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観測不能の侵略者  作者: 九月
第二章 海から砂へ

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43話 現れる

 レイニーはどうやら偉い人だったらしい。潜水艦から降りてきた男はレイニーに対して敬礼をしている。それに対してレイニーはため息をつく。


 「そういうの要らないって言ったでしょ。お父様もお母様もいないんだから。面倒だし」


 「はっ。しかしレイニー様の地位を疑われてはなりませんので」


 そう言って男はちらりと私を見た。そんな様子にレイニーはまたため息をつく。


 「ジュド艦長。連絡したでしょう。彼女は私の友人だと。無礼は許しませんよ」


 そう言ってレイニーはじろっと、ジュドという名前らしい艦長らしい男をにらむ。


 「はっ。了解です。ご無礼をお許し下さい、ミリア殿」


 そう言ってジュド艦長は私に頭を下げて非礼を詫びる。私はなんとなくその様子をぽかーんとした様子で眺めてみた。口も半開きだ。


 「?ミリア殿でよろしかったですよね?レイニー様」


 「え、ええ。どうしたのミリア。もしかして怖がらせちゃった?ご、ごめんね?」


 私はそんな反応に満足して、ううんと首を横に振る。


 「艦長さんが私の知り合いに似てただけ」


 ジュド艦長と自称大悪魔のおじさんは背格好が同じ感じで、事実私には判別が難しかった。


 「へー。ジュドに似た人なんているんだ」


 ちょっと呼び出してみようか。暇だと言っていたし。海を見せてあげよう。


 「ちょっと呼んでみる」


 「え?」


 私は鞄の大切なものポケットから笛を取り出す。そしてなるべく静かに柔らかく、笛を吹いた。


 「やあ。とうとう欲しいものが出来たのかい?それとも彼らをk」


 殺せばいいのか、と言いそうだった口をふさぐ。背伸びしなければ届かない。いつの間にか側にいた自称大悪魔のおじさんが目を丸くする。息を止めているのか手にあたたかな不快感は無い。


 「み、ミリア?この人急に現れたけどどうなってるの?」


 正直に自称大悪魔のおじさんといっても、今の状況なら逆に信じてしまうかもしれない。それよりも名前は何というのだろう。私も名乗った記憶が無い。レイニーへの返事はちょっと待ってもらって。


 「私の名前はミリア。おじさんの名前は?」


 「おお。そういえば名乗っていなかったね。それにしてもミリアか。君に似合う良い名前だ。響きも良い。いつまでも口の中で転がしていたいくらいだ。おっと、私の名前だったね。そうだな、何でもいいが、ローリスキーとでも名乗ろう」


 なんかイメージと違う名前だが、何でもいいと言っていたので恐らくは偽名だろう。


 「レイニー、このおじさんはローリスキーさん」


 「あのねミリア。名前が知りたかったんじゃないのよ。どうやって急に現れたのかが知りたいの。あ、もしかしてミリアの能力(スキル)だったりする?だとしたらそんなに追及したら悪いか」


 勝手に納得してくれたようで何より。私はそんな感じだとレイニーに伝える。


 「君はミリアくんのご友人かな?見たところこれは潜水艦のようだが、これから海の底にでも行くのかい?おっと、そういえばミリア君。どうして私を呼び出したんだい?なんでも言ってごらん。きっと叶えてあげよう。私に出来ることならね」


 ジュド艦長と見比べる為に呼んだのだけれどよく見たら同じなのは背の高さと黒髪であることぐらいだった。

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