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観測不能の侵略者  作者: 九月
第二章 海から砂へ

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44話 一緒に

 何故呼び出したのかと問われると見比べるためだと答えるのが正しいのだが、余計な諍いのもとになるかもしれないのでごまかそう。


 「海を見せてあげようと思って」


 この言い方では小さな子供の善意の押し付けだがまあいいだろう。


 「・・・ほう!海を見せる為に呼んでくれたのか。ありがとうミリア君素晴らしい景色だよ。うむ、海というのは良いものだ。・・・うん、何というかとても、雄大だ。波がこう、うーむ。と、ところでミリア君。何か欲しいものはないかね?私は君に貰ってばかりだ。何か返したいのだが」


 欲しいもの。自称大悪魔のおじさんローリスキーはそう聞いてくる。現在私には今すぐに欲しいものは無い。欲しいものはいつか自分で手に入れられるものだ。大悪魔の力を借りてまで欲しいものは無い。とはいえ、彼は私に何か返したいようだ。私が勝手に海を見せたというのにおかしな話だが。欲しいものは思いつかないし、これで思いつくまでさようならなんていうのは可愛そうだし。しばらく一緒に行動して欲しい、ということにしよう。


 「じゃあ、欲しいものが思いつくまで一緒にいて欲しい」


 また子供のような言い草だ。


 「ふむ。それは全然まったくもって問題は無いのだけれど、一緒っていうのはどの程度の範疇のことだろうか。距離的な意味?ミリア君の半径1.5メートル以内?それとも時間的な意味?おはようからおやすみまでと言わず就寝中も?いやまてよ、そうなると距離も時間も一緒なのでは?つまりミリア君が欲しいものを思いつくまでずーーーーーーーーーーーーーーーっと半径1.5メートルいや半径1メートル以内に存在していればいいということなのかな?もちろん壁とかで視認できなければそれは一緒とは言えないから常に一緒の部屋ということでいいのかな?あっ、それともおてて繋ぐってことかな?うーん、おじさん困っちゃうな」


 流石にそんなに一緒にいられると私も困る。何というか、落ち着かないのが目に見えている。それにもし温泉があったら彼は女湯に入ることになるので犯罪者になってしまうかもしれない。それにしても一緒という言葉にそんなに基準があるとは知らなかった。今後気を付けよう。


 「じゃあやっぱりいい」


 「おっと待ちたまえ。同伴するということだね。うむ勿論わかっていたとも。同伴して欲しいということだろう?わかっていたよ。同伴ということならば、何も問題は起こらない。ミリア君、それでいいかな」


 「うん、ありがとう」


 そんなこんなでローリスキーが同伴することになった。一応レイニーに確認しておくとしよう。


 「レイニー、ローリスキーさんも連れて行っても良い?」


 「いいけど、その人危ない人じゃない?さっきの言動を聞く限り危ないわよ。ミリアの知り合いだっていうし、常識も一応ありそうだから大丈夫だと思うけど。何かされたりしたらすぐに言ってね。ジュドもいいわよね?」


 「はい。部屋も空いています。問題ないかと」


 「ああ、すまないね。突然船に乗ることになって。それにしてもこの潜水艦、それ程大きくは無いようだが部屋が空いているというのは能力(スキル)で空間を拡張でもしているのかね?」


 「はい。この潜水艦にはそのような能力が施されています。ローリスキー殿は能力の技術的運用に興味がおありですか?」


 「うん?いや、ただちょっと疑問に思っただけさ。気にしなくても良い」




 私たちはようやく船に乗り込んだ。中は思っていたよりも広く清潔だった。パイプとか圧力の何かとか計器とかそういったものは見受けられず、廊下にドアが並んでいて宿屋みたいだ。空間の拡張というよりは、空間の入れ替えをしている様だった。潜水艦は移動する座標であるが、そういう計算は必要なかったのだろうか。もしこの潜水艦が壊れてしまったら。入れ替えた空間に水が入るのかそれとも保護された空間で、空間そのものを質量として水がうごくのか。まあそんなことはどうでもいい。問題は部屋の窓から見える景色は海の中なのか否かである。

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