表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/34

初夏、藤

 藤棚ふじだなを作ってみたかったのです。

 近所のお寺の藤棚は、ゆらゆらと、沢山たくさんの紫色の藤の花房はなぶされていて、はちが眠そうに()()()()と飛んでいました。かすかに甘い香りがしていたように記憶しています。

 ぜひ、うちにも、と思って、一才藤いっさいふじの鉢を買ってきて、()()に植えたのが、間違まちがいのもとでした。

 待てど暮らせど、一向いっこうに花が咲かない。

 藤は気難きむずしくて、咲かせるのに工夫くふうがいることを知ったのは、二~三年たってからのことでした。

 つるばかり伸びて、その始末しまつ四苦しく八苦はっくした挙句あげく、やっと花が咲き始めたのは、さらに数年たってからのこと。

 ところが肝心かんじんの花は、太陽を求めて、日当ひあたりのいい隣の駐車場の方ばかり向いて咲きます。こちらからは、つるや葉が邪魔じゃまになって、全然見えない。

 おまけに夏になったら、つるあばれる暴れる、二階にまで昇ろうという勢い。ハサミで切ると反抗して、ますます大暴れ。古くなり、ねじれてからみ合った枝はかたくて硬くて、のこぎりを持ち出さないと切れないほど。

 それからは、冬、落葉らくようしてから、さっぱり切ることにしました。

 それでも、咲いた花の美しさに、全ての苦労を忘れてしまいます。

 虫も付かないし、病気にもなりません。

 藤のあまりの強さに、虫も病気も退散たいさんしてしまうのでしょう。

 去年、鉢を買ってきて、再挑戦しました。

 地面にろさなければ、与えられた環境で咲きます。

 今年は、直径十八センチの鉢に、十一もの見事な花房を付けました。

 鉢のサイズに似合わないほど、長い房で、さわるとポロポロ散ります。天井てんじょうからったり、上に置いてがるようにセッテイングすると、オシャレだし、藤にも負担ふたんが無くて良いでしょう。



       挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ