第107話 錬金と日本酒
「ところで、ライト。お前、凄いな。錬成まで出来るなんて。」
「いえいえ、たまたまですよ。」
「なあ、相談なんだが。これからも俺の材料を、頼まれてくれないか?。」
「ええ、いいですよ。それだったら、コマース商会でも、出来るようにしておきましょうか?。」
「な、なにいいいいいいい!。コマース商会だと。お前、あそことも知り合いなのか?。」
「ええ、ミーサの紹介で会ってから、いろいろと手伝っているんですよ。今は、食材の調達を、手伝っていたりしてますけど。その時に、成分調整で錬金してるんです。」
「お前、食材を錬金しているのか?。」
「同じ食材でも、産地や育て方で、成分が変わったりしますからね。安定した食材を提供するには、やっぱり、錬金で調整しないと、同じ料理は出来ないと思ってます。」
「お前、そんなことまでやってるのか。」
その話を聞いて、メイサが都合よく、パンを切って持ってきて、ゴンドウさんに出した。
「ゴンドウさん、これどうぞ。「王都のパン」ですけど。」
「「王都のパン」なら、食ったことあるけどな。」
そう言って、ゴンドウは、パンを口に入れた。
「な、何じゃこりゃ。前に食ったやつとは、全く別物だぞこれ。こんなに柔らかくて、フワフワして。それに香りや甘さなんかもあるなんて。こんなパン、初めて食ったぞ。」
「その材料を、コマース商会から、提供してるんですよ。」
「これが錬金で、.........。」
ゴンドウさんが、何か、信じられないって顔をしていた。
「そうだ。ゴンドウさん、一緒に、ご飯食べていきませんか?。」
「いいのか?。」
「ええ、どうぞ。」
僕は、メイサに耳打ちして、ステーキを出してもらうようにした。
「おいおい、随分といい匂いが、してくるじゃねえか。」
「そうでしょ。東の国から調味料を手に入れたんで、いろんな味を楽しんでるんですよ。」
「そうなのか。こりゃあ、楽しみだ。」
しばらくするとメイサが、ゴンドウさんへ、ステーキを出した。
「この肉って?。」
「ミノタウロスですよ。」
「ミノタウロスだと。最高級品じゃねえか。」
「ここにあるのは、いつも取りに行ってるんで、肉って言ったらこれですね。」
「お前ら、良いもん食ってんな。」
「ゴンドウさん、どうぞ。召し上がってください。」
その時、僕は席を立って、調理室に行った。
「婆やさん、あれ、お願いします。」
「はいはい、これですね。」
婆やさんは、先に話したこともあって、一升瓶をテーブルに出してくれていた。
「じゃあ、先に冷でいいかな。」
僕は、コップに、並々とお酒を注いだ。
「婆やさん、東の国って、お酒を温めたりしますか?。」
「ええ、寒い所があるので、熱燗ですね。」
「やっぱり、あるんですね。すいませんが、熱燗の準備も、お願いします。」
「ええ、そうしたら、これが入用でしょう。」
なんと、婆やさんが、徳利とお猪口を出してくれた。
「婆やさん、これも持ってたんですか?。」
「ええ、一応、何かに役立つかもと、持ってきておりますよ。」
「じゃあ、これでお願いします。」
「分かりました。」
僕は、コップに注いだお酒を持って、食堂へ行った。
「ゴンドウさん、良かったら、これもどうですか。」
「クンクン!!。」
「おいおい、随分といい匂いだな。」
「ゴンドウさん、これは、東の国のお酒ですよ。」
「な、なにいいいいいいい!!。東の国のか。ここには、そんなのもあるのか?。」
「この間、コマースさんにも、カエデさんが紹介状を渡したので、上手くいけば、手に入るようになるかもしれませんよ。」
「おお。じゃあ、遠慮なく頂くとするか。」
「ゴク、ゴク、ゴク!!。カアアアアア!!。こりゃあ、堪らねえなあ。初めて飲んだが、旨すぎるぞ。」
ゴンドウさんは、あっという間に、お酒とステーキを平らげた。
丁度、その時、婆やさんが、熱燗を持ってきた。
「ゴンドウさん、東の国のお酒ですけど、他にも楽しみ方があるんですよ。」
「何、本当か?。」
「カエデさん、すいませんが、お酌してあげてくれませんか?。」
「ええ、いいわよ。」
カエデは、立ち上がって、ゴンドウの隣へ移動した。
「じゃあ、ゴンドウさん、どうぞ。」
婆やさんが、お猪口と徳利まで、用意しているとは思わなかった。
流石ですよ。
「お、おう。すまないな。」
ドワーフのゴンドウさんが、お猪口を持つと、小さすぎるような。
「おお~、これは、堪らんな。」
「そうでしょう。温めるとまた、違うんですよ。」
その時、ゴンドウさんが真顔になって、言った。
「ライト、こりゃ、駄目だ。」
「えっ!!。何か不味かったですか?。」
「いや、おめえ、こんな美人に、お酒注がれて、この酒の味だぞ。ドワーフはイチコロだってことだよ。ワッハハハハハハハハハ!!。」
「なんだ、ゴンドウさん。気に入ったんですね。」
それから、ゴンドウさんは、熱燗を何本もお替りして、結局、一升を飲んだ。
「ああ~、今日はいい気分だ。それじゃあな!。」
ゴンドウさんは、酔っ払いながら帰っていった。
「ゴンドウさん、大丈夫かなあ。明日の朝、材料を届けてくれるのか心配だなあ。」
「ライト。ドワーフの人って、結構、ああいう人多いから、お酒飲んでても、仕事はちゃんとするはずよ。」
翌朝、門にいる兵士の人から連絡があり、メイサが迎えに行くと、
「すいません。親方から、これ預かって来たんですけど。」
「このバッグごと、預かっちゃっていいんですか?。」
「ええ、親方からも渡せって言われてきました。結構、重いからバッグごとじゃないと運ぶの無理ですよ。」
「分かりました。ありがとうございます。じゃあ、夕方に来ますんで。」
「はい、ご苦労様です。」
「ライト、来たわよ。荷物。」
みんなで、リビングに集まって、バッグの中を、確認する。
「どれどれ、ゴンドウさんは、どんな材料を選んだんだろう。」
僕は、バッグの中に手を入れて、出してみた。
「よいしょっと。」
それは、真黒な塊で、昔の世界でいうコールタールのような塊であった。
「凄い真黒な塊だなあ。」
「ライト、それって、重力鉱だわ。」
「重力鉱?。」
「かなりレアな鉱石よ。何でも、魔力を込めると、重くなるって話だけど。」
「ええ~!!、そんな石があるんだ。」
僕は、持ち上げて、見てみたけど、見た目は真黒な石なんだけど。
「ちょっと、魔力を込めてみようかな。それっ!!。」
「うわっ!!、本当に重くなった。」
「確か、普通は丸い球のような形で作っておいて、必要なものの中に、それを入れて、使うはずよ。」
「そうか、入れる数によって、最大の重さを調整するんだね。」
僕は、バッグに、もう一回、手を入れて中を確認した。
「もう一個、あるね。こっちは、もっと大きい塊だ。」
僕は、もう一個の塊も出してみた。
それは、結構な大きさで、白銀に輝いていた。
「これって、ミスリルね。」
「こっちも、結構、レアな素材を選んだわね。」
「じゃあ、ミスリルで武器を作って、先端に重力鉱を埋め込む感じなんだね。」
「多分、そうね。でも、量が多くない。」
「ガンドウさん、錬成できなかったから、使えないで眠っていた素材を出してきたんじゃない。」
「まあ、作ってもらえるんだから、多くてもいいじゃないか。」
僕は、まず重力鉱から、錬成してみることにした。
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