75話 リンネショートした
「ミリア。あなたカナトのこと治せたり出来る?」
「出来るよ」
「ミリアちゃん本当!?」
「うん」
「お願い!カナト君を治して!あたしなんでもするから!」
言われなくても治すつもりだったけれど。あとなんでもはしなくていいかな。
「じゃあ離れてて」
私はカナトから皆を遠ざけて近づく。相変わらず目が開いたまま固まってて面白い。
「その前に写真撮っていい?」
私は一応リンネちゃんに聞いてみた。
「え、なんで?あ、もしかして治すのに必要なの?」
「ううん。写真撮ってみたくなっただけ」
「み、ミリアは昨日スマホ持ったばかりなのよ!それで写真に興味持ったのよ!」
アリスがフォローしてくれる。
「たしかに今カナ君は被写体として優れているからね。それに治るんだったら、ちょっとくらい知らない間に何かされててもいいんじゃないかな」
クリアスターもそう言ってフォローしてくれる。
「じゃ、じゃああたしも撮る!ツーショ、ツーショ!」
リンネちゃんがそう言って、椅子に座っているカナトと自撮りし始めた。私もカナトの単体写真を1枚撮った。クリアスターはカナトのデスクにあるパソコンをいじっている。アリスはただ見てた。
真白の光が誰も知覚できずにカナトを飲み込み、そして吐き出した。
「あ、ああ、可愛いぞリンぬぁぁあ!?!?な、小さい男の子大集合!?僕のポメラニアンがマルチーズでもチワワ!?はぁ!?ショタハント!?隣のお姉さんが僕のこと食べちゃったぁあぁ!?なんじゃこりゃ!!」
ガタンと立ち上がるカナト。目の前のパソコンには小さい男の子のイラストが、画像検索で出されていた。
「おいおいカナ君。きみ仕事中に何を見ているのさ。どれどれ?ほう!知らないおじさんに体操服盗られちゃった!?取り返しに家までついて行ったら・・・!?けしからん!」
「か、カナト君。小さい男の子が可愛いんだ・・・」
「いやいや違う!誤解だ!俺はノーマルだ!可愛いって言ったのはお前にで、ってかあれ?今のは夢だったのか?なんで急にパソコン見てたんだ?ってかなんだよこれ!!」
カナトはそう言ってパソコンをいじってタブを消していった。
「ふう。なんだってんだ全く」
「カナト君」
「おうリンネ。あれ?その姿、やっぱ夢じゃなかったのか?」
「もう一回。ちゃんと、言って?」
「な、なにを」
「あたしのこと、見た感想。褒めてよ」
「か、可愛い、ぞ?」
「それだけ?」
「え。ええと、髪が綺麗、ですね」
「他には?」
「い、良い匂いがする」
「にゃ!?か、カナト君のエッチぃ」
「あと、服似合ってる」
「あ、ありがとぉ」
「それと、笑顔が最高に可愛かったな」
「ぴゃふゅぅ」
リンネちゃんがショートした。
アリスとクリアスターがカナトに何が起きたかを説明する。私は目を回しているリンネちゃんを見ている。
「えっ、マジっすか。わ、ほんとだ時間進んでる。あれ?腕時計は進んでない」
カナトが袖をまくって腕時計を確認して言った。
「決まりね」
「うん、リンちゃんの能力は相手の時間を止めるみたいだね」
クリアスターがカナトの額に文字を書こうとしたけどつかなかったのも時間が止まっていた影響だろうか。
「リンちゃんの場合、能力が目に宿ってると言えなくはないから固有能力みたいな感じなのだけれど、人間から発現したものは能力という枠組みに分類されるのでやっぱり能力としか言えないね。ところでミリアちゃんのあれは能力なのかな?それとも精霊魔法ってやつかな?それとも呪いとかおまじないとかそういう類かな?どれかなどれかな」
「クリアスター、ミリアのことあまり詮索しないの」
「秘密だよ」
「秘密かー。じゃ、しょうがない」
「おい、新入りも何かやらかしたのか?」
「カナト、新入りじゃないわ。ミリアよ」
「カナ君のこと治したのはミリアちゃんだよ」
「え、そうだったのか!なんか色々すまん、新入り、じゃなくてミリア。ありがとな」
私は首を横に振っておいた。
「ボス。ミリアが俺とは喋らない」
「恥ずかしがり屋なのよ。シャイなのよ。人見知りなのよ」
「そうすか。ミリア、お前が来てからリンネが明るくなったみたいだ。これからもあいつと仲良くしてやってくれよ?」
私は首を縦に振っておいた。リンネちゃんは未だに目を回していた。
カナト治って良かった。




