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観測不能の侵略者  作者: 九月
第二章 海から砂へ

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57話 ヘルオール 快晴

 「さて、ミリア君の目的地は砂漠と言っていたけれどまさか万能地獄(ヘルオール)じゃあないよね?」


 そのまさかだ。モンスターも寄り付かないという砂漠だ。ローリスキーなら耐えられるのではないだろうか。悪魔だし。


 「ヘルオールだよ」


 私はそう言った。ローリスキーに、私の計画というか何というのかまあそういったものを伝えるとしよう。


 「そうか。・・・可能、なのか?」


 ローリスキーが何やら悟ったような面持ちで訊ねてくる。


 「できるよ。これからあそこまで歩いて、着いたら一瞬だよ。ローリスキーは私が笛を吹いたら移動してこれるよね?」


 「あ、ああ。まあそれで移動出来るが。ミリア君、一瞬というのは?」


 「あそこまで歩いたら、わかる」


 私はそう言って歩き出す。ローリスキーもつられて歩き出す。


 歩く。進む。一歩一歩、段々と境界線が近づいてくる。あと、あと少し。あそこに踏み入ったら、私はヘルオールにたどり着く。少しだけ暴れられる。楽しみだ。思わず笑みがこぼれる。


 ローリスキーは砂漠地帯に近づいていくほどに異様な雰囲気を纏うミリアに驚きながらもついていった。悪魔が霞むような異常な気配をミリアが放っている。彼はその事実に何故だか目を輝かせていた。




 砂漠地帯に足を踏み入れた。もうちょっと我慢する。左足も地を踏む。全身が境界を越えたと判断。


 ヘルオールに到着した。今すぐ全てを滅茶苦茶にしたい破壊衝動に駆られるが、私は我慢が得意なのだ。まずは笛を吹いてローリスキーを呼ぶとしよう。




 ミリアが一瞬で消えた。何が起きたのかもわからない。まるで時間が止まったかのように私は動くことが出来ない。僅かな間、思考停止させられていると、笛がならされた。星の模型を取り出し、位置を確認するとヘルオールのど真ん中だ。信じがたいがミリアは本当に一瞬でヘルオールに移動したらしい。




 ローリスキーが手品みたいに湧いて出てきた。聞きたいことが山ほどあるというような顔だ。面倒だが力の一端を見せたのだ。仕方がない。殆ど答えられないだろうけどお話くらいは聞くとしよう。


 「ミリア君、あ」


 おっと忘れていた。今日、ヘルオールは快晴でなければならないんだ。私は思い出して手を空へ向ける。ゴオッという音と共に、激しく舞っていた砂が晴れ、空の雲も微塵も無くなった。ついでにヘルオールの地面が平らに均された。ふう。


 「なあに?ローリスキー」


 私は質問を促す。遮ってごめんね。


 「い、いや。君は、貴女は、女神という存在か?それとも」


 女神をモデルにした存在はいる。それは私ではないが。


 「空の上に何があるか知ってる?」


 「天使や女神だというのなら天国、天界?ふむ、違うというのなら宇宙空間だ。君は科学的だね」


 「そう宇宙。私は宇宙そのものだょ」


 ローリスキーは私の言葉の意味を飲み込めずにいるようだった。当然だろう。まあ理解が及ぼうと及ぶまいと私はどうでもいいけれど。


 「つ、つまり貴女が全てを産んだママなのか?その幼い姿でママ?最高かよオイ」


 「違うよ?」


 「なんだ違うのか。でもでも宇宙概念幼女でしょ?最高だろオイ」


 「私16だけど」


 「えっ?マジ?いやいや、年齢とか関係無いっしょ」


 ローリスキーがなんだかおかしな口調になった。壊れてしまった。


 「ねえ、欲しいものがあるの」


 「ゴホン。何が欲しいんだいミリア様」


 「様とか要らない。私偉くない。いつも通りにして」


 「わ、わかったよミリア君」


 「うん。それで私が欲しいのは家なんだけど。ここにお城建てられる?」


 「ふむ、作るのは苦手分野だけれど。そうだなミリア君も手伝ってくれるなら直ぐに出来そうだ。手伝ってくれるかい?」


 私は頷いた。もちろん。

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