第28話 決着
立った!!。
砂煙の向こうで、薄っすらと立つ姿に、ミーサは驚愕する。
「やっぱり、只者じゃなかったわね。貴方は、いったい誰?。私が、調べた限り、貴方は、ライト君とは、別人。」
「はあ、はあ!。そうですか。別人ですか?。まあ、確かに、別人かもしれませんね。」
ふふっ(笑)。
何か、正直に認めると思うと、可笑しくなった。
「別人、.....。」
「この戦いが、終わったら、全てを、お話ししますよ。」
もう、僕は、覚悟を決めていた。
勝っても、負けても、彼女には、全てを話そうと。
でも、多分、信じてもらえないだろう。
だから、彼女と会うのも、これが最後。
やっぱり、この勝負、魔法有にしとけば、よかったかなぁ。
その時、ミーサも、また、迷っていた。
別人!!。
改めて、聞いても、じゃあ、彼は、いったい誰なの?。
ライトは、孤児院に居た普通の男の子の筈。
スキルも平凡。
良くてBランク、普通だったら、Cランク、いや、Dランクまでの子よ。
なのに、今、目の前にいる子は、何なの。
私が、繰り出した百花繚乱を、相打ちにした。
果てには、師匠直伝の技、千花繚乱まで受けて、立ってるなんて、ありえない。
今まで、対戦してきた男なんて、百花繚乱ですら、立っていられなかった。
そして、魔物ですら、千花繚乱で立っていなかった。
それを、.....、それを、今、彼は、目の前で立っている。
ほんと、ありえない。
私の、今までの血の滲むような努力が、.....。
「負けれない!!。」
彼に、勝ちたいとミーサは、思った。
師匠には、止められた。
千花繚乱を、超えてはいけないって。
でも、どうしても、彼に勝ちたい。
師匠の元を、巣立ち。
一人前の冒険者として、今まで生きてきた。
女だからって、下に見下すような奴等を、見返す為に、努力もしてきた。
そして、国にも、一目置かれるBランク冒険者になったというプライドが許さない。
そして、彼の真実を知りたい。
彼の事を、どうしても。
何故、立つの?。
その答えを、どうしても、知りたかった。
ミーサは、決意する。
「師匠、すいません。約束、守れなくて。」
この技を出したら、私も、只じゃ済まないでしょう。
それでも、構わない。
「えっ!。私に、付き合えって。ふふ、いいわよ。私に勝ったらね。」
確かに、かっこいい奴も、お金持ちも、有名な冒険者だって。
今まで、言い寄ってきた男は、何人もいた。
その度に、相手を、打ち負かしてきた。
異性よりも、私は、強さを求めた。
でも、そんな私が、ライトに、惹かれるなんて。
「ライト。これが最後よ。私の全てを賭けた技。受けて見なさい。いくわよ。」
ぼわあああああん!!。
一瞬、彼女の周りが、陽炎のように見えた。
「万花繚乱!!。」
ミーサは、精神、技術、体力、今までの修行や、戦いで経験してきた全てを、この技に込めて放った。
「ま、万花繚乱だって!!。」
千花繚乱ですら、今さっき受けて、満身創痍の状態なのに。
目の前の彼女は、更に、それを超えるというのか。
彼女は、バケモンか。
ハハ、まともにくらったら、死ぬでしょ。
なんだろう。
目の前の時間が、ゆっくりと流れているような感覚だった。
いわゆる、走馬灯っていうのかな。
凄く、周りの全てが、ゆっくりとしている。
ふう。
何か、溜息出ちゃうな。
目の前で、技を繰り出す彼女を見ていても、思うんだけど、美人なんだよなあ。
始めて、出会ってから、今まで、彼女の事を、ずっと、見てきた。
僕は、彼女の事が、好きなんだなあって。
外見もそうだけど。
僕には無い、努力の人って所も。
勝気だけど、本当は、もの凄く優しい。
前世から思い出しても、本当に、好きになった人って、いたんだろうか。
だけど、今、こんな事を思うって事は、僕、死ぬのかなあ。
あっ、そうか。
いや、彼女だけじゃなかった。
駄目だ、まだ、いるじゃないか。
「ライト。死んだらダメ!!、ダメ、だめ、ダメ!!。」
僕の胸を、叩きながら、涙を流していた彼女、メイサ。
そうか、そうだった。
彼女も、いたっけ。
忘れてた何て言ったら、殺されそうだな。
はあ~あ。
また、自分で、勝手に諦めちゃったかな。
僕は、死ねない。
本当のライトにも、言われたんだ。
守ってくれって。
彼女の為にも、そして目の前の彼女の為にも。
必ず生きて彼女達に、真実を話さないと。
そして、僕、自身の為にも。
だけど、こんな状態で、どうしろって、いうんだろ。
スキルにしたって、どうしようもない。
かわせるか、いや、受けるのか。
でも、どうしようもない、.....。
「ふふっ、頑張ってるみたいじゃないか。さて、結婚の前祝に、君のスキルを、アップデートしてあげるよ。」
「ええええええええええええ!!。」
「いやいやいや!!。今、神様、来~る~。普通、来ます?。」
「いやいや、転生させたの僕だからさ。このまま、あの技を喰らったら、君、終わっちゃうよ。」
「ですよねえ。」
「じゃあ、アップデートしたスキルコピーだけど。コピーの範囲を、スキルだけじゃなくて、技や技術も、コピー出来る様にしたからね。が~んば!!。」
神様、軽リ~~~。
軽く、頑張るとか、言っちゃうけども。
技や技術もコピー、技や技術もコピーって。
考えろ。
考えろ。
コピー、コピー?。
そうか、そうだ。
僕は、今だ目の前のゆっくりした時間の中で、ミーサさんを鑑定した。
そして、彼女の技、万花繚乱をコピーする。
そして、スキルが表示されるウィンドウに、新たに追加された技術の欄へ、万花繚乱をセットした。
だけど、コピーしたとしても、100%を出すのは、不可能。
僕が、今まで経験した事を全てを込めて、技を繰り出すしかなかった。
僕は、経験も、知識も、努力も、この世界では、何も、彼女に勝てるものはないと思っていた。
だけど、だけど、だけど、.....。
今のままじゃあ、前の世界と何も変わらない。
彼女に出会って、諦めたくない。
僕は、僕は、僕は、.....、生き残ってみせる。
そして、彼女の僕に対する挑戦に、応えたい。
今まで、精一杯、何かに向かってきた事ってあったか。
僕は、もう、後悔したくないんだあああ!!。
「うわあああああああああ!!。万花繚乱!!。」
ミーサは、全身全霊で、万花繚乱を放った。
そして、目の前のライトは、動けないと目には、映っていた。
だが、
「な、何を、叫んだ。万花繚乱?!。なぜ?。何故、万花繚乱を!!。」
突然のライトの動きに、ミーサは、唖然としていた。
「何故。どうして?。私が初めてやった技を?。彼は、見た事もない技を。何故、出せるの?。」
ミーサには、理解し難い事が、ライトには、起こっていた。
ミーサが、万花繚乱を放った瞬間に、技としては、成立した。
だが、ライトもまた、走馬灯のように流れていた一瞬で、新たなスキルと鑑定によって、ミーサの技を得た。
そう、何時、見たかと言われれば、つい、今、目の前で、見たと。
ライトも、そんな一瞬で得た技を、直ぐに出せるのか。
二人の間には、無数の花が、咲き乱れ、閃光が走った様に、二人には見えた。
カキン!。
カキン!。
ガガガガガ、ドドドドドドドドド!!。
ドド~ん!!。
ライトは、余りの衝撃に、吹っ飛ばされていた。
そして、一瞬、意識を失ったようだった。
「あっ!!。」
直ぐに、意識を、取り戻した僕は、仰向けに倒れたまま、空を見ていた。
「僕は、.....、僕は、どうなった?。」
意識はある。
助かったのか。
だが、ライトは、自分の事よりも、ミーサが心配だった。
「ミーサ?。ミーサさんは、どうなった?。」
僕の事は、どうでもよかった。
彼女は無事だろうか?。
直ぐに、彼女の元に、行かないと。
だが、体中に、力が入らない。
きっと、技と技がぶつかった衝撃で、全身が、限界を超えたのだろう。
そりゃ、そうだ。
彼女が、今まで、培ってきた全てを懸けて放った、究極の技。
僕は、只、コピーをしたに過ぎない。
実力も伴っていない、只のまやかし、そんな生半可な技が、オリジナルに、勝てる訳がないのだ。
だけど、耐えた。
まあ、生き残っただけでも、良しとしよう。
さあ、これで、全てを話したら、彼女とも、お別れだ。
前の人生でも、告白なんかした事、無かったなあ。
失恋って、キュ~~んって、なるかと思ったけど、思ったより、すっきりしている。
何だろう。
やり切ったって、こういう事なのかと思った。
僕は、スキルに、回復魔法をセットし、
「強回復!!。」
ふう、と息を吐き、起き上がる。
ミーサさんは、向かい側で、片膝をつき、左手で、右ひじを抑えていた。
「ミーサさん。大丈夫ですか?。」
「ふふ、貴方って人は、ホントに、.....。」
「この勝負、僕の負け.......。」
って、言おうとしたら、
「私の負けよ。」
って、いやいや何でよ。
僕、意識失って、倒れてましたよ。
「私の全身全霊を懸けた技よ。それを、同じ技で返すなんて、ほんとバカね。」
「いや、だって・どうしようもなくて。閃いたっていうか。」
「そんなんで、同じ技なんて、出来る訳が無いでしょ。私が、何年、冒険者を、やってきたと思ってんの。」
「すいません。」
「ミーサさん。右腕、右足は、大丈夫なんですか?。」
「右腕なんて、もう使い物に、ならないわね。本気で、やったからね。普通の回復魔法や回復薬程度じゃ、元には、戻らないかも。」
「自分でも、最高の万花繚乱を、出せたから、悔いはないわ。」
「はあ~~あ!!。」
この人も、何、言ってんだか。
「ミーサさん。何で、右腕が、駄目になるような技まで、出すなんて!!。」
バシッ!!。
「えっ!!。」
僕は、ミーサさんを、平手打ちしてしまった。
「何でですか?。そこまでしなくても、僕の事なら話しますよ。ミーサさんを信じているから。」
「ライト、.......。私は、貴方みたいに、何でも、出来るのが羨ましい。だから、私、貴方と、本気で、戦ってみたいと思ったのよ。」
何か、涙、出た。
やっぱり、いい人なんだな。
本気で生きてる。
「すいません。」
僕は、彼女の右腕、右足に、極回復魔法を掛けた。
彼女の右腕と、右足は、眩い光に包まれ、やがて、静かに光が収まった。
彼女は、右腕と、右足を見つめ、茫然としていたが、我に返り、
「痛みが無いわ。右腕と、右足の痛みがない。」
「今、極回復魔法を、掛けましたから。」
「ライト。貴方って人は、また、...。もう、何も言わないわ。」
二人で、見つめ合って笑った。
「帰りましょう。」
「そうね。」
そして、二人で、歩いて帰ろうとした時。
僕は、
「ミーサさん、勝負は、僕の勝ちで、いいんですか?。」
「そうね。」
「じゃあ、約束通り、一つ、お願いしてもいいですか?。」
「そうね。私が、出来る事なら。」
「あの、僕のお願いは、.....。僕と、結婚して下さい!!。」
「えっ!!。」
彼女は、僕を見て、唖然としていた。
「何。何よ急に!!。」
「あの。僕、ずっと、いえ、初めて会った時から、ミーサさんが好きでした。結婚したら、ずっと、一緒に居れると思って。」
「そ、そうなの。でも、いきなりだから。」
「すいません。だから、返事は、帰ってからでもいいですよ。僕は、全てを話します。だから、返事は、全てを聞いてからでも。」
「そ、そう、そうね。じゃあ、帰りましょう」
僕達二人で、街に向かって歩き出すのであった。
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