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観測不能の侵略者  作者: 九月
第二章 海から砂へ

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42話 海は広いし大きい

 時間は、私が一歩一歩歩く間にずっと流れていて。海も、波が寄せては引いての繰り返し。私もただぐるぐると歩くだけ。そんな閉じた世界。




 しばらくしてレイニーが海岸に来た。そろそろ船が来るのだろうか。


 「凄い足跡。これ全部ミリアの?不思議な子ね」


 不思議な子程度のカテゴリーならばいいだろう。これが異常だと言われたら私はどうしようもなくなる。境界線があるのだ。人間に受け入れられるか受け入れられないかの。きっと人間は多すぎるから、同じ人間なのにまるで違うものみたいに扱うんだ。王様も奴隷も人間なのに。人間は人間である以上人間が陥りうる状況全てに通じる可能性を持っているはずなのに。


 でも人間は一人一人違うものだ。だからそんな可能性なんてなくて、初めから決まった人生でしか生きられないのだろうか。少し思考の展開がずれている。考えることも難しい。全ては机上の空論だ。どうでもいい。


 レイニーと一緒に歩きながら船を待つ。海は太陽光を反射してきらきらと輝いている。ふと、海に影があるのを見た。しかし開けた空には何もない。影は段々とこちらへと近づいてその大きさを増す。これは海の中の何かの影だ。


 海が膨らんだ。ザバーッと金属の塊が浮上する。破られた海の欠片たちはバシャーッと、何事も無かったように海へ帰る。登場はそれほど大きな音を伴っていたわけでもなく、きっと波の音に隠れただろう。つまり、人気のいないこの海岸に突如現れた船には誰も気づいてはいないだろうということだ。そしてこの船は潜水艦だ。星は見えなそうだ。


 「驚いたかしら。私の国では船が海に潜れるのよ。潜水艦っていうの」


 知っている。確かにこの辺りの国では潜水艦は無いか。レイニーの国とはどのあたりなのだろう。そういえばレイニーは視察でこの街に来たと言っていたし外交のお仕事をしているのかもしれない。


 「あれ?反応無しか。驚くと思ったのに」


 「驚いた」


 私は驚いたことにしておいた。虚偽の申告だ。嘘には相手を貶めるための嘘や意味のない嘘、優しい嘘などというものもある。私の嘘はどれだろう。


 「嘘だ~。全然驚いてないじゃない」


 嘘だとわかる嘘か。つまり意味のない嘘。意味のない嘘にも二つ種類がある。嘘をつく必要が無いのにつく嘘と、嘘をついても嘘だとわかられるような嘘。嘘はいつから存在しているものなのか。人間は嘘を誰かに習って使えるようになるのかそれとも脳で嘘という仕組みを考えだして使えるようになるのか。不明である。




 潜水艦の上部のハッチが開いて一人の男が出てくる。彼は砂浜に着地してこちらへと向かってくる。


 「大変お待たせしました、レイニー様」

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