第15話 キラービークイーン(後編)
僕が、もう駄目だと諦めかけた時。
その声が聞こえた。
「君は駄目じゃないよ。きっと出来る。だから。だからメイサを守って!!」
誰!!
誰だ。
め、メイサを、.....。
「君って。ラ、ライトなの。君いるの?」
だが、もう声は聞こえなかった。
諦めちゃ駄目だ。
何の為に此処に来たんだ。
僕にしか出来ない。
彼の為にも。
僕はメイサを守る為にも生きて帰る。
ふううう!
僕は大きく息を吐いた。
もう一度、落ち着け。
全身で魔力の流れを感じろ。
そうだ。
そうだ、いいぞ。
足の先から手の先から魔力を流せ!!
「ライト、早く!!」
がああああああ!!
僕は剣を見つめ大きく前進に力を込めた!!
プシュウウウウウウウウ!!
ボワッ!!
僕が持つ剣の刀身に炎が灯った。
「そうだ、いいぞ。」
僕は更に集中する。
炎の温度を上げるんだ。
僕の魔力を、.....。
じっと刀身を見つめる。
すると刀身の色がオレンジ色になった。
「ミーサさん!!」
「ゴードン行くわよ!!」
クイーンに対峙していたゴードンが、思いっきり飛び退いた。
「落雷!!」
バリバリバリ!!
ミーサの手から放たれた雷が、一旦、上空へ上がりキラービークイーン目掛けて落ちて来た。
ドオオオオオオン!!
バリバリバリ!!
ジジジジジ~~!!
プッシュウウウウウウウウ!!
キラービークイーンから煙が上がっている。
「今です。ガンドウさん!!」
「おお!!」
すると地響きが始まる。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
キラービークイーンの周りが、四角い石の壁に囲まれて動きが止った。
僕は、全力でキラービークイーンにダッシュした。
ガクッ!!
不味いぞ。
全身の力が抜ける。
また、魔力不足か。
頼む。
後少し保ってくれ。
僕は歯を食いしばった。
全身が脱力感に襲われる。
もう意識も飛びそうだ。
もう少し。
もう少し。
後一歩!!
よし!!
届いた!!
「うわああああああああ!!」
僕はキラービークイーンの背中の中心に、狙いを定めた。
そして狙った堅い殻同士の隙間に、剣を突き立てる。
ザシュッ!!
オレンジ色になっている刀身が、突き刺さった!!
「まだだああ。まだまだああああ!!」
大声を張り上げ意識を保とうとしていた。
僕は持っている剣に、体重を乗せ、力を込める。
そして押し込めた。
ズッ、ズッ、ズブズブ!!
刀身はクイーンの背中にドンドンと突き刺さっていく。
ギャ、ギャ、ギャ、ギャギャアア!!
キラービークイーンも苦しいのか羽をバタつかせ暴れている。
もう少し、もう少しだ。
僕は最後の力を振り絞り、刀身を根元まで押し込んだ。
グギャギャアアアア!!
「これで、どうだああああああ!!」
僕も叫んでいた。
段々とキラービークイーンの動きが、大人しくなってくる。
やったか?
そう思った、次の瞬間。
ドガアアアアアアアアアアアン!!
キラービークイーンを囲んでいた石の壁が爆発した。
ブシュウウウウウウウウウウウ!!
辺り一面には白煙が舞っていた。
ゴードン、ガンドウ、ミーサは、一瞬、手で顔を隠した。
目を開けるが煙でよく見えていない。
「おい、どうなった?」
「煙でよく見えないわ。」
「ライトは大丈夫なのか?」
「分からないわ。」
そして煙が徐々に晴れてくる。
だが其処には。
ビイイイイイイイイイイイ!!
「う、嘘だろ!!」
煙が晴れた後にはキラービークイーンが、まだ飛んでいた。
くそおおおおおっ!!
「ライトがあれだけ頑張ったのに。あれでも倒せないのかよ。」
「えっ、ライトは何処?!」
三人は周りを見渡した。
ライトはクイーンを挟んで、向かい側の奥の木の根元に倒れていた。
ライトはぐったりと気に寄っかかっている。
その時のライトは、既に魔力不足と爆発の衝撃で意識を無くしていた。
だが今までゴードン達に向いていたキラービークイーンが、向きを変えた。
「奴は、ライトを狙う気だぞ。」
三人も既に今までの戦いで満身創痍だった。
動こうにも体がいう事をきかない。
「や、止めて。ライトを狙うなら私を、......。」
ミーサはキラービークイーンに、届く筈もない哀願をした。
キラービークイーンは、非情にもライトに向かう。
ビイイイイイイイイイイイ!!
キラービークイーンは、ライトの目の前まで迫り、お尻の針を出す。
そしてゆっくりとライトの胸に迫った。
「や、やめろおおおおお!!。彼に手を出すな、....。」
ゴードンの叫びが、無情にも森の中で響き渡った。
ゴードン達が見ている目の前で、クイーンの針がライトに近づく。
もう後数センチという所で、キラービークイーンが止まった。
ギイ!!
ギギギギギギイイイイイイ!!
ドオオン!!
キラービークイーンは地面に落ちた。
「どうしたんだ、彼奴。」
「やっぱりライトの攻撃が、効いていたんだわ。」
「た、助かった!!」
それを見ていた三人は、その場にへたり込んだ。
「まさか、あんなバケモンを相手するとは思わなかったぜ。」
「本当に死ぬかと思ったわ。」
「そうだ、ライト?」
三人は立ち上がり、ライトの元へ向かった。
「ライト。ライト!!」
ライトは意識を無くしたまま動かない。
ゴードンが確認する。
「多分。魔力切れと疲れや寝不足なんだろう。それにさっきのショックがあるんだろうな。急いで連れて帰ろう。」
「儂が背負って行こうかい。」
「ガンドウ。私が連れて行く。」
「しかしミーサ。お前だってボロボロじゃろう。」
「いいの。私にやらせて。」
ゴードンがガンドウに手を翳して止めた。
「ガンドウ。今日はミーサの好きな様にやらしてやれよ。」
「そうじゃな。分かったわい。じゃあ、儂は此奴を持って帰るかのう。」
ガンドウは、キラービークイーンの死骸をバッグに詰めた。
「おっと、いかんいかん。これは返してやらんとな。」
ガンドウは、キラービークイーンの背中に刺さった剣を抜いて、ミーサに渡した。
「よし、帰るか。最後にもう一度、巣を確認してからな。」
三人は、キラービーの巣が在った木の中を確認した。
「こりゃあ。今まで見た事も無いぐらいの相当デカい巣だな。」
「そうね。木の中まで、大分、削られて広がってるし。」
「まあ。これだ焼けてるんだ。生き残りもいないだろう。よし、帰るか。」
三人は疲労は有るが、ライトを見て笑った。
「まさかEランクのライトが、一番、活躍するなんてね。」
「凄い、小僧だったのう。」
「ギルマスが連れて行けって言わなきゃ。俺達、どうなっていたか。」
三人、いや四人の帰る道のりは、何時もと違って軽やかだった。
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