表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
観測不能の侵略者  作者: 九月
第二章 海から砂へ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/125

58話 ベッド不要のもこもこ

 その日、幾つかの国に衝撃が走った。それもそのはずで今まで観測不能であった砂漠、万能地獄(ヘルオール)が一瞬にして大人しくなったのだ。ついでにヘルオールを覆っていた分厚い雲も消えたのだ。砂のベールは剥がれ落ちて、その広大な砂漠の全容を各国の人工衛星が捉えていた。


 科学技術が進歩している国は主にはミリアのいる大陸から北西の方にある大陸に集中している。ミリアはアリスもその大陸の人間ではないだろうかと考えていた。その予想通り北西のとある国の高層ビルの地下空間で、アリスは衝撃を受けていた。ミリアに渡した発信機の電波が途切れたかと思ったら、数千km離れたヘルオールで電波が確認されたのだ。更には人工衛星がヘルオールを捉えているというのだから、その地下空間は大騒ぎになった。




 数分後、ヘルオールは何時ものように砂に覆われ始めた。やがて雲も集まりだす。そして雲によって視界が閉ざされようとしている時、どこかの人工衛星が雲の隙間から、砂漠に城が建っているのを確かに捉えた。これはその国では大々的なニュースとなってそれが大陸中に伝わり、砂漠に挑戦するという冒険家や研究家が続出することになるのだった。




 「ふう、こんなものかな」


 ローリスキーが手に付いた砂を払いながら言った。出来栄えは見事なもので、私の要望をしっかり踏んでいる。なるべく小さくまとめつつもお城らしさは損なわず、それでいてこの砂漠でも快適な機能美も備え、白巻(ホワイトロール)を飼えるような広大なスペース。屋内というのもかわいそうだし屋外に置いたら砂で死んでしまうので、一帯の砂を消して気流を整えた。これによって砂が飛んでくることはない。不便なのは水がないことであったが、地下に潜り水脈を繋げてきたので問題はない。家庭菜園を出来る位には整った環境である。


 「ありがとうローリスキー」


 「このくらい何でもないよ。貰ってきたものを一つ返せて良かった」


 「何もあげてないよ?」


 「いや、私が貰ったと思っている時点で貰ったことは確実なんだ。ミリア君にその気が無くてもね。だからまた欲しいものが出来たら呼んでくれ」


 「ローリスキーどこか行くの?」


 「ああ。今までは人間だったから概念世界に入れなかったけど今なら戻れるだろう?あっちにある私の家がどうなっているか心配でね。多分何かしら物が無くなっていると思うんだ。それらを取り返したり盗った奴をぶち殺、やっつけてやらなくてはいけないだろうから笛で呼ばれるまでは会えないと思う。まあミリア君なら私がいなくても大丈夫だろう。けれどもし何か大変なことがあったりしたら遠慮なく笛を吹いてくれたまえ。それでは」


 そう言ってローリスキーは朧げな黒になってやがて消えた。悪魔も色々大変なんだな。さて、白巻たちを出してあげるか。


 空間が揺らいでそれが過ぎた後には白巻たちがいた。久しぶりの外に歓喜しているようで各々気の抜けた鳴き声をあげる。相変わらず密集するともこもこが飽和している。


 温和で主に家畜として扱われる白巻であるが、稀に凶暴なモンスターへと()()することがある。モンスターには進化という概念があり、これはとても厄介なものだ。狩られる立場と狩る立場があったとしても狩られる側が何かしてはいけないなどという決まりは無いのだ。それを体現するかのようにモンスターは、身体的特徴や進化という概念で狩る側を脅かす。まあうちの白巻たちには関係のない話だけれども。


 流石に太陽光は浴びせてやれないが、かわいそうなのでたまに晴れにしてやろう。ここでしばらく過ごした後はまた何処かにお引越しするとしよう。今度はずっと晴れているようなところが良いな。


 私は久しぶりに白巻たちの上で眠ることにした。よじよじと登って真ん中の方へ這う。仰向けに身体を横たえると相変わらずとても良い寝心地だ。このまま寝室に運んでもらうことにした。ベッドもないしこのまま眠ろう。今日はここまで。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ