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観測不能の侵略者  作者: 九月
第二章 海から砂へ

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54話 レイニーの変態

 ハッチが開く。まぶしさに目が眩む。顔を出して海岸をキョロキョロと見回していると、レイニーにお尻を押された。


 「後がつかえるわよ」


 レイニーが私の臀部を撫でながらそう言った。私は少しゾッとしながら潜水艦の上部に上がった。海水で濡れており滑りやすそうだ。


 誰も登ってきていない今のうちに、砂浜へと飛んだ。空は快晴で、辺りからは波の音と海鳥の鳴き声。靴が砂を踏む感触。さらさらとした砂が靴を飲み込むようだ。


 ザッザッと砂を蹴って遊んでいると、潜水艦から皆が出てきた。ジュドが船の側面に縄の梯子を降ろしてそれを皆が伝っていった。やがて砂浜に着地したレイニーが私に目を向けた。


 「ねえ、ミリアどうやって先に降りていたの?」


 「飛んで」


 「へえ、そういえばあなた冒険者だったっけ。すっかり忘れていたわ」


 なんだと。まあ冒険者らしいところを見せていないから仕方がないかもしれない。本当だったら海のモンスターをバッサバッサだったのだけれど。結局あの街でしたことと言えば散歩と食事と風景鑑賞くらいだったからな。




 「さて、これからの予定は船の中でも話した通り。すぐそこの街までは全員一緒で行きましょう。取り敢えず一泊してその後ミリアとローリスキーは南へ向かうのよね?」


 私は頷く。


 「よし。じゃあ行動開始」


 そう言ってレイニーはジュドと乗組員に何やら指示を出した。そして乗組員の一人が潜水艦に手を向けた。潜水艦が光に包まれて小さくなり、光は空へと登っていった。凄い能力だ。乗組員の人って凄かったんだ。後でお話聞こうかな。


 色々な準備を終えて、私たちは街へと向かう。ジリジリと太陽が暑い。ここの気候は北の大陸よりも少しばかり暑いみたいだ。


 やがて街に着いた。港町といった風情の街だ。私はここにきてやっと、港町を離れても船は港町に着くのだから海の幸はすぐに食べられるのだと言うことに思い当たった。向こうで食べられなかったものを食べられる。わーい。


 それなりに賑わっている街中をレイニーたちの後ろについて歩く。ここは向こうとは違い、男女比に偏りはなさそうである。変な風習なんかも無ければいいのだが。相変わらず私に視線が向くことはあるようだけれど。やはり髪の色と目の色が目を引くのだろうか。




 全員が泊まれる宿を見つけたころには夕方だった。人の出入りが多い港町とはいえなかなか大きな宿は見つからず、また、そこら中に珍しい物を取り扱う店が沢山あったものだから大分寄り道をした。その犯人は大抵ローリスキーだったのだが、私も「ふにゅらるど」を取り扱う店を発見してつい立ち寄ってしまった。ローリスキーやレイニー、ジュドは寄り道にも付き合ってくれたが、乗組員たちは荷物持ちみたいになっていて少々申し訳ない気持ちだ。


 早速お部屋に荷物を置く。レイニーと相部屋だ。少しばかりの恐怖心を覚えているのは、彼女がドアを閉めて後ろ手に鍵を閉めて、ご丁寧に舌なめずりをしたためである。マヨネーズを舐めたわけではあるまい。私はギギギと顔を逸らして街で買った物の整理を始めた。


 つい買ってしまったふにゅらるど第34シーズンのむにょみょるちょにす。触るとまるで砂粒が指先をぐるぐると飲み込んでいくような触感がした。えるも達は元気だろうか。砂漠に行った後で会いに行こうかな。けれども見つけられるだろうか。




 しばらく荷物整理を行っていると、レイニーが後ろから抱き着いてきた!座っている状態だ。私は一切の動きを止めて固まった。彼女の腕が私の腕の抵抗を抑えるように包み込む。そして、彼女が耳元で囁く。それは酷くいやらしく湿っていた。


 「ミリア。可愛いミリア。クンカクンカ。あぁ~良い匂い~。明日でお別れなんて嫌だわ。もっとこうしていたい。もっと先のこともしたいわ。舐めたい。可愛いわ。可愛いわ。足の裏、おへそ、腋。お尻も首も眼球も舐めたい。全身舐めまわしたいわ。いやらしい体。全身H少女だわ。変態っ!変態っ!ハァ、ハァ。このっ、お尻だしなさいっ!舐めたいわ。舐めたいわ。キスしたい。ファーストキスを最低に奪ってやりたい。唾液注ぎ込みたい。前歯なめなめぇ。ああ、まさぐりたいわ。服の中に潜りたいわ。服の中で平泳ぎしたい。下着欲しいわ。被りたいわ。ちょうだい!パンツ脱ぎなさいっ!私のもの!私のもの!えへ、えへ。一日中付き纏いたい。すれ違いざまに舐めたい。お腹の音聞かせて!あっ、首絞めたい。お腹殴りたい。手足折りたい。お顔殴りたい。素敵!素敵!お持ち帰り決定。永遠に一緒!永遠に一緒!」


 私はスッと立ち上がってレイニーに向き直る。目つきは冷淡に、見下すように、軽蔑するように。レイニーは私を見上げて、私の表情に青ざめた。口をパクパクさせて声を絞り出した。


 「あっ、ご、ごめんなさ」


 言い切る前に私はレイニーを押し倒した。きゃっ、という短い悲鳴をあげて床に倒れこむレイニー。私はレイニーに覆いかぶさって顔を近づける。彼女の目は曇り空のように濁っていた。


 「わ、私のものに、なってくれるの?」


 上気した顔でにへらと笑う彼女がそんなことを性懲りもなくのたまうので、私は彼女の口を手で塞いだ。すると手の平をベロベロと舐めてきたので思わず手を放して彼女の頬を叩いた。きょとんとした彼女の耳に口を近づけて、言う。


 「変態」


 「んにゃあぁぁあぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁ」


 レイニーは変な声をあげて、ビクンビクンと体を震わせて気を失った。ので、悪いモノを消しておいた。恐らくローリスキーの影響だろう。あの姿でも悪魔だから。後はベッドに寝かせておけば夢だったで片付くだろう。割ととんでもないことを口走っていたぞ。

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