72話 リンネとプール
「ま、別にいっか。あたしにはカナト君がいるもん」
「何言ってるのよ。ミリアはここに来たばかりで危ないから友達として泊めてるの。同棲とかそういう意味は含んでないわ」
「はーい」
「リンちゃんの恋愛脳にも困ったものだね。カナ君の好意を確認もしていないで決めつけたりして」
「だって、か、可愛いって言われたもん!絶対あたしのこと好きだもん!」
「リンちゃんはカナ君のこと好きなの?」
「えぅ。す、好き。かも?」
「ほら、はっきりしていないじゃないか」
「でも、両想いになりたい///」
「そうなんだ。そう思ってるんだったらその姿でカナ君と普通に接してみなさい」
「無理だよぉ。恥ずかしいよぉ」
「貴女、殆ど裸のところカナトに見られたじゃない。何が恥ずかしいのよ」
「だからですよボスぅ。裸見られたから恥ずかしいのぉ」
「らしくないわね。いつもだったら責任とれって言って家に連れて行くくらいするでしょう」
「それで誰も捕まえられたこと無いですしぃ。それにカナト君に嫌われたくないし」
「リンちゃんやってることがヤバいってこと自覚あったんだ」
「まあリスカって仮面で自分のこと偽ってたみたいなところあるからぁ。本当はあたしただの人見知りだしぃ。あんなに変態じゃないしぃ」
「その割には会って短いミリアと話せているじゃない」
「そりゃ、女の子同士だし、友達になったし。とにかくカナト君とはこの姿じゃ恥ずかしいの!」
「恥ずかしくても頑張りなさい。素の貴女を見せればカナトも貴女のこと好きになるわよ。可愛いって言われたんでしょ。だったら可愛い姿見せてあげなさい」
「うぅ。わかったよぉ。頑張るぅ」
私たちは流れるプールでぷかぷか流されながらそんな会話をした。私は会話を聞いていただけだったが。
ウォータースライダーなども皆で楽しく遊んで、時間はあっという間に過ぎた。
「お昼食べに行きましょうか」
「うん」
私たちは更衣室で着替えて、髪を乾かしたりした。その後、エレベーターに乗ろうとしたら、リンネちゃんが下の下着しか身に着けていなかった。暴れそうな胸を、腕で必死に押しとどめている。
「うぇえん。服無いよぉ」
半べそかきながらオロオロするリンネちゃん。
「全く。三番目があるでしょリンネ」
「あっ、そうだった!ありがとボス」
リンネちゃんが左手のシールに触れる。するとリンネちゃんの周りに光が展開され、それが収まると灰色の髪で、眼鏡をかけていて、胸の大きい女性が現れた。ちゃんと服も着ている。スーツだ。
「ふぅ。これでお昼一緒に食べれる」
それにしてもこれは触ってみるとどうなるのだろうか。
「リンネちゃん、触ってもいい?」
「え!?ミリアちゃん!?どどど、どこに触る気!?」
「腕とか」
「あ、うん。いいよー」
私が腕に触ってみるとちゃんと服の感触がした。服があると認識している部分でだ。ずれは無い。凄く高度な技術なのかもしれない。
「眼鏡外せるの?」
「うん。ほら」
そう言って眼鏡をはずして見せるリンネちゃん。
「離れると戻るの」
リンネちゃんが眼鏡をポイっと放ると、それは消えてリンネちゃんの顔に戻った。凄い技術だ。
ビルから出て、街中を歩く。今日はどんな店で昼食をとるのだろうか。
「私たちは昨日ラーメン食べたから、何か他のもの食べたいわね」
「なら冷やし中華はどう?」
「クリアスター、出来れば麺類以外が良いのだけれど」
「アリスはわがままだなあ」
「パン屋さんはどうですか?美味しいところ知ってます!」
「そこにしましょうか。ミリアもいい?」
「うん」
「アリス、私には聞かないのかな」
「だって聞かなくてもわかるもの」
「まあ勿論肯定するけれど。コミュニケーションをとってくれてもいいと思うんだ」
「はいはい」
「全くアリスは仕方がないな」
そういえばアリスは18歳でボスなのか?
「なんで?」
「私飛び級したのよ。16歳で大学も卒業したわ」
「あたしなんて学校行ってないのに」
「いいのよ別に。リンネは今働いてるんだし。誰も文句言わないわ」
「えへへ。じゃあ学校にも行ってるカナト君は皆に褒められるね!」
「こんなにカナ君のこと好きになっちゃって」
「えへー。クリアスターのことも好き。ボスもミリアちゃんも皆好きだぁ」
リンネちゃんは幸せそうに笑った。




