78話 カナトコミュニケーション
「受け渡しはお昼過ぎに堂々と行われるみたい。人数はわからないけど、どちらも最低3人はいると考えておいて。取り敢えず両者の情報を渡しておくわ」
極東の月島にある、「ナガイハワタリ電工」というところがこの国のマフィアに兵器を受け渡すらしい。受け取るマフィアは「ジキジキ」という名前みたいだ。それにしてもこの大陸は外の国と交流しないと思っていたがこういうことではしっかり交流していたみたいだ。
「準備しましたけど、殺さなくてもいいんですよね?」
「ええ。奪取という形が望ましいわ。両者間に不和を産むためにはね。まあ危なかったら貴方たちの判断に任せるけれど」
「じゃあやっぱりぃ、単純にスピードで奪っちゃえばぁ?」
「いや、それにしたって相手の動きを数秒は止めておきたい」
「じゃあ撒いておく?移動停止剤」
「そうだな、けどあれだって一定の振動がなければ固まらないぞ?」
「あれはねぇ、繋がってさえいればどこから衝撃を与えても全体が固まるから導火線みたいに撒けばいいんだよぉ」
「へー、そうなのか。やっぱ詳しいなリンネ」
「えへへ」
「待てよ?兵器の規模が分からなければ奪えるかどうかも」
「う、たしかにぃ。み、ミリアちゃん、大きかったらお願いぃ」
「うん」
「どれくらいの大きさまで大丈夫なんだ?」
私は首を傾げた。
「うーん。わからないってことか?」
私は頷いた。
「そうだな、例えば外を走ってる車。あれはどうだ?」
私は首を縦に振った。
「いけるのか?」
私は頷いた。
「そうか。よし、だったら多分大丈夫だろ。それより大きい兵器だったら終わりだが」
私は首を縦に振っておいた。
「はは。意外とコミュニケーション出来てるな、俺たち」
私は得意げに頷いた。
「むー。カナト君、ミリアちゃんと仲良さげぇ」
「何言ってんだよ。これから一緒に仕事するってのに仲悪いとダメだろ」
「ま、まぁ。そうだけどぉ」
「それにお前の方がミリアと仲いいだろ?」
「そうだけどぉ、それとこれとは別っていうかぁ」
「?」
「なんでもないよぉ」
「よし!そろそろ行くか」
時刻は9時。
「まずは貸倉庫に行って、仕掛けるものを仕掛ける。それから内部と周辺の調査。で昼飯」
「おっけ~」
私は首を縦に振る。
「じゃ、ミリア頼む。まずは貸倉庫だ。けどもしかしたら見張りとかが既にいるかもしれないからこのアパートのこの部屋に行ってくれ。使われていない部屋だ。ここから貸倉庫の様子を探る。出来るか?」
私は頷く。
「おお。凄いぞミリア」
リンネちゃんがぷくぅと膨れた。
「作戦はまとまった?それじゃ行ってらっしゃい」
促すアリス。
「じゃボス。行ってきます。まだ不安ですが」
「ボスぅ。骨は拾ってねぇ?」
「行ってきますアリス」
「はい行ってらっしゃい」
白がミリアたちを飲み込んだ。
アパートの一室。古い造りのアパートには家具も何も置かれていなくて誰も住んでいない。白が開かれてミリアたちはそこに現れた。
「すげー。ほんとに来れた」
「ミリアちゃん凄いねぇ偉いねぇ」
リンネちゃんが頭を撫でてくれた。最近は撫でられるのに少し幸せを感じる。幸せって良いものだ。
「よし。情報通り窓から貸倉庫が確認できる。思ったよりでかいんだな」
貸倉庫は周辺を高いフェンスに囲まれていて、まあまあ大きい。ここからではそのぐらいの情報しか得られない。
「カナト君、どれ使う?」
そう言ってリンネちゃんは、自身が背負っていたリュックサックから小型の兵器たちを覗かせた。ガチャガチャしてる。
「そうだな、まず見張りがいるかどうか調べるか。Mr.サーモとソラカラを使おう」
「わかったぁ。はいどうぞ」
リンネちゃんの手にある二つの兵器。Mr.サーモはキューブ状の兵器で、その効果は観測した温度を操るというものである。単体では観測できないので一緒に使われるのが、ソラカラ。ソラカラは人工衛星であり、ここにあるのはコントローラーだ。元々は特殊な電波を地上に発信して地形などを立体的に把握するものであったが、現在は専ら兵器の補助に使われている。
今回はこれらをあくまで索敵に使うようだ。これらを用いれば人間の殲滅は容易いのだ。兵器なのだから。




