28話 ふにゅらるど
けたいよ。爪の垢煎じて飲みたいよ。ほっぺたとほっぺたくっつけたいよ。じっと見つめあいたいよ。お尻とお尻合わせたいよ。後ろから抱き着いてプロポーズしたいよ。二の腕ふるわせたいよ。髪の毛からクローンつくりたいよ。お腹に宿りたいよ。たんぱく質として体内に吸収されたいよ。胃の中の食べ物を食べたいよ。食道からこんにちはって言いたいよ。唾液で泳ぎたいよ。血液さらさらにしてあげたいよ。腸の中綺麗にしてあげたいよ。ああ、何処かに監禁したいよ。目隠しして料理食べさせたいよ。唇に触りたいよ。喉に指突っ込みたいよ。足の指しゃぶりt、あれなんか寒いぞ?)
気が付くと、その男は全く見覚えのない雪山にいた。男の周りにはそこに住んでいるのであろう人間が数名おり、男のことを訝しんで警戒している。ミリアが男を国外に飛ばしたのであろうが、言語は世界共通であるために、突然現れた男が食道からこんにちはとか言ってそれがちょっとしたニュースになるのは別の話である。
私は花火に連れられ武器屋に来ていた。ここで何を買うかといえば短剣かナイフかだろう。モンスターの討伐に武器を使うわけでもないので、解体とか採集とか調理に使えるような刃物を買っておくのが良いだろう。そして見た目で冒険者として認められなければ面倒なので、それらしく見えるような軽装を上下で買えば良いのではないだろうか。ともあれ、それほど必要な物が多くなさそうなのであさむぎに払う予定の生活費位は残りそうだ。
武器屋に並んでいる様々な装備を花火が楽しそうに見ている。武器屋においてある武器は確かに様々あるが、杖は無い。精霊魔法を使える人間が滅多にいないためだ。精霊自体はそこら中におり、精霊魔法を使える環境はあるのだが、習得できる者がとても少ない。現存している精霊魔法に関する情報が少ないという問題もあるが、理解し使えるまでになる才能が少ないという問題もある。そのために杖というのも、どのような仕組みで精霊の力を集めやすくするのかといった知識を持っている者自体が稀有なために現存する杖の殆どが特注品であり、例え魔法使いであっても杖を持っていないという人間も割合としては過半数だ。故に魔法使いの間では、杖持ちと杖無しといった差別があり、魔法の腕前に関わらず杖無しは見下される対象なのだという。杖持ちの殆どは例に漏れず貴族などの金持ちであるので、差別が起こりやすかったのも頷けるものだ。
私は花火と相談しながらとりあえずナイフを買うことにした。別段特別な力など何も宿っていないごく平均的なナイフを、腰につけられる鞘と共に購入しようとすると、花火に止められて、花火に代金を支払われた。冒険者になったお祝いだそうだ。次に見に行く防具も買ってくれるそうだ。やはりパーティーリーダーだけあって、色々と親身になって寄り添ってくれる。花火はあの集団でもありがたい存在であることは間違いないだろう。そんなわけでまずはなんの変哲もないナイフを手に入れた。
次にやってきた防具屋ではなるべく軽そうな、そして如何にも冒険者という風な装備を買ってもらった。花火としてはもう少し丈夫そうなものを与えたかったようだが、私が気に入ったのだと言うと納得してくれた。冒険者になったばかりということもあり、何でも与えてしまっては一人で何もできなくなったり成長しなくなるという考えもあったのかもしれない。そんなわけで軽装上下を手に入れた。
その後は花火のおすすめの店や、おいしい飲食店を紹介してもらいながら他愛のない話をして時間を過ごした。大分花火と打ち解けることが出来たのではないだろうか。最後にお礼を言って別れ、案内役はえるもに引き継がれた。
「どこいこうか~。う~ん、そうだな~。おいしいものたべる?」
おいしいもの。それはデザートか何かだろうか。私は別においしいものにそれ程興味があるわけでもないが、甘いものに目がないというわけでもないが、折角どれだけでも食べられるのだから食べてやっても良いかもしれないな。うん。はやくおいしいものたべたい。
そうしてえるもに連れられてやってきたのはなんかおしゃれな飲食店でその飲食店は甘未処であった。万歳。そこでえるもと私はパフェやらケーキやらに舌鼓を打ちつつ、親睦を深めるのだった。
「ミーちゃん、ふにゅらるどってしってる~?」
「ううん、知らない」
「あのね、なんかさわりごこちをたのしむこけいぶつのしりーずなんだけどね、いろいろしゅるいがあるんだけどね、おもしろくてはまってるんだ~」
「へえ、どれ位種類があるの?」
「えっとね、いまもふえつづけててだいたいにまんななひゃくろくしゅるいかな~。あ、いまにまんななひゃくはちしゅるいになった!にしゅるいもふえたよ~」
「そんなにあるのにぜんぶ触感が違うの?」
「そうだよ~。ほら、これがふにゅらるどのだいごしーずんのにょげよん。そしてこれがだいななしーずんのぎょにゃんにゃ。で、これがだいじゅうにしーずんのもにょとん。こっちはだいじゅうごしーずんのぴゃりゅどゅねる。これはだいにじゅうさんしーずんのぎゃれじょす。それでこれはだいにじゅうよんしーずんのにょんとぎゅれくさ」




