第2話 新たな世界で
いやあ。
まさか。
自分が転生する何て、思ってもみなかった。
「あっ!」
何か体を感じる。
目!
目を、開けて。
「あれっ!」
どうした?
真っ暗ですけど。
もしもし、神様。
「うお~!」
手、手。
顔を、触って。
確かに、体は、在った。
「イエーイ!」
って、喜んで、いいのか?
まだ、真っ暗で、何も見えてないんですけど。
ええと。
今は座って、寄っかかっているのか。
背中の後ろを触ってみると、ごつごつして岩か壁なのか?
前後左右、ごっつごつやん。
起き上がりながら触っていくと、どうも穴の中っぽい。
「生き埋めかっ!!」
訳も分からず一人で、突っ込んでみた。
僕はゆっくりと立ち上がってみた。
体ごと、すっぽりと入る事が出来そうな身長以上の穴だった。
これって出れなかったら、もう此処で餓死じゃん。
手を伸ばしながら飛んでみると、穴の縁までは届きそうな深さだった。
思いっきりジャンプして穴の縁に掴まり、何とか這い出してみた。
「ふう~。」
這い出したはいいが、此処が何処かも暗くてよく分からない。
どうも洞窟の様な場所の中のようだった。
足元を探してみたけど、まあ何もない。
そのまま暫くすると少しずつだけど、目が慣れてきた。
「一応、真っ暗では無いんだな。」
薄闇の中で何となくは分かるぐらいの暗さだった。
でも確かに、洞窟なんだけど。
「どうすんだ、これ?」
僕は何も持って無いし、どっちに行くのかも分からない。
「まさか、いきなり魔物と遭遇でお終いとかないよね。」
色んな事が頭を過ぎり、だんだん不安が、......。
何かじっとしていても仕方ないので、恐る恐る洞窟の左側へ進んでみる。
洞窟をしばらく進むと、奥の方から何か音が聞こえてきた。
「多分、この先から聞こえるみたいだけど。」
不安で、独り言が多くなっている様な。
もう少し進んでみると、更に先の方から音が聞こえてきた。
洞窟の大きさも目を覚ました所に比べて、段々と広くなってくる。
僕は、その時、何かに躓いた。
こつっ!
「おっ!」
足元を探すと、そこには剣が落ちていた。
「ラッキーなのか、これ?」
更に暗がりの中で周りを探してみると、バッグや、ずた袋、小さい剣やらが散乱していた。
僕は拾った剣を持ってみたが、この体では重くて振り回すのもやっとだった。
仕方がないので小さい剣だけを拾い、先に進んでみる。
もし、この先に魔物が居れば引き返して、必要な物をバッグに詰めて逃げる事にしようと考えていた。
更に音が聞こえる方へ近づくと、段々と音も大きくなる。
うぎゃぎゃぎゃ~
ガキン!、ガキン!
ザシュ!!
「▽◇○..そっちの...。」
どうも何かと、人間が戦っているような感じがする、
そして、更に近づくと洞窟の先が明るくなっていた。
聞こえてきた音も、そちらから聞こえてきているのがハッキリと分かった。
そっと近づくと、洞窟の先は小さなドーム状の広さに開けている場所になっていた。
僕は自分が来た道から開けている場所を、向こうから見つからないように、そっと覗く。
そこには緑っぽい肌の色をした小学生ぐらいの生き物と、5人の人間が戦っていた。
僕は自分の居た世界と違って、本当に目の前で戦いが繰り広げられている様を見た。
それは映画やテレビではないリアルでの戦いだった。
僕は息を飲んだ。
切り付けられ緑っぽい肌の方が、緑色の体液を流しながら倒れていく。
だが僕は、その光景を見ても気分が悪くなる事は無かった。
自分が生きてきた世界のホラーやバイオ系の映画は、散々見てきた影響だろうか。
僕は見つからないように戦いの様子を見ていたが、ふと思い出した。
「そうだ、鑑定を、してみよう。」
此処まで鑑定の対象も無かったので試す事も出来なかったが、今なら丁度、戦いに集中しているから、鑑定しても気づかれないだろうと思った。
僕は覗いた先に居た一番近くの緑っぽい生き物に、とりあえず、じっと見ながら「鑑定」と念じてみる。
何か自分に見えている対象が、一瞬光ったように見えた。
「おおっ!」
その時僕の目の前に、パソコンで言う所のウィンドウが開かれて、結果が出てきた。
ゴブリン:レベル13 HP 75/MP 15
スキル 棒術 レベル1 穴掘り レベル2
「確かに此奴は、こん棒のような武器を持っているけど。」
僕は取り敢えずコピーを試してみる事にする。
目の前に見えるウィンドウの中に、マウスのカーソルらしきマークが出ているけど、実際にマウスがある訳ではないので、エアーで右手を動かしてみるとカーソルが動いた。
「なるほど。エアーマウスって、感じなのか。」
そしてウィンドウに表示された棒術にカーソルを合わせて、右手の人差し指をエアで押下してみる。
指を動かした事で、確かに選択されたようだ。
「確か、フォルダって、言ってたよな。」
ウィンドウを見ると、左下にフォルダマークがあった。
僕は其処に選択した棒術を移動してみる。
ウィンドウには文字が薄く表示された「棒術」を、フォルダの上に移動させるとメニューが表示され、「フォルダに移動」と出てきた。
此処で右手の人差し指をエアで押した指を離すようにすると、フォルダが光ったように見えた。
これで、コピーが、出来たようだ。
一旦、確認する為フォルダをクリックしてみると、確かにフォルダへ「棒術」が格納されていた。
「よし、操作は分かったから、別のスキルをコピーする事にするか。」
僕は見える範囲のゴブリンに、鑑定を掛けまくる。
見える範囲のゴブリンは、レベル10~15ぐらいで、その大半が棒術レベル2、穴掘りレベル3、薬草レベル2、調合レベル1、槍術レベル1、投擲レベル1のスキル持ちだった。
「何か今の状況で役に立ちそうなスキルは、無さそうなんですけど。」
でも投擲だったらその辺の石を投げつけて、時間稼ぎぐらいは出来るかもと考えた。
とりあえず投擲スキルをセットしてみようと、先ほどのウィンドウを思い浮かべてみると、視界にウィンドウが出てきた。
僕はフォルダをクリックしコピーした投擲レベル1にマウスカーソルを合わせて、右クリックをしてみると、クリックメニューに設定と削除、並び替えが表示された。
設定を選択すると、スキルが一瞬光った。
「これで、設定されたのか?」
僕はフォルダから移動してみると、ウィンドウの右側に設定スキル欄が表示されていた。
そしてその一番上に投擲レベル1と表示されている。
「まあ、本当にパソコンの操作によく真似て作ったみたいだなあ。」
神様も大変だったんじゃないかと思うよ。
僕は持っていた剣を腰のベルトに挟み、近くの石ころを2個拾い手に持った。
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