89話 子供は単純ではない
少しの間待っていると、二人が子供を連れてきた。
「お疲れさんミリア。この二人を連れて行ったら予定通りボスのところへ」
私は頷く。
「ほら、後はこのお姉ちゃんが連れてってくれるからな」
シャリテのそんな言葉に、半獣人の子が首を傾げる。
「お姉、ちゃん?」
何故か私よりも身長があるからって疑問を持つとは。確かこの子たちは9歳くらいって言っていたのに、なんで。
「私16歳、だよ?」
私がそんな風に言うと、
「あ、ごめんなさい」
と謝られた。なんだか悪いことをした気分になってしまったではないか。早くミラに預けるとしよう。
「こっちおいで」
私は子供たちを手招く。気分は悪い魔女。お城からお姫様を攫うのだ。
おずおずと歩み寄ってきた子供たちを白い光が包む。
「あれ?ここは?」
「広い。明るい」
子供たちが戸惑う。一応説明してやるか。相手は子供だしな。
「ここは万能地獄にあるお家だよ」
私がそう教えてあげると、
「嘘だよ。だって砂漠は人もモンスターも入れないんだよ?」
「そんなわけないじゃないですか」
二人して否定してきた。嘘じゃないのに。もう知らん。
「ミリアおかえり。ぎゅ」
ミラがどこからかすっ飛んできて抱擁してきたので、心が少し荒れた私はミラに抱擁を返した。
「ぎゅ」
「!」
ミラは抱擁を返されたことに興奮したのか、宙に浮かんでお花をばらまき始めた。不思議生命体だ。
「ミリアちゃんって双子なの?」
「なんで浮かんでるの?」
子供は疑問が多いな。けれどこういった質問に真摯に向き合ってしっかりと答えるのがきっと教育の第一歩だろう。
「あれはミラ。妹。双子じゃないよ。浮かんでいるのは多分幸せだからだよ」
「へー。双子じゃなくてもそっくりなんだね!」
「幸せだと浮かべるの?」
「多分」
「ふーん」
ふう、しっかり答えてやったぞ。これで私に懐いたに違いない。全く子供は単純だなぁ。
「ミラちゃん!このお花綺麗だね!なんてお花?」
「ミラちゃん。私も浮かびたい。どうやるの?」
なんで。もういいさようなら。そう思ったらミラが降りてきた。
「行ってらっしゃいミリア。ちゅ」
頬に軽い口づけ。毎回やるつもりか?
私が覗くと、アリスがちょうど攻め入るところだった。確か危ないから粗方片付いたらおいでって言っていたな。
「さて」
アリスは手を扉に向ける。頑丈そうな扉だ。警備もしっかりしているのであろう。建物では既に警報が鳴り響いており、侵入者の存在は知れ渡っている。しかし。
轟音。
関係ない。これよりここは数多の兵器が跳梁跋扈する戦場となる。アリスの能力によって。
アリスの能力<百器夜行>。大抵の物を支配下に置き操れる。操れるといっても動作は破壊しかない。これによってアリスに傷がつくことは無い。アリスの無意識も影響しているため、人や対象外の建物などを攻撃することは通常ない。が、たまに暴走する。




