第26話 新技習得
そして、また、月日は流れた。
百花繚乱が、完成した頃、ミーサは、悩んでいた。
「突?。どうやって、10段も、突いているのかしら。」
いつものように、訓練を行い、終わると、どうやって突くのか、色々と試し始めた。
踏み込んでも、ダメ。
すり足?、上半身だけ。
ミーサは、いろんな動きを試した。
だが、良くて3段、そこまでしか、出来なかった。
いっそう、アーシャ様に、聞こうかとも思ったが、止めた。
聞いて出来るぐらいなら、アーシャ様は、教えている筈。
何か、自分で、体の動きを、掴まないと、いけないんだと、ミーサは気づく。
そんな時、隣国のギルドから、軍を経由して、連絡が入った。
「ミレイ。隣国から、冒険者が、キラーベアーの討伐に失敗して、傷を負った個体が、こちらに、逃げたって連絡が来たよ。」
「キラーベアーですか?。」
「この小さい街じゃあ、上位ランクの冒険者が、居ないのが実情だよ。民間に、被害が出ないうちに、討伐するように、本部からも、許可が出た。一部隊を連れて、行ってくれるかい。」
「了解しました。」
「アーシャ様、私も、同行させてもらえませんか?。」
「そうだねえ。たまには、息抜きに行っても、問題ないだろう。ミレイ、ミーサ、頼んだよ。」
「はい!!。」
二人は、10人の兵士を連れて、国境の山に、向かった。
「ミーサ。キラーベアーの手負いは、危険なんでしょ?。」
「そうですね。元々、気性が荒いですし、手負いとなると、更に危険ですね。」
ミーサは、昔、一度、キラーベアーを、狩った事があった。
しかし、ミレイは、初めてだった。
12人は、散開し、痕跡を探した。
「足跡があったぞ!!。」
報告を、受けた場所に、全員が集まる。
「この大きさからして、間違いないわね。」
「血の跡も、ありますね。近くに、いるかもしれませんね。」
「よし、ここからは、離れずに行動するぞ。」
その時だった。
茂みの向こうで、キラーベアーを発見する。
「居ました!。」
「ミーサは、向こうに回って。私は、こっちから行くわ。そこの5人は、ミーサと一緒に。残りは、私と。」
ミレイは、的確に、指示を出すと、キラーベアーを追い詰める。
ミレイが、ミーサに、合図を送る。
兵士達は、援護の準備をする。
討伐は、ミレイとミーサで、仕留める指示だった。
ミレイが、近づいた時、兵士に、指示を出す。
弓兵が、矢を放った。
4本の矢は、キラーベアーに、見事、命中する。
キラーベアーが、気づいて、咆哮する。
ぐわああああああああ!!。
回り込んだミーサの前には、大きな倒木が、邪魔していた。
その間にも、ミレイが近づいた。
「遅い!!。」
近かったミレイが、剣を抜き、
一閃!!。
キラーベアーの右腕を、切り落とした。
尚も、キラーベアーは、左腕を振って、ミレイを、薙ぎ払おうとする。
しかし、ミレイの方が、早かった。
腕を落とした先で、反転し、胴体を一閃した。
ドサッ!!。
キラーベアーが、絶命した。
「ふうう。大した事なかったわね。」
だが、近くで見ていたミーサは、嫌な予感がした。
「雄?。まずい!!。ミレイ、気を付けて!!。」
丁度、繁殖時期だった。
雌のキラーベアーが、ミレイの後ろの茂みに、居たのだ。
茂みから、もう一頭のキラーベアーが、現れた。
「で、デカい!!。」
現れたキラーベアーは、一瞬で、ミレイに近づき、体当たりをする。
その体当たりで、ミレイが、吹っ飛んだ。
丁度、ミーサの前の倒木を、挟んだ反対側に。
どおおおおん!!。
ミレイが、倒木に激突する。
「くそおおおお!。」
ミレイは、意識はあったが、衝撃で、体に力が入らない。
ミレイが、殺られる。
私が、何とかしないと。
しかし、キラーベアーは、先ほどの個体よりも、更に、一回り大きい雌だった。
吹っ飛ばしたミレイに、更に、迫ってくる。
ミーサは、目の前の倒木に、手を掛け、木の上に、飛び乗った。
私に、何が出来る。
この不安定な状態で、百花繚乱は、踏み込めない。
ミーサには、なすすべが、無かった。
「私は、今まで、何を、やってきたんだろう。」
こんな時に、一番、必要な時に。
何も、出来ないなんて。
そんな時、ミーサは、ライトの事を、思い出す。
この状況で、ライトなら、ライトなら、何かする?。
諦める?。
不安定、踏み込めない?。
不安定、踏み込み、足、腰、膝、そうだわ。
膝だわ。
もう、迷っている時間は、無かった。
ミーサは、向かって来るキラーベアーに向かって、技を放つ!!。
「千花繚乱!!。」
倒木の上で、不安定になりながら、踏み込み、1段、2段、3段、........10段!!。
閃光が走る!!。
キラーベアーも、二本足で立ち上がりながら、両腕を振って、向かって来た。
カキン!!。
カキン!!。
カキン!!。
どおおおおん!!。
「出来た!!。」
キラーベアーは、吹っ飛んだ。
キラーベアーは、向かいの大木に、激突し、絶命していた。
「ミーサ、助かったわ。」
ミーサは、手を差し伸べ、ミレイを起こした。
「無事で、よかったです。」
その時のミーサは、晴れやかな、満面の笑みであった。
「出来たのね。」
「はい。」
ミレイも、自分の事のように、嬉しかった。
討伐を終えた二人は、部隊を引き連れて、街に帰った。
二人は、アーシャに、討伐の報告をすると。
「そうかい、無事で、何よりだったね。」
「アーシャ様。明日、手合わせを、お願いします。」
「出来たのかい?。」
「はい!!。」
翌日の朝、ミーサとアーシャは、中庭で対峙した。
「いいんだね。」
「はい、お願いします。」
ミレイが、見ている中で、二人は、剣を交えた。
カキン!!。
キン!。
キン!!。
アーシャが、不意に引いて、剣先を下に構えた。
「行くよ!!。千花繚乱!!。」
ミーサも、引いて、剣先を下に構えた。
「千花繚乱!!。」
二人の間に、閃光が走る!!。
カキン!!。
カキン!!。
カキン!!
どおおおおん!!。
砂煙が舞う。
そして、砂煙が晴れてくると、そこに居た二人を、ミレイは、見た。
そこには、アーシャもミーサも、立っていた。
「ふっ!。出来たじゃないか。」
「ありがとうございます。」
「これで、また、卒業だね。」
「はい!!。」
「いいかい、ミーサ。最後に、言っておくよ。この技は、人間の限界に、近い技だ。これ以上の深追いは、体を壊すよ。決して、これ以上は、無理しちゃ駄目だよ。」
「はい、分かりました。」
確かに、言われる通りだった。
あの重たい剣を、何か月も振り、全身を、バネの様に、繰り出す技。
これ以上、負担を掛ければ、腕と足も、着いてこれないだろうと、ミーサも想った。
「師匠、今日で失礼します。」
「そうかい。まあ、がんばんな。」
「はい。悔いの残らない様に、出来る事をやってみます。」
「私も、そのライトって子に、会ってみたくなったね。何か、娘を取られる気分だよ。」
「や、止めてください。そんな言い方。」
「まあ、何れ、会う事もあるだろうよ。」
どっちの事を言ったのだろうと、ミーサは思った。
私、それともライト?。
「ミレイさん。また、お会いしましょう。」
「ミーサも、元気でね。私は、あんたに負けないように、鍛えるよ。」
「はい。また、会ったら手合わせ、お願いします。」
ミーサは、挨拶を済ますと、直ぐに、アムステッドを発った。
「ライト、勝負よ!!。」
その頃、ライトは、いつものように、自分を鍛えていた。
そんな時、ギルドに行くと、
「ライト君、ちょっと。」
カペラさんに、呼ばれた。
「ミーサの情報が、入ったわよ。」
「何処に、居るんですか?。」
「アムステッドよ。隣国との境の街。」
「そこで何を?。」
「分からないけど、手負いのキラーベアーを、二頭も倒したらしいわよ。これで、また、Aランクに近づいたわね。」
ミーサさん、やっぱり凄いですね。
貴方は。
「そうそう、もうすぐ帰って来るみたいよ。向こうを、発ったって。」
「そうですか。半年以上、居なかったですもんね。」
ミーサさんと、また会えるのか、楽しみだな。
この時、ライトは、この後訪れる、転生してからの人生を、大きく左右する事が起きるとは、微塵にも思っていなかった。
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