表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
観測不能の侵略者  作者: 九月
第三章 DELETE

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/125

90話 停電したら

 「キングオブ電力」の扉は凄まじい高温によりドロドロに溶け、とてつもない衝撃によりひしゃげていた。もはや扉はその意味を為さないだろう。そしてその被害は扉にとどまらない。


 たった一度の集中砲火によって建物は半壊したと言っていい。国の電力供給源だ。それなりに大きな敷地に大きな建物だった。それが今では半分焼野原だ。当然、国は停電した。しかしこれまた当然、予備電力に切り替わる。城周辺は未だ明るい。




 城の予備電源は予めシガレットとシャリテが処理している。であれば。ここの予備電力供給を断てば。城は真っ暗大パニック。率先して灯りを点けるはずの奴隷はおらず、使用人共が慌てふためくのが目に浮かぶ。アリスはそんなことを思い浮かべてふふと笑った。


 「予備は地下かしら?」


 この空間を支配している兵器達が一斉に向きを変えた。照準は地面に向けられている。しん、と空気が凍り付くような間。次いで轟音。間断なく轟音。それは城が暗くなるまで止むことは無かった。




 私は、一仕事終えてふうっと息を吐いているアリスの背後に現れた。焼けた鉄の匂い。焦げた何かの匂い。ふとアリスの髪から良い匂い。私は目の前にある金色の髪を撫でた。なでり。


 「きゃあっ!」


 一斉にこちらに照準を向ける兵器達。バッと振り返るアリスは私の顔を見て一瞬目を細め、呆れたようにため息をついた。兵器達も、なんだミリアかとでも言うようにやれやれとボディを揺らした。




 「ミリア?どうして髪を撫でたの?」


 アリスが少し咎めるように言った。


 「良い匂いがしたから」


 私は正直に答えた。アリスは首を傾げ、言葉の理解に努めているようだった。少しして、やはり理解は出来なかったのか、


 「どうして良い匂いがしたからって撫でたりするの。ダメじゃない!」


 ちょっと怒ったようにアリスが言う。どうやらよっぽど嫌だったらしい。反省。


 「ごめんなさい」


 私は俯いて小さめの声でそう言った。反省が伝わればいいのだが。するとアリスはオロオロと戸惑い、やがて体裁を整えるためかコホンと咳払いをして


 「つ、次やったら、えーっと、お、怒るからね!いきなり背後に現れるのもダメだからね!」


 と言った。若干子供っぽいアリス。もしかすると髪を撫でられるとそういう風になるのだろうか。だとしたら嫌がるのも納得だな。




 一方、リンネとカナト。停電したので施設内に侵入していた。予備電源に切り替わるまで20秒足らずだったが、便利兵器で何とかなっていた。


 「よし!取り敢えず入れたな」


 「ドキドキしたぁ」


 「じゃあリンネ、予備電源を切りに行くぞ」


 「うん」


 「その後は見えすぎ君で視界をクリアしつつ、移動停止剤をまき散らしながら所長室へ一直線。なお、機動ブーツで看守の頭上をすり抜ける。ばれないように不穏迷彩も起動させる。所長にはシャボン玉リングを通せ。そしたらプチョヘンザーで運び出す。後処理はぽにゃぽにゃを使う」


 「後半適当じゃない?」


 「そんなことない!ぽにゃぽにゃは凄いんだ!」


 「ま、まあそうだけどぉ。正式名称じゃないじゃん」


 「うるさい!ぽにゃぽにゃはぽにゃぽにゃなんだ!」


 「か、カナト君にうるさいって言われたぁ!うわぁあん!!」


 「い、いや違う。ちょ、待てリンネ!そっちは所長室だ!」


 「えーん!こんな作戦すぐに終わらせてやるぅ!」


 「いい心がけだけど!せっかくの見えすぎ君の出番が!どれくらい見えるか試そうと思ったのに!」


 「ひーん!見えすぎ君であたしの下着姿見るつもりだったんだぁ!カナト君のえっちぃ!でも後で試してみてもいいよぉ?胃の中まで見て?」


 「ちげーから!ただの暗視ゴーグルとして使おうと思ってたから!」


 「ほんとかなぁ」


 そう言ってリンネはいたずらっぽく笑うのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ