64話 アリス髪結んだ
現在時刻はお昼前。そろそろ昼食の時間だ。それにしてもこの国はなんだか気温が高い気がする。アリスに聞いてみる。
「季節が夏なのよ。あっちの大陸は気候の変動があまりなかったけれど、こっちは少しあるの」
そういえばリスカことリンネ・フリージアもプールという言葉を口に出していた。夏か。少しわくわくする。
「そろそろお昼だし、どこかに食べに行きましょうか。この辺の案内もしてあげる」
「早速助けて欲しい」
「え!?どうしたの!?核でも降ってくるの!?それとも巨大隕石!?」
「外に出る服が、無いの」
「服!?え、服?・・・・・・服ぅ?」
「ここの人で私みたいな恰好の人いない。目立つ」
「ま、まあそれはそうだけど。そうでしょうけども」
「アリス助けて」
「こんなの助ける内に入らないわよ!私にできるって言うからそんなに難しいことじゃないと思っていたけどまさか!そんなのいくらでもどうにかしてあげるわよ!」
「ありがとうアリス」
「まったく。そういえばあなたのその恰好は冒険者?あなた冒険者になっていたのね。どう?楽しかったりする?」
「うん。冒険者になって直ぐにお友達も出来たよ」
「ふぅん。そう。友達が他にも。へぇ。よかったわね」
「うん!」
勢いのいい返事をしておく。
「はあ。まあいいわ。えっと服ね。とりあえず私が着なくなった服。着れそうなのは中学の制服くらいかな」
「私16だよ?」
「高校のなんてぶかぶかすぎるでしょ。中学のだって袖余りそうなのに」
仕方がない。目立たないなら文句は言うまい。
「あったわ。はいこれ着て。着方わかる?」
私は冒険者装備を外して鞄にしまう。入ると同時に光で飲み込んでいるが。
ブレザーやらスカートやらニーソックスやらを着る。アリスの言う通り袖が余ったが肩からずり落ちるほどの体格差ではない。
「髪が長いわね。結んであげるわ」
アリスが自分の髪の長さを棚に上げて言った。
「ほら後ろ向きなさい」
私は従う。
「そういえばアリスって本当の名前?」
「え、ああ。コードネームかどうかってこと?本名でありコードネームでもあるわ。アリス・アメリアっていいます。そういうミリアはミリアなの?」
「ミリアだよ。そういえばアリスって何歳?」
「そういえば私は18歳。ミリアは本当に16歳?」
「本当」
「こんなに小さいのに?」
「そう」
「ふーん。はい出来た。それじゃ行きましょうか」
ポニーテールにしてもらった。似合っているかどうかはわからない。
「アリスも髪長いけど」
「い、嫌。ミリアまた意地悪する」
「でも髪長いよ?」
「わ、私自分で出来るから!そんなに気になるなら自分で結ぶから!その手仕舞って!」
残念だ。ひらひらしてるから触りたかったのに。アリスは鏡を見て自分で髪を結んでいる。ちらちらと鏡越しに私を見ている。後ろから触られるのがトラウマになったのかもしれない。かわいそうに。
外に出ると、気温が高い。太陽が少しだけ近い気がする。空が青い。雲が白い。ジリジリと熱を帯びた地面はなるほど夏だ。
「やっぱりちょっと熱いわね。制服脱ぐ?」
「大丈夫。私、特殊なので」
「そうなんだ。便利ね」
そんな会話をしながら街に繰り出した。アリスと私はポニーテールがお揃いで姉妹みたいだ。




