第27話 ミーサとの闘い(三回目)
ミーサは、アムステッドを発って、デルポートへ向かっていた。
ミーサは、一人になると、やはり、何かが引っかかっていた。
師匠アーシャとの訓練で、千花繚乱という新しい技も、習得した。
だが、何故、自分が、そこまでして、ライトに、こだわるのか。
あのダンジョン事件で、初めて顔を合わせた、何の変哲もない少年。
記憶が無い少年は、自分と仲間を、救った。
そして、今まで、見た事も無い様な蜂の大軍と戦い、またしても、自分と仲間を救った。
三度目は、私の目の前で、低ランク同士の友達のピンチを救った。
この少年は、何なんだと思った。
記憶が無く、自分の事も分からない少年が、スキルを使いこなし、事件を解決する。
有り得ないと思った。
「どうやって使う事を、知ったの、........。」
「何処から、スキルを得たの、........。」
彼の使うスキルは、どれも、優秀なスキルだった。
剣技、魔法、毒、......。
「私は、彼に、何をしたいの?。彼の全てを知って、どうするの?、......。」
ミーサは、自問自答するが、結局、どうしたいのかは、分からなかった。
「自分より、強いから?。自分より、優秀だから?。救われたから?、....何で。」
ミーサは、自分が、ライトに対して、どうしたらいいのか、分からなかった。
「羨ましいの?。嫉妬?。自分の知らない事を、知っているから?、....。」
知らない事、.....。
知らない、.....。
知っている、.....?。
「そうだ。そうだわ。彼は、.....私の知らない事を知っている。」
ライトは、その知識を、使って、......。
記憶が、無いんじゃない。
元々のライトの記憶が、無いんだわ。
その代わりに、違う知識が、あるんだわ。
私達の全く知らない知識を、.....。
あの火属性魔法の使い方、剣と魔法、相手を引き付ける方法、全てそうよ。
そうなんだわ。
ミーサは、自問自答を繰り返し、彼の事を考えて、等々、気づいた。
ライトの秘密に。
「じゃあ、一体、彼は、何者?。元のライトは、何処に、行ったの?。そして、ライトの姿をした彼は、誰?。」
ライトの秘密に、近づくにつれ、また、謎が出てくる。
彼って、いったい、......。
「彼の秘密を知ったら、一緒に居られるの?。一緒に居たいの?。」
そう、ミーサも、気づいた。
自分が、ライトに、惹かれている事に。
「どうして?。今まで、男に対して、こんな事は、一度もなかったのに。」
言い寄ってきた男は、みんな、私に勝てなかった。
でも、彼は、立ち上がった。
今まで、見た事の無いような戦いをして、みんなを救った。
彼の戦いを見て、私は、凄いと思った。
こんな人がいるの?。
見ているだけ、近くに居るだけで、楽しかった。
今度は、どんな事をしてくれるのか。
どれだけ強い相手を、倒すのか、楽しみだとも思った。
彼と一緒に、冒険が出来たら、......。
「私は、彼が好きなの?。あの得体のしれない彼が?。」
でも、自分からは、好きだなんて、言えないと思った。
得体のしれない彼。
「悪魔なの?。人間なの?。」
色んな想像が、頭の中を巡った。
そんな事を、ずっと考えながらも、ミーサは、デルポートへ向かうのだった。
そして、翌日には、デルポートへと到着する時に、ミーサは、結論を出す。
「彼の本当の事が、知りたい。そして、私の今までの全てをぶつけて、彼が勝ったら、何を言われようが、彼を信じよう。」
決意を胸に、ミーサは、デルポートに、帰還する。
デルポートに着いたミーサは、真っ先に、ギルドに向かった。
「あら、カペラ。久しぶりね。」
「み、ミーサさん。もう半年も、居なくなるなんて。アムステッドで、何してたんですかあ?。」
「ちょっとね。師匠に、会いに行ってたの。」
「し、師匠って。もしかして、騎聖アーシャ様ですか?。」
「そうよ。」
「いいなあ、騎聖アーシャ様なんて、会った事もないし。」
「所で、私が、いない間。ライトは、どうしてたの?。」
「ライトさんですか?。普通に、薬草採りして、今まで通りでしたよ。」
「そう。じゃあ、また、しばらく、デルポートに居るから。」
「はい。また、依頼の方、お願いしますね。」
「カペラ。」
「はい!。」
「今日は、ライト来た?。」
「ええ、いつもどうりに採取を、受注して、行きましたよ。」
「そう。ライトが、帰ったら、この手紙を、渡してくれない?。」
「ええ、構いませんよ。何です?。」
ミーサは、返事をせずに、立ち去った。
「何か、変なミーサさん。」
カペラは、そう思った。
夕方になり、ギルドに、ライトが現れた。
何時ものように、薬草を清算して、帰ろうとした際に、カペラに、呼び止められた。
「ライトさん、ちょっと。」
「あれ、カペラさん。どうしました?。」
「これ、ミーサさんが、渡してくれって。」
僕は、手紙を、渡された。
「ミーサさんから?。」
「ええ。」
僕は、急いで、手紙を空けた。
ライトへ。
私、貴方に、嘘を言ったわ。
御免なさい。
貴方に、勝つ為に、もう一度、師匠の所へ行って、修行し直したの。
だから、もう一度、剣を交えましょう。
明日の夕方、貴方が、何時も採取をしている草原で、待ってるわ。
ミーサより。
ミーサさん、何で、.....。
ミーサさんが、望むなら、いくらでも、相手しますよ。
敵わないけど。
やっぱり、ミーサさんは、僕が、誰なのか、疑っているんだ。
こんな事しなくても、正直に、話せばよかったのかと、思った。
僕は、分かっていた。
正直に、自分の事を話せば、きっと、信じて貰えない。
在り得ないような転生話。
きっと、正直に言っても、また、嘘を言っているの繰り返し。
そして、信用が無くなり、人が去って行くって。
前世の、周りでいくらでも、そんな事はあった。
失敗した事を他人のせいにする。
自分は悪くない。
親切にするふりをして、人を騙し、悪い事をしてる人がいる。
僕は、いつも、思っていた。
もっと、自分で、正直に、頑張ればいいのにって。
だけど、この世界に来て、今の自分は、どうだろうって思った。
ミーサさんやメイサに、本当の事を言っていない自分が、人の事を、言えるだろうかって。
もう、この世界に来て、一年だ。
いつまで、記憶が無いって、言うんだろうか。
自分でも、分かっていた。
嘘は、いけないって。
でも、誰も知らない世界で、独りぼっちって、.....。
寂しいよね。
でも、もういいかなって思った。
二人に、正直に話して、謝ろうって。
そして、.....。
また、知らない所に、.....。
行こうって。
どうせ、僕の事なんか、知っている人なんか、いないんだ。
そして、翌日。
ライトと、ミーサは、其々の想いを胸に、草原で再会する。
「ライト。久しぶりね。」
「ミーサさん、お久しぶりです。」
「手紙にも書いたけど。今日は、私と、もう一度、戦って。」
「戦わないと、いけないんですか?。」
「そうね。私が、勝ったら、......、本当の貴方の事を教えて。」
「本当の僕ですか?。」
「そうよ。貴方、記憶喪失じゃないわね。別の記憶が、あるのよね。」
「な、何ですか?。」
「あの戦い。記憶が無い人が、出来るもんじゃない。何かの知識が、あるんじゃない?。」
「そ、それは、....。」
「何で、隠しているの?。言えない事があるの?。」
「それは、.....。戦わないと、いけないんですね。」
「ええ!!。」
「分かりました。この戦いが終わったら、全てを、ミーサさんと、メイサに話します。だけど、僕が勝ったら、お願いしたい事があります。」
「そう、分かったわ。ライトが勝ったら、私も、貴方の言う事を聞く。」
二人は、草原で、対峙した。
今回で、ミーサとの戦いも、3回目だ。
今日は、模擬刀じゃない、真剣での勝負だった。
「ライト。魔法は無しで、純粋に、剣だけでの勝負よ。」
「ミーサさん、分かってます。」
「行くわよ。」
そして、戦いが始まった。
ミーサとの真剣勝負。
お互いに、見合って、挨拶をした。
直ぐに、ミーサが、仕掛ける。
「は、早い!!。」
今まで見てきた、ミーサと違っていた。
これが、修行の成果なのか。
僕は、押された。
スピード、剣捌き、今までの、何倍もの手数だった。
だが、僕も、何とか、かわす。
致命傷は、貰わないが、小さい傷、体力を奪われる。
「み、ミーサさん、凄いですね。」
「おしゃべりしている暇は、無いわよ。」
その後も、ミーサは、容赦なく攻撃を、繰り出す。
そして、一瞬の間。
その時、ミーサが引いて、剣先を、下に構えた。
「百花繚乱!!。」
「まずい、来る!!。」
一瞬遅れて、ライトも、引いて、剣先を下に構えた。
「百花繚乱!!。」
二人の間に、閃光が走る!!。
カキン!!。
カキン!!。
カキン!!。
「ぐはあ!!。」
ライトは、片膝をついた。
致命傷とはならないが、数発、直撃していた。
「これが、新たな百花繚乱。」
「どう、ライト。修行の成果は。」
「ま、まだです。」
僕は、また、立ち上がった。
どうして、立ち上がったのか、自分でも、分からなかった。
ミーサの気持ちに、応えたかったのか、負けるのが嫌だったのか。
昔の自分だったら、此処で、諦めたて、此処で負けていたかも。
今の僕は、......。
「わああああああああ!!。」
今度は、僕が攻めた。
今まで、練習してきた事。
ミーサさんと、一緒に、練習してきた事を、僕は、見せたかった。
その気迫に、ミーサは、押された。
「これが、ライト?。あのおとなしい。」
カキン!!。
カキン!!。
カキン!!。
今度は、先に、ライトが引いて、剣先を下に構えた。
「百花繚乱!!。」
それに合わせて、ミーサも引いて、剣先を下に構えた。
「百花繚乱!!。」
ガキン!!。
キン!!。
キン!!。
シュウウウ!!。
二人の気迫と、熱量が、水蒸気の様に、立ち昇っていた。
「はあ、はあ、はあ。流石ですね。」
ライトは、ギリギリの状態であったが、ミーサは、無傷で立っていた。
そんなライトが放った百花繚乱を見て、ミーサは、何故か嬉しかった。
それからも、両者のせめぎ合いが続いた。
ミーサが攻める、ライトが耐える。
ライトが攻める、ミーサがかわす。
どれぐらいの時間が、経っただろうか。
あの修行で、ミーサは、まだまだ、戦う事が出来た。
しかし、ライトは、もう直ぐ、限界を迎えると、ミーサには見えた。
「ライト。これが、最後よ。」
そして、ミーサが引いて、剣先を下に構えた。
「また、来るのか!!。」
「千花繚乱!!。」
「千花?、新しい技か。」
ライトが引いて、剣先を下に構えた。
だが、ライトには、これしか出来なかった。
「百花繚乱!!。」
二人の間に、閃光が走る!!。
カキン!!。
カキン!!。
カキン!!。
どおおおおん!!。
「ぐわああ!!。」
手数的には、十倍もの突きが、ライトを襲った。
千花繚乱により、ライトは、吹っ飛ばされる。
そして、二人の間に、大量の砂と、草が舞っていた。
ミーサは、これで終わったと思った。
「ライト。貴方は、よく戦ったわ。」
二人の間に舞っていた砂煙が、徐々に、晴れて来る。
砂と草が舞う中に、薄っすらと、人影が映る。
「私の勝ち、.....。ライト、貴方、まだ!!。」
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