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観測不能の侵略者  作者: 九月
第三章 DELETE

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82話 カナト困惑

 「お、もう来たぞ。お前らもカメラの映像見ろ」


 ソラカラで空から貸倉庫周辺を監視していたカナトがそう言った。


 「わ、もう来たんだぁ」


 そう言いながらリンネちゃんはスマホを取り出し、私にも見えるように差し出してくれた。スマホには、昼前に設置した小型カメラの映像が映っており、五人の男が貸倉庫に向かって歩いているのが見えた。男たちは白い作業服を着ており、リンネちゃんが言うにはこの人たちが「ナガイハワタリ電工」だろうということだ。


 「反対側からも来たぞ」


 反対側というのは、貸倉庫を囲む高いフェンスに設けられた二つの出入口の南側。「ナガイハワタリ電工」は北側から来たので、南側から来るのは「ジキジキ」というマフィアだ。こちらは十人程の男がおり、皆かっこいいスーツを着用している。顔が怖い。


 「うへぇ。ドンパチ始まっちゃいそうだぁ」


 「流石に取引以外に妙な事をし始めるなんてことは無いと思うが。まあ何が起きるかわからない。注意していこう」


 「うん!」


 私も頷いた。




 貸倉庫前。極東の月島から五人。地元のマフィア十人。計十五人が睨み合う、というわけではないが向かい合っていた。「ナガイハワタリ電工」の内一人が工具箱のようなものを持って前に出る。それがあまりに突然だったためか、「ジキジキ」の若い者数名が腰元にバッと手を伸ばした。それを一番偉いっぽい人が片手を横に広げて止める。そして後ろを睨む。若い者はビクっとしてガタガタ震えた。きっと怖いんだろう。


 一番偉いっぽい人も前に出る。何やらケースを持った人も一緒だ。やがて互いの距離が2m圏内にまで近づいた。身長差が歴然だ。白い作業服が170cm程度なのに対して、かっこいいスーツは2mに届くであろう大きさだ。そこへ「ジキジキ」の若い者がせっせと机と椅子を運ぶ。両者の間に机を置き、両者に椅子を勧める。お互いの代表が座ると、工具箱とアタッシュケースが机に置かれる。




 「と、取引ってこんな感じなのか?タイミングわからん」


 カナトの作戦では、どこかで兵器を確認するタイミングがあるはずなのでそれを確認したら私が二人を外に運んで、奪取。というものなのだが、これから話し合いをするのだろうか。こういうのは既に話はまとまっているものだと思っていたが。


 「うぅ。緊張するよぉ」


 私はリンネちゃんのおててを握っておいた。少しでも緊張がほぐれればいいなと思って。触りたかったわけじゃない。


 「わぁ、冷たぁい」


 喜んでる。わーい。幸せ。




 貸倉庫前。机の真ん中に大きなパラソルが設置された。暑いから。そして机を囲むように人が群がる。なんで?




 「どういうことだ!?これじゃ奪取が難しいぞ!それにカメラで見えない」


 「うん。全方位塞がれちゃってこっちだと兵器の確認できないかも」


 「ソラカラで見てれば何か出てきたら形くらいはわかるけど兵器かどうかは。いや、音声で判断するか。そもそも机ごともって行けばいいんだが。一応」


 カナトはゴーグルをずらして片目を出した。そしてスマホを取り出してイヤホンを装着した。




 「おう、久しぶり。元気しとったか」


 「ああ、お前も元気そうでよかったで」


 「おう。そんで?早速やるか?」


 「そうだな、まあ今日は久しぶりに楽しもうや」


 「トレードは最後にするか」


 「ああ。じゃあいくぜ!」


 「おっしゃやろうぜ!」


 「「勝負!!」」




 「は?」


 「え?」


 二人はポカンとしている。音声を聞いていたのだが、取引は最後にしていきなり勝負を始めたからだ。


 「おいおいおい!どうなってやがる!」


 「取引するのは間違いなさそうだけど、何で勝負するんだろ。カナト君見える?」


 「あ、ああ。ちょい待て。なんかポッケから出した!四角い!熱は持ってなさそうだ。人肌以下、すぐに冷めていく。なんらかの兵器ではなさそう」


 「お、音声聞こぉ」




 「今日はどんなデッキ持ってきたんだァ?」


 「くくく、お前がよく使うデッキにメタってきてやったぜ」


 「な、なにぃっ!?まさかドラ専と言われてるあれを集めたのか!?」


 「ああそうさ。ドラゴン絶対殺すマン、ふにゅらるど。悪いが今日は俺の全勝だ」


 「ふっ。バカめ。この俺がまさかデッキを一つしか持ってきていないとでも?ドラゴンが駄目なら宇宙生物。それが駄目なら微生物。それでも駄目なら教科書デッキ使うわ」


 「お前!教科書デッキは浪漫だからって、弱いから使わない方がいいって散々言ってた癖に!」


 「馬鹿め。教科書は開けさえすれば強いんだよ。この間の新弾でいいカード出たんだぜ。『開けてぇドンドンドン』というカードなのだが」


 「え?それってどういう効果あんの?」


 「えーっと、場にあるカード一枚を呪う、又は殺してもよい」


 「たしか教科書って呪われたら勝手に開くんだっけ」


 「そうそう。プラス飛行も持つし」


 「へー、そういうカードってあんま無かったのか?」


 「うん。コストデカかったり、相手のしか呪えなかったり。これは凄い低コス」


 「結構流行るかもな」


 「そうなったら怨霊デッキ廃れちゃうかもな」


 「まあ『story寺』が強すぎたからな」


 「『貞男』もな」


 「俺あれのイラスト苦手だわ」


 「まああれのせいで女の子人口少ないってのあるだろうからな」


 「たしかにあの弾クレームヤバかったらしい。でも特に対応も無かったし去る者追わずなのかもな」


 「もっと流行ってほしいのにな」




 「なんだこれは」

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