだな。
スキルをコピー出来たから、十分だよ。
僕は、もっと、強くならないと。
ミーサやメイサを守るんだ。
「さあ、ミーサ、帰ろう。」
「え、ええ。でも、ギルドに、何て報告するのよ?。」
「そうだね。サイクロプスが出たのは、話すにしろ。どうやって倒したか、それが問題だね。」
「にゃあ。」
「守護獣様、あなた達の話は出しません。安心してください。」
あの傷だ。
サイクロプスと見たことのない魔獣が、争っていた話にすればいけるかな。
「ミーサ、もう一匹、魔獣がいたことにしようか。二匹が争って、サイクロプスが負けて弱った所で、止めを刺した。」
「まあ、そんな話にしないと、辻褄が合わないわよね。証拠はどうするの?。」
「サイクロプスって、部位は何処が、価値があるのかな。」
「そうね。目と魔石が一番ね。皮と骨は、この大きさだから相当あるけど、ここで剥いで持ち帰るのは無理ね。」
「よし、目と魔石を持ち帰ろう。後はギルドに報告して、どうするか決めてもらおうよ。」
大まかな報告内容と、部位である目玉と、胸の奥にあった魔石を取り出し、マジックバックに入れて、帰ろうとすると、
「みゃあああ、みゃああ。」
守護獣様が、擦り寄ってきた。
「まだ、いらっしゃったんですか?。」
もう一度、頭を撫でた。
「ありがとうございました。僕たちは、これで帰りますから。」
挨拶をして帰ろうとすると、二匹の守護獣様が、さらに擦り寄ってきた。
「いやいや、もう帰りますから。すいません。お礼も何もできなくて、本当、すいません。」
また、二匹の守護獣様が、擦り寄ってきた。
「ね、ねえ。守護獣様、私たちに付いて来たいんじゃない。だって、随分、慣れた感じじゃない。」
「ええ~!。そうなの。守護する人が見つかるまでの、暇つぶしなのかなあ。」
「私たちに付いてきたら、何かあるって、感じるんじゃないの?。」
「ま、まあ、付いてきてくれるっていうんなら、拒みはしないけど。」
僕は、守護獣様に、もう一回、聞いてみた。
「守護獣様、僕たちに、本当に付いてきて、いただけるんですか?。」
「みゃあああ、みゃああ。」
「やっぱり、付いて来るみたいね。」
「そうなんだね。でも、付いてくるとなると、ずっと守護獣様なんて呼んでると変だから、名前とか付けないと。」
「みゃあああああ。」
「名前付けて、ほしいの?。」
「みゃあああああ。」
「そうみたい。」
「うう~ん、じゃあ、金猫の守護獣様が、サンニャ。青猫の守護獣様が、ブリーニャってどうだろう。」
「え!。いいんじゃない。どんな意味なの?。」
「雷が、サンダーだから、その猫でサンニャ。吹雪をブリザードだから、その猫でブリーニャ。」
「みゃあああああ。」
「気に入ったみたいね。」
「よし。じゃあ、街まで帰ろう。ミーサ、サンニャ、ブリーニャ。」
僕の肩にブリーニャが、ミーサの肩に、サンニャが乗った。
肉体強化を発動して、街に向かって、ひとっ走りだ。
当方の作品をお読み頂いて、感謝の言葉しかありません。
宜しければ、感想や励まし、続きが見たい等お言葉を頂ければ幸いです。
下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。
素直に感じた評価で結構です。
また、ブックマークをして頂けても幸いです。
何卒よろしくお願いいたします。




