第17話 ライトの過去
僕は、ミーサさんと、ギルドに着くと、直ぐに、カペラさんが、ギルマスの部屋に、通してくれた。
「来たね、小僧。」
「ギルドマスター、ご心配を、おかけしました。」
「小僧が、生き残ったから、あたしの首も、つなっがたよ。ふぉふぉふぉふぉふぉ!!。」
「ライトが、目を覚ましたら、連れて来るようにって、言われたので、連れて来ましたけど。」
「ああ、そうだったね。」
「僕に、何か用事でしょうか?。」
「昨日の結果が、どうなったのか、気になるんじゃないかと思ってね。」
「それは、そうですけど。」
「全員無事に帰った。そして、持ち帰ったキラービークイーンは、早速、解体してねえ。魔石と甲殻の処分を、持ちかけたら、あっという間に、買い取り先が、決まったよ。相手は、何と、フォルスタッド公爵だよ。それも、破格の値段で、買い取るそうだ。」
「フォルスタッド公爵?。」
「ライトは、知らないかもしれないが、この国で、一番の貴族さ。」
「そうなんですか。」
「フォルスタッド公爵、......。」
「ミーサは、知っているだろ。」
「はい。」
「で、討伐したお前達の取り分は、金貨1800枚だよ。」
ミーサは、それを聞いて驚いていた。
「そ、そんな金額で。」
「ああ、大きさや甲殻の堅さは、通常よりも、上だったからねえ。めったにない上物さ。」
「でも、そんなに早く、捌けるんですか?。」
「まあ、情報次第だね。それにしても、あの公爵は、耳が早いねえ。あっという間に、他から直ぐには、手を出せないぐらいの金額で決まったからね。」
「凄い人が、居るんですね。」
「それに、言った通り、ゴードンと、ガンドウのAランクは、決まったよ。多分、公爵が、後押ししたんだろうねえ。ミーサ、あんたも、次に、何かあれば、推薦されるだろうよ。報酬は、後で、ゴードンから、分配してもらいな。」
「はい、ありがとうございます。」
「ゴードンさんと、ガンドウさん、Aランク何て凄いですね。」
「ふふ。みんなは、ランクの応じて評価をした。でも、小僧は、報酬も無しだよ。あんたは、依頼のランクに、合ってない案件だからねえ。ランクアップもないよ。」
「はい、それで構いません。」
「ラ、ライト。それで、いいの?。」
「ミーサさん、僕は、いいんです。自分の為に、行っただけですから。」
「ライト、......。」
「ふぉふぉふぉふぉふぉ!!。ほう~らね。あたしの言った通りだろう。小僧は、ランクや報酬なんか、気にしちゃいないんだよ。」
「用事は、済んだよ。帰んな。帰んな。」
「じゃあ、失礼します。」
僕達が、部屋を出ようとした、その時、
「ああ、小僧、忘れもんだよ。」
ギルマスが、僕に、布に包まれた長い物を、投げて寄こした。
「これは、.......。」
僕は、布を取ってみた。
それは、綺麗な銀色の剣だった。
「これって。もしかして、ギルマス。ギルドで、保管しているレアな剣じゃあ。」
「おや、ミーサは、知っているのかい。そうだよ。何かの時に、使えるように、保管している剣の一本さ。魔鋼とミスリルで、出来た剣。」
「でも、これを僕に、どうしろと?。」
「なあに、昨日、たまたま倉庫に行ったらねえ。剣が、外に出たそうにしてたんで、持ってきちまった。戻すのが面倒だから、小僧、しばらく持っときな。何でも、魔力も、通すらしいよ。」
「そんな、大事な剣を。あ、ありがとうございます。大事に、預かります。」
こうして、僕達は、部屋を出た。
小僧、お前さんは、どうしちまったんだい。
3年近くも、全く目立ちもせず、誰にも、知られなかった奴が、突然、ここ一か月で、とんでもない事を、起こしている。
本当に、同じ人間かい。
事故の時、何があったんだい。
でも、今のあんたの働きをみると、あたし達、いや、この国の為に、何かを、やってくれそうな気がするよ。
小僧、あたしの期待を、裏切らんでおくれな。
ギルマスは、自分の机に座りながら、独り言を、囁くのであった。
「ライト。その剣、Sランクのモンスターや、戦争が起こった時とかに、出すやつよ。ギルマスも、思い切った事をするわね。」
「そうなんですか。何か、使いづらいなあ。」
「でも、渡したって事は、使って欲しいのよ。大事に、使いなさいよ。」
「はい。」
「じゃあ、私は、別件があるから。またね。」
「ミーサさん、ありがとうございます。」
さて、僕は、いつものように行きますか。
side:ミーサ
今、思い出しても、信じられないような戦いだった。
私だったら、あんな事を、思いつくかしら。
剣に、火を纏うだなんて。
それに、石の壁に囲わしたり、電撃を食らわしたら、一瞬の間があるなんて。
何で、気付けるのかしら。
一番、不思議なのが、彼は、いつから、あんなに魔法が使えるの?。
ダンジョンで、見つかった時に、使えたのかしら。
でも、そうしたら、何故、ゴールドラッシュは、事故に遭ったの?。
彼がいれば、みんなは、生きていたんじゃないの?。
ミーサは、そんな事を考えながら、街を進んでいた。
ミーサは、ある一軒の店を、目指して進んでいた。
「ここね。」
「いらっしゃいませ。あら、ミーサさん、どうしたんですか?。こんな時間に。」
そう、そこは、メイサが、働いている「一刀両断」だった。
「ごめんなさい。今日は、食事をしたいわけじゃないの。メイサちゃんと、話がしたくて。」
「そうなんですか。今、お昼も過ぎたんで、お客さんも居ないから、大丈夫ですよ。どうぞ座ってください。」
「ありがとう。」
「それで、話って何ですか?。」
「ライトの事、なんだけど。」
「ライトが、どうかしましたか?。あっ!、昨日の事ですね。迷惑かけちゃって、すいません。」
「いえ、そうじゃないの。本当の事を言うと、ライトが、居なかったら、みんな危なかったのよ。」
「ええっ!!。そうなんですか?。私はてっきり、ライトが、無理やり付いて行って、迷惑を掛けたんじゃないかと、思ってました。」
「違うわ。ライトが、魔物を倒したのよ。」
その話を聞いて、メイサは、驚いた。
それは、今までのライトとは、違っていたからだ。
あのライトが、自分から魔物を、倒すなんて。
何の取柄もない、あのライトが。
「メイサちゃん、ライトって、昔からあんななの?。事故から戻って、何か、変わった事ない?。」
「今朝、ライトが、目を覚ました時に、ライトからも、聞かれました。」
メイサは、朝のライトとのやり取りを、ミーサに話した。
「昔も、確かに、直ぐに、謝りはしたんですけど、それは、何にも出来ないから、出来ない事に対してで、最近は、心配させたりする事に、謝ったりするんです。」
「昔は、何も、出来なかった?。」
「ええ。武器の訓練をしても、何かの技術を、身に付けようとしても、人より出来なくて。」
「そ、そんな事が、あるのかしら。」
「どうかしたんですか?。」
「いえ、私達を助けた時も、使った事が無いような魔法まで、使ったのよ。そう、初めて会った時には、鑑定まで。」
「ええっ!!。魔法ですか?。魔法何て、まるっきし出来ませんでしたよ。それに、鑑定なんて、子供の頃から、一緒に居ましたけど、そんな事、一切、出来ませんでしたよ。」
「出来なかった?。魔法が。」
「ええ、そんなの出来ていたら、もっと、何かに役立ってますよ。」
本当に、何も出来なかった。
あのライトが。
それなのに、どうして、今は?。
あの戦いで、みんなを引っ張り、助けたあのライトが。
何も出来ない。
「ああ、そうだ、ミーサさんと、毎朝、訓練してるんでしょう?。」
「ええ、そうね。」
「剣は、振れてますか?。8歳から、孤児院で、剣を振ってたんですけど、全く、身に付かなかったんですよ。だから、冒険者になるって言った時には、荷物持ちぐらいしか、出来ないから、反対したのに。」
「えっ!。それって、誰に教わったの?。」
「孤児院の卒業生とか、慰問の冒険者だったり。」
「他には、何かなかった?。」
「そうですね。年に1回、騎士見習いの募集が、あるじゃないですか。あれにも、行ってましたよ。でも、全く引っかかりも、しませんでしたけどね。」
「あ、ありがとう。メイサちゃん。話を聞けて、良かったわ。」
私は、店を後にした。
向かったのは、街にある騎士の詰め所だった。
「すいません。アルフレッドさん、いらっしゃいますか?。」
「ああ、ゴードンさんのパーティーの人だね。ちょっと待ってな。」
受付に居た騎士の人が、副団長のアルフレッドを、呼びに行った。
少し待つと、
「やあ、ミーサ。久しぶりだね。今日は、どうしたんだい。こんな所に、来るなんて。」
「すいません。ちょっと、お話があって。」
「そう、ここじゃ何だから、中に入って。」
アルフレッドは、ここデルポートに、駐留している騎士団の副団長で、ゴードンの兄だった。
副団長室に、通されるミーサ。
「で、話って何だい?。」
「ちょっと、調べてほしい事があって。」
「調べる?。何を、調べればいいんだい。」
「騎士団が、年に一回、見習いを募集しますよね。その記録を、調べてほしいんです。」
「見習いの記録ねえ。余り外には、出さないんだけど。何か、大切な事かい?。」
「はい、ちょっと、確認しないといけない事があって。」
「まあ、ミーサなら、外で漏らしたりしないだろうから。で、何処の誰だい?。」
「第3孤児院出身で、ライトっていう少年です。」
「分かった。記録を見て来るから、ちょっと、待ってて、貰えるかな。」
アルフレッドは、席を立ち、部屋を出て行った。
そして、しばらくすると、アルフレッドが、戻ってきた。
「ミーサ、あったよ。第三孤児院出身のライト。」
「どうでしたか?。」
「ミーサも、知っているとは思うけど、受験資格は、16歳から18歳まで。才能や、過去の受験からの、成長度を考慮して、合格が決まる。」
「はい、知ってます。」
「で、ライトという少年は、16歳、17歳と受験して、今年も18歳で、受験している。結果は、不合格だった。」
「そ、それは、どんな成績だったんですか?。」
「成績は、Eランク。」
「Eランクなんですね?。」
「ああ。最低のランクだった。力、技、体力、魔力、どれをとっても、騎士になるというか、冒険者でも、ちょっと、無理なレベルじゃないかな。」
「無理なレベル、......。」
「この子が、どうかしたのかい?。」
「あ、いえ。ちょっと知り合いで。何か、いい仕事でも、探してやろうかと。」
「そうかい、孤児院出身だからかな。後輩、思いだね。」
「あ、あのう、アルフレッドさん。もし、何かの事故や、自分に、影響が大きい事件に会ったとして、突然、才能が、出たりするもんでしょうか?。」
「どうしたんだい、急に。そうだねえ。例えばだけど、僕達みたいに、貴族出身で、才能が有るか、無いかなんて、子供の頃に鑑定して、ある程度、分かるもんだよ。家を守る為にね。」
「確かに、鑑定すれば、分かりますけど。」
「ライト君だっけ。一番、良い時期に、3年も受験して、何年も試験官をやっている人間が、何も良い所が見つからないようじゃ、戦う様な職業は、向いていないと思うけどね。もっと、頭を使うか、裏方で、がんばる方に、勧めるね。」
「アルフレッドさん、ありがとうございました。」
「ゴードンに会ったら、宜しく伝えておいてくれ。ランクアップのお祝いしようって。」
「あ、はい、伝えておきます。失礼します。」
私は、詰め所を、後にした。
どういう事なの?。
ライト、あなたは、いったい。
事故前のあなたと、事故の後のあなた。
話を聞く限り、別人じゃない。
どういう事なの?。
分からないわ。
ミーサは、ライトの事を知れば知る程、疑念が湧いてくるようになる。
当方の作品をお読み頂いて、感謝の言葉しかありません。
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