27話 依頼終わり
バナナの木から落下させられたゴランノス4体は、一様にその顔面にバナナを塗りたくっていた。そこからそれぞれが怒り出してわけもわからずに暴れだす。そこに摂理の呪いが再び投じられた。
「止まれ」
その言葉がゴランノスの耳に届いていようがいまいが呪いは発動する。今、暴れていた4体の動きを止めているのは、摂理の言葉を加えられた世界だ。
使うたびには代償の伴わない呪いではあるが、制限もいくつかあり、呪いの言葉は3音までしか発声できない。それでも大抵の現象は起こせてしまうが、ないよりはましな枷である。
動きの止まったゴランノスは全てが止まっていた。心臓も脳も、その身にかかる時間の経過も。そんな風化することのない彫刻となったものたちに摂理は近づいていく。そしてその手を一体ずつに触れるのであった。
出来上がったものは、頭部が無く、血抜きのされた死体4つである。〈情報感染〉によって先程討伐した一体と全く同じものが4つも造られた。後はこれを違いがでるように解体すればいいのだという。しかし恐ろしい能力ではないか。摂理が世界の敵だとしても誰も彼女に勝てないのではないだろうか。完全に不意をつくならば勝機は見込めるだろうが、正面切って対峙したなら敗色濃厚だろう。摂理が誰かに狙われているという事実が現段階で存在しているのかは不明であるが、そんな時が来たならパーティーメンバーのよしみで味方になるとするか。
死体をばらして袋に詰め込み、来た道を戻る。袋は5つ。1人1つの袋を引きずってギルド横の納品場所に戻った。ここで死体とはおさらばして、ギルドで依頼完了の報告やら報酬の受け取りやらを終える。報酬の全額をミリアに与えるという暴挙を丁重に断って、5等分に妥協させた。本来何もしていない私が報酬を貰うなど甚だおかしなことではあるものの、花火が授業料だと言って渡してきた。授業料はこちらが払うものなのだが、花火が自身ありげに言うので何も言わないことにしたのだけれど、あさむぎが間違いを指摘したことで花火が赤面した顔を両手で多いしゃがみこんでしまった。皆でなんとかフォローをして、やっと昼食にありつける次第となった。
街はお昼時でそこそこ賑わっている。警備兵もちらほらと見かけるが、まだ犯人は見つかっていないのだろうか。最近は犯行が行われていないようで騒ぎも聞かないので、どこかへ逃げたか或いは次の犯行の準備をしているのか。まあそんなことはどうでもよくて私たちは適当な飲食店へと入った。
パンとコーンポタージュ。私はそのようなものを頼み、待つ間の会話に興じる。
「ねえミリア。この後のことなのだけどね、5人で行動するのもいいけど1人ずつミリアを案内して親睦を深めようと思うの。順番は私、えるも、摂理、あさむぎね。一人2時間までで色々案内してあげるわ。どうかしら。時間はあるのよね」
そんな提案に対して別段文句を抱くこともなく受け入れたのは私が今あるがままの心であろうという努力をしているためであった。とはいえあるがままの心というものについて考えてしまって上手くいかなかったが。私の肯定に、皆がどこを案内しようかと相談している。やがて食事が運ばれてきた。
温かいコーンポタージュにパンを入れたら溶けた。とんでもない酸性なのかと思い、これを作った人間を殺そうかと思ったが、どうやらそういう仕様であるらしかった。危ない危ない。しかし溶けるわけがわからずに3回もおかわりしてしまった。昼食中の話題は昨日の祭についてだった。極東とはどこがどう違っただのこんな物があっただのと話していた。私は異文化の共通項に対する見解・所見を興味ありげに聞いていた。
食事が終わると街案内の時間がやってきた。エルドレはまあまあ広い街だということは昨日の練り歩きで把握しているが、どの店が良いだとかそういうのはまるでわからないものなので、案内によってそれが明らかになるというのは助かる。
「というわけで最初は私が案内するわ。そうね服はあさむぎに任せて装備品を買いましょう。それらしくしておかないと攫われちゃうわよ?ミリアは可愛いし綺麗だから貴族に間違われたりしてね。面倒なのは嫌いでしょう?」
この花火、意外と私をわかっているようだ。侮っていたかもしれないな。確かに私は面倒事が嫌いである。しかしながら現在、花火の後方の物陰からこちらを覗いてぶつぶつ言っている面倒事は、その発言内容から考えても処分しなければなるまい。
(花火ちゃん可愛いよ。オレンジな髪からはきっと良い匂いがするんだ。ああ、かわいいあんよしゃぶりたいよ。急に覆いかぶさって低い声でこんにちはって言いたいよ。いつも強気な花火ちゃんを怯えさせて脅迫しちゃいたいよ。どこかに攫いたいよ。すべすべのお腹に頬擦りしたいよ。柔らかい太腿に顔埋めたいよ。おててモミモミしたいよ。おへその匂い嗅ぎたいよ。腋ずっと見ていたいよ。首舐めまわしたいよ。肩揉みしてあげたいよ。背骨指でなぞりたいよ。耳に息吹きか




