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観測不能の侵略者  作者: 九月
第二章 海から砂へ

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60/125

60話 わたしミリアあなたのうしろにいるの

 お城を案内することになった。


 「ここは庭。白巻(ホワイトロール)たちを遊ばせてあげて。花壇には色々植えてみた」


 「ここは玄関。ここはリビング。キッチン。お風呂。空き部屋。空き部屋。空き部屋」


 「螺旋階段。寝室。空き部屋。空き部屋。空き部屋。空き部屋」


 案内した。


 「ミリア、ベッドは無いの?」


 「白巻たちで寝てる」


 「私も寝ていい?」


 「うん」


 「私はお城の管理をすればいいの?」


 「お願い」


 「わかった。お姉ちゃんに任せて。ぎゅ」


 ミラが私に抱き着いてきた。身長が同じなのでなんだか丁度いい気もしないでもない。思わず抱き返してしまいそうになったが耐えた。




 その後、私とミラはお外で遊んだ。私に出来ることはミラにも出来るようで、二人でそこら中を平らにしてはまたボコボコに変動させたりした。逆にミラに出来て、私に出来ないこともあった。それは魔法である。ミラは魔法が使えたし、精霊魔法も行使することが可能だった。私は精霊魔法なら使えるかもしれないが、魔法は使えない。


 「なんで魔法使えるの?」


 「お姉ちゃんだからだよ」


 ミラはそう言って誤魔化した。いや本当にそういう風に思って発言しているのかもしれない。だとしたら大物だ。まあ恐らく鏡の中から出てきたのだから何でもありなのだろう。難しく考えずに柔軟な発想をもってして考えるとそんなところだ。もしかしたらミラが妖精なだけかもしれないけれど。


 遊んだ後はお城に帰って寝る。


 「ミリアおやすみ。ちゅ」


 ミラが私の頬に軽く口づけして、白巻たちに埋もれていく。面白い光景だなと思いながら私も沈んでいく。やがて全てがもこもこに包まれる。




 そんな生活をひと月ほど送った。ミラは暴れるよりも、服や料理などの文化に興味を持ったようで最近は創作に勤しんでいる。素敵な趣味で大変よろしい。そのまますくすく育ってくれ。


 さてそろそろ旅に出ようかな。次の目的地はこのひと月で決めてある。アリスのところだ。やはりなんとなく気になる。特にすることも無いし、古い問題から解決していこう。


 今は砂漠の影響で電波が途切れているがこの琥珀に埋められている発信機はアリスの居所の手がかりだ。逆探知するには砂漠から出なければならないな。




 「じゃあ行ってくる」


 「行ってらっしゃいミリア。ぎゅ」


 ミラは相変わらずスキンシップが過剰だ。だが不快感はないので好きにさせている。止めようとしても止められないだろうし。


 まず砂漠を出る。ひと月前に砂漠に入った境界の所までは駆けて一瞬。移動方法は他にもあるが、距離による。スッと移動して砂漠を出てきた。あの港町にレイニーたちはまだいるのだろうか。多分いないだろう。そうこう考えていると、琥珀から電波が飛んだ。それを人工衛星が拾い、さらにそれを受信しているのは。


 「見つけた」


 ミリアは己を真白の光で包んだ。そして光が開かれてミリアが出てくると、そこは高層ビルの屋上のようだった。どういう原理かは知らないが、いや原理など無いのかもしれないが、ミリアはとんでもない距離を一瞬で移動した。


 屋上から辺りを見回すと、同じように背の高い建物が沢山建っていた。そのどれもがどこか未来的なデザインで面白い。下を覗いてみると整備された道路に自動車と呼ばれる乗り物が沢山走っていた。私は大陸間での文明の大きな隔たりに驚いた。どうやらこの大陸の国々は外の大陸とは殆ど交流しないらしい。もし戦争になったら絶対勝つと思う。まあこれ以上の国もあるかもしれないし、能力(スキル)という不確定要素もあるからわからないけれど。


 下を見てもう一つ発見した。これは大きな発見だ。他種族がいる。どうやらこの国ではペットみたいな扱いらしく、首輪にリードを付けられて人間と歩いている。それらは全て獣人種のようだ。他の種族は見受けられない。後でもっとよく見に行こう。


 目的を忘れてはならない。アリスに会いに来たんだ。ところでアリスはもっと下にいるらしい。少し驚かせてやるか、恐らくもう私がここにいるということはアリスもわかっているだろう。困惑しているに違いない。再会のサプライズだ。目の前に現れて挨拶してやる。


 また白い光が包み込む。とはいえ不可視だ。それがビルの地下で開いて、ミリアが現れる。しかしアリスの後ろに現れてしまった。




 目の前で長い金色の髪が揺れる。この空間には数人の人間がいるらしく、さらには何やら事件があったらしく慌ただしくコンピューターやらパネルやらを操作している。多分私のことだろう。


 アリスは前のような黒衣ではなくて、かっこいいスーツを着ていた。そういえばアルノア教団はどうしたのだろう。まあいい取り敢えず挨拶を、しようと思ったが目の前で揺れる金色の髪を思わず撫でてしまった。なでり。


 「きゃあ!何っ!?」


 バッと振り返るアリスと目が合う。緑色の目だ。それにしてもミラのせいでスキンシップに慣れてしまったらしい。おのれ。

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