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第38話 錬金と下準備


 さあ、宿屋に帰って、夕飯だ。

 キングキャッスルに着いたので、アイラさんとアイさんを呼びに行き、食堂で夕飯を食べた。


「今日は、どちらに行かれたのですか?。」

「冒険者ギルドに行ってから、パン屋、食材を売っている市場ですね。」

「何かいいもの見つかりましたか?。」


「ええ、村で作ったシロップを使った料理に、使えそうな食材を、手に入れましたよ。今晩、準備をしたら、明日にでも、試してみようと思ってます。アイラさんとアイさんにも、食べてもらって、感想を聞かせてください。」


「はい、是非。私たちで役に立てるなら。いくらでも、お手伝いさせてください。いろいろとお世話になって、このご恩は、一生かかっても、返しきれませんから。」


 やっぱり、かなり気にしてるのかなあ。

 確かにいろいろと、お世話したかもしれないけど、そんなに気にしなくてもいいと、僕は思っていた。


 僕は、子供のころから、祖父母に言われた。


「一期一会?。」

「幸雄、一期一会って、言葉を覚えておきなさい。これからいろんな人に、出会っていくけど、その人とは、いつまでも会えるとは限らないから、相手のために、何かしてあげたいと思ったら、その時は、一生懸命できる限りのことをしてあげるんだよ。きっと、良いことをしたら、自分が困った時に、返ってくるからね。」


 何か思い出して、

「そうだね、おじいちゃん、おばあちゃん、生まれ変わっても忘れないよ。」


 僕は、心の中で思っていた。


「明日、お母さんの治療は、どうすればいいんでしょう。」

「コマースさんから聞いたけど、お昼過ぎに、教会に向かうらしいわ。」


「分かりました。じゃあ、朝食が終わったら、商業ギルドで、お父さんの職場を聞いてみます。」

「じゃあ、一緒に行きましょう。案内するわ。」

「ミーサさん、ありがとうございます。」


 そんな話をしながら、みんなで食事を済ませて、部屋に戻った。

 さて、準備をしますか。

 スキルセットに、錬金と料理をセットする。


 まずは、買い物の途中で買った器に、小麦粉を目分量だが移す。

 その器に両手を添えながら、魔力を注ぎ、たんぱく質を少なくするイメージとして、出来上がる、ふわふわのパンケーキをイメージする。


 今まで、いろいろと使ったスキルを思い出すと、スキルを複数セットすることで、使いたい関連する効果が、スキル同士で相乗効果を生んでいるんじゃないかって考えた。


 今回は、錬金を初めて使った時と違い、関連するスキルとして、料理スキルをセットしているからか、イメージした内容で、小麦粉が変わっていく感覚が分かる。


 しばらくすると、イメージした小麦粉が出来あがった感触。


「ふう~。まだ慣れないからかな。無駄な力が入っている感じがするな。」

「ライト、出来たの?。」

「うん、小麦粉の方は、大丈夫そうだよ。」


「なんか見た目は、良く分からないね。何が違うの?。」


 ここで、成分とか物質の説明をしても、この世界では、そんな考えがないから、理解は難しいだろう。

 なるべく、理解できるような言葉で、話そう。


「そうだね。小麦粉は小麦粉だからね。小麦粉がパンになった時に、柔らかくなるようにしたんだ。」

「ライトが、前の世界で食べていた料理が楽しみよ。きっと、もの凄く美味しい物なんでしょ。」

「そうだね。女の子がお店に並んででも、食べていたような料理だからね。」


 さあ、次は牛乳だ。

 牛乳を一本取り出し、魔力を注ぎ、乳脂肪分を多くするイメージとして、出来上がるバターをイメージする。


 続けると、イメージした乳脂肪分が、多くなっていく感覚が分かる。

 しばらくすると、イメージした牛乳が、出来あがった。


「ふう~。こっちも出来たかな。ミーサ、ちょっと、手伝ってくれないかなあ。」

「えっ、私?。料理なら、メイサじゃないの?。」


「メイサには、やってもらいたいことがあるから、ミーサお願い。」

「何を、すればいいの?。」

「この錬金で出来た牛乳を、瓶ごと振って欲しいんだ。」


「ただ振ればいいの?。」

「そう、こうやって、両手で持って、上下に、シャカ、シャカ!って感じで振ってみて。」

「単純に振ればいいのね。どれぐらいやればいいの?。」


「ミーサが振っていたら、自分でも変わる感覚が、分かるよ。」

「分かったわ、やってみる。」


 そういって、ミーサは牛乳を、振り始めた。


「じゃあ、メイサには、料理の作り方を、覚えてもらうからね。」

「あ、あたしが?。」

「そうだよ。明日は、メイサが料理をして、みんなに振舞うんだから。」


「う、うん。」

「メイサの方が、料理スキルが高いし、ギルドへも登録している。メイサの料理として、登録するんだよ。」


「でも、なんで、ライトじゃダメなの。この前から、私やミーサを、前に出すけど、何で?。」


「そうか、ごめん。僕は、僕が目立っちゃダメだと思うんだ。僕は、違う世界から来た。これから先も、......、何があるか分からない。だから、...。もし、もし何かあったら、メイサやミーサに、何も残してあげられない。だから、僕が出来る、出来る限りのことをして、何かを残してあげたいんだよ。僕が、二人に出来ることって、そんなことしかないから、......。」


「ライト、......。」

「ライト、...。そんなこと思ってたのね。」


「ごめん、でも。二人のこと好きだから、家族だから。前の世界では突然、死んでしまったし。きっと、前の家族には、何もしてあげられてない。だから、せめてこの世界では、大切な人に何かしてあげたいんだ。」


 なんか、急にしんみりしてしまった。

 でも、彼女たちに対して、正直な気持ちだった。

 メイサは、涙をポトッと流していた。


「ああ~!、もう。ライトったら。さあ、明日の準備をしましょう。」

「そうだね。メイサ。」

「あっ!。ライト、これ。ええ!、何、これ。」


 ミーサが、振っていた牛乳が、分離したようだ。


「それでいいんだよ。これはね、上にあるのがバターミルク、下に沈んでいるのが、バターっていうんだ。これを使って料理をすれば、コクが出て、香りも良くなるんだよ。」


「じゃあ、メイサはこれを、煮詰めてみてくれないか?。」


 僕は、村で貰ってきたメイプルウォーターの入った水袋を、1つ出した。


「えっ!、でもこれ。ライトがやらないと、駄目じゃないの?。」

「いや、前回は初めてだったから、一から元の世界のやり方で、やってみたんだ。だけど、この世界じゃあ、この世界のやり方が、あるんじゃないかと思って。だから、メイサが煮詰めてほしいんだ。」


「分かったわ。この間と同じぐらいの濃さで、いいんでしょ。」

「うん、それぐらいで、大丈夫。たぶん、一時間ぐらいだと思うよ。」


 メイサは、水袋を持って、宿の食堂へコンロを、使わせてもらいにいった。


当方の作品をお読み頂いて、感謝の言葉しかありません。


宜しければ、感想や励まし、続きが見たい等お言葉を頂ければ幸いです。


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