62話 アリスまだ泣いてた
「この子がミリア!?ってことは一瞬で万能地獄からここまで飛んできたのがこの子!?」
「うおーマジか!てか、ボス帰ったん?ちゃんと猫耳園児に着替えたかな?」
「あたしたちがミリアちゃんとクリアスターのお見合いを見てる間に帰ったみたいね。それとあんたのコスプレ衣装ならそこのゴミ箱」
「ホワァイッ!?なんてことだちくしょー!街中で写真撮られてSNSで拡散されるのが見たかったのにッ」
「あんた最低。ねっミリアちゃん、あたしともお話してくれる?」
「はい」
私は了承する。クリアスターとお話していたら周りを囲まれていた。男2人、女1人。少し離れた所に男1人。
「ミリアちゃんはぁ、ボスとどういう関係なんだぁ?ん?答えてくれないと手首切っちゃうかもなぁ。あっ、切るのは勿論私のだから安心してね」
そう脅しをかけてくる女性部下。その両手首は包帯でぐるぐる巻きだ。怖い。
「アリスとはお友達」
「へ、へえ、呼び捨てする仲なんだ。ふぅん。お友達、そっか。じゃ、じゃああたしの方が上だから、お友達よりも上司と部下の方が結婚に近いんだからね!だってほとんど毎日一緒だもん!同棲だもん!ふぅ。あたしともお友達になってくれる?」
「え、はい」
「わーい、やったー!後でプール行きましょう!勿論女だけで。あっそういえば私のコードネームはリスカだよ。本名はリンネ・フリージア。お友達だから教えてあげる!よろしくね!」
「おい、俺お前と友達じゃねえけどお前の本名知っちゃったんだが」
そう言って離れた所にいた男がこちらに来た。
「あっ。お友達じゃなかったんだ。もう2年くらい一緒にいるからてっきり。ご、ごめんね?知らない女の本名なんて聞きたくなかったよね。死んだ方がいいよね。て、手首切ろうか?」
「いやいやいや大親友!友達じゃなくて大親友だって言いたかったんだなー俺!!しょうがないから俺も本名言っちゃおーかなー!まあ俺の本名はコードネーム通りカナトっていうんだけどぉ!そうかぁ、お前はリンネっていうのかぁ!素敵なお名前ですね!」
「だ、大親友!そっかぁ。あたしたち大親友だったのかぁ!じゃあさじゃあさ!今日からあたしの家で暮らしなよ!カナト君いつも宿で寝泊まりしてるんでしょ?大親友だったら家くらい貸すよぉ!」
「え、いやいやダメだろ!お前一人暮らしだろ?いや一人暮らしじゃなければ良いってことじゃないんだが。男が入ったらまずいだろ」
「えっ、断るの?大親友の優しさ拒否るの?へー、手首痒いなー。うん、痒い痒い。イライラするなー。切り落としちゃおっかなー。切り、落とし、ちゃおっ、かなー!!!!」
「わああぁ!!わかったわかった!!断ったりしないしない!!喜んで住みます!!いやてか逆に住まわせてくんね!?なんてったって俺たち大親友だもんんああああちくしょー!!」
「わーい!おはようからおやすみまで面倒みてあげるね!」
リスカとカナトの本名が割れたところで皆で自己紹介することになった。
「俺はシガレット。本名は言わない。よろしく、ミリア」
お菓子を咥えたおじさんだ。黒い帽子に黒い服。殺し屋という言葉が似合う。気がする。
「俺はシャリテ。本名は無い。よろしく。猫耳つけてもらっていい?」
仮面を付けた男だ。服装は全身真っ白コーデだ。猫耳はつけるものでは無く生やすものだ。ちょっと頑張れば生やせるが、やれば話が進まなそうだ。
「またの機会に」
「私がクリアスター。あっちがリスカ。あとここにいないけどビジターというのがいるよ。あとカナト。それとご存知アリスは帰りましたが」
「私アリスとお話しに来たのに」
「そうなんですか。そうですね。ミリアちゃんアリスの家に行ってきてくれますか?私たちが行ったところで反応しないでしょうし。はいこれが地図です。ここを出てすぐ近くのマンションですよ」
「わかった。行ってきます」
「はい行ってらっしゃい」
泣きながら帰ってしまったアリスに会いに行こう。エレベーターという昇降機があったので乗ろうと思ったが、認証が必要らしかった。仕方がないので光にくるまる。
「き、消えた」
「もしかして、幽霊?」
「セキュリティに問題があったわけじゃないみたい」
ふぁっと開かれると玄関の前だ。インターホンという呼び鈴を鳴らす。
少しして声が聞こえる。
「どなた、ですか?ぐすっ」
まだ泣いているようだ。
「ミリアです」
「みりあ?みりあはいじわるだからいれてあげません。ぐすん」
「ごめんなさい」
「あやまってもだめだもん。ぐすん。またいじわる、するんだもん。ぐすっ」
「もうしないよ?」
「ほんとう?」
「うん」
「うそついたら、おこるよ?ぐすん」
「うん」
「じゃあ、いれてあげる」
ガチャリと扉が開く音がした。
「はいっていいよ」
お邪魔します。私は扉を開けて部屋の中に入った。




