表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
観測不能の侵略者  作者: 九月
第一章 巷で噂の変質者
7/121

6話 明日の準備しましたか?

 その後シャルヴィス・X・インフェルノは、ミリアとちょっとしたお話をして部屋を後にした。


(納得はしましたが、ミリアさんのことをどう報告したものでしょうか。立場上、人を裁いたらその状況を総督にお知らせしなければならない。ああしかし生き返ったとしか言いようが無い。総督から上に報告がされたら神の子か異端の魔女か、いずれにせよ彼女の人生が縛られるような偶像の抱かれ方をされる未来しか見えない。総督には私からこの話は執行部だけでとどめてもらうようお願いしよう。)


 (彼女はこんなに小さいのに一人でこの宿まで来たらしい。何か特殊な事情があるだろうに自由までは奪えない。だがしかし彼女の次の目的地までは護衛しよう。危ういというかなんというか人間をやっている人形のような。そんな雰囲気が露出しているというどこか適当さがあるように感じる。これは、死んでも生き返ったという事実に関わった行動心理状態なのかもしれない。やはり彼女は自身を理解しているのだ。それが無意識にしろ意識的にしろ。彼女は小さいので色々教えなければならないだろう。護衛中は隔離期間だ。)


_________________________________________________


 ミリアは部屋で明日の準備を始めた。現在時刻は20時半である。ミリアは就寝時刻にこだわりはないが、出来れば22時には眠りたいという価値観の下に今まで生きてきたといえなくもないような気がする。そんなわけで時間的余裕があるので、明日の出立に際する事前の行動シミュレーションや言動シミュレーション、そして持ち物の点検・確認を行っているのである。


 鞄は肩から提げるタイプで割と大きな容量を誇っている。この鞄に無限収納や状態保存なんてものは備わっていない。無粋だから。数着の衣類と保存食、便利な道具がいくつか入っている。まあ次の街まではもつだろう。大体2日位かかるだろうか。先程シャルヴィスに次の目的地まで護衛すると言われたが断れずに承諾してしまった。たしかに自分は危うい立ち回りをしていたのだろう。反省。


 とにかくシャルヴィスが護衛するとなればその部下もついてくるだろうし、10人前後だったから荷馬車とかもあるかもしれない。そうだとしたら1日で着くかな。宿が取れたら洗濯と買い出しをしなければな。その場で特に用事なんかを思いつかなければ滞在期間は1日になりそうだ。そういえば騒ぎの起きているという街は次に行く街の次の街だし何か情報が得られるかもしれない。そういえば、世話になった冒険者の二人にもお礼とかしなければ。今日宿に着いた者は大体明日の同じタイミングで宿を発つはずだ。誰も貴族と同じ空間に長居して、何らかのトラブルに巻き込まれたくはなかろう。とりあえず森を抜けて次の街までは一緒の道程になりそうだ。そこで改めてお礼を言ってお別れということになるだろう。


 明日の準備を済ませた良い子は後は寝るだけ!おやすみなさい。




 朝6時、ミリアは起床した。別に6時ちょうどに目が覚めたわけではないと言っておく。手早く支度を整えて、朝食をとるために食堂へと向かった。


 「おいおい、廊下まで良い匂いが届いちゃっているじゃあないか」

 「これはコックさん張り切りすぎじゃないですかねぇ」

 「くくく、朝食に期待が高まるぜ」


 と、同じく朝食に向かう人たちが口々に話す。たしかに朝にふさわしい、ほんのりふんわりと温かみのある香ばしいというかなんだか食欲を駆り立てるような、なんか良い匂いがする!急げ!


 とは言いつつ食堂の席には十分収まりそうな人数しかまだ起きていないようで、急いで何かするほどでもなかった。と一瞬思ったが昨日できた床の傷を直すの忘れてた。のでカウンターには並ばず昨日の席周辺へと向かう。


 傷は残っていたが、血とか肉片が無いからか、床の色的になのか、あまり目立ってはいないようだ。幸い近辺の席にはまだ誰も居ないので、早急に直すことにする。とはいえやはり白髪か黒瞳が目立つのか、好奇心的な視線が昨日から頭部に寄せられることがあり、今もちらほら知的探求者が見受けられる。多少目立つのは森の中では仕方ないだろうと思っていたが、ここは大分開けた場所だというのに作用していないようだ。というか段々弱まっている気がする。少しの焦燥感を抱くが、誰かが躓く前に直してしまおう。


 ミリアはなるべく目立たないように、カウンターへ歩き出す時に傷を踏んで隠して直した。まるで魔法のように傷はきれいさっぱり無くなっており、その変化に気付いた者はいないようだ。これで誰も躓かないぞぉ。


 さて朝食は何にしようか。朝カレーなんて言葉もあるが、せっかくなら色んな味を楽しみたい。定食にしようかな。野菜、肉、魚。む、デザートもつくのか。食事に関してはサービスが大変よろしいようで何より。お、ハンバーグとオムライスとエビフライと申し分程度のサラダがちょうどいいバランスで盛り付けられたスペシャルなセットがあるのか。なんか旗も乗ってるしこれにしよう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ