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観測不能の侵略者  作者: 九月
第一章 巷で噂の変質者

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26話 呪いの代償

 死骸となったゴランノスは、あさむぎによって解体されていた。モンスターの体はその殆ど全てが何らかの素材になりえるものであり、尽きることの無いモンスターは素材の元である。それでも一般人には倒せないモンスターが殆どな為に依頼が出されたり、買取がなされるものなのだ。


 因みにモンスターを倒したという証拠としてモンスターの一部等は実のところ不要で、ギルドカードにそういった情報が記録されているそうだ。ギルド側はカードのその機能には干渉できるらしく、それによって依頼の達成を判断することもあるようだ。部位だけの提出ならば、どこかで買ったものの可能性もあって、脅威の排除が済まされていないなどということも起こりえてしまい、大変危険なためだそうだ。カードの情報は整理されていて、見れば一目でわかるようになっているそうだ。


 バラバラになったゴランノスは木にめり込んだ頭部以外を、丈夫そうな袋に詰められて引きずられていた。パーティーメンバーはそのまま奥地へと向かい、さらにゴランノスを討伐することになった。花火たちに色々と教わりながら少し歩いているとやがてゴランノスが4体、樹上にいるのを発見した。依頼では5体ほど素材が欲しいというものだったのでちょうどいいだろう。頭はいるものだったのかいらないから破壊したのかは私は把握していない。多分大丈夫だろう。


 「ミリアに教えるべきことは大体教えたし、もうすぐに依頼を終わらせてミリアの装備とか整えた方がいいかしら。それに昨日エルドレに着いたんでしょう?色々案内したいし」

 「そうですね。ミーちゃんに似合いそうなお洋服を見繕うのも良いかもしれません」

 「そのまえに~、おひるごはんみんなでたべよ~」

 「わ、私も、ミリア様ともっとお話ししたいです」


 そんなことを聞いて浮かんだ感想は、そういえばこの街はエルドレというのだった、というものであった。ともかく昼食は大切だし、装備も整えるべきだというのはわかったものの、着せ替え人形も多対一のコミュニケーションもこちらとしてはお断りしたいものである。しかしこれから金銭面での補助をしてもらうという形になるにも関わらず、ぞんざいな態度をとってしまうのはあまりにもひどい。今後とも良好な関係性を維持するためにはどのような苦痛も甘んじて受けようではないか。別にそこまで嫌というわけでもないが、あくまでも相手の意思を尊重しての許容であることをゆめゆめ忘れるのではないぞ。とはいえ相手の好意的な接触をこんな態度で、こんな心持ちで受動するのは失礼だしあまりにも自分勝手ではなかろうか。ではどうしたら良いというのだろう。そうだな。とにかくあまり何も考えないであるがままの心でいるしかないだろう。ここらで話を戻すと、結論として依頼を早めに片付けてしまおうということだったな。


 「では私が全てお片付けして参りますね」

 「それが早いけれどいつも悪いわね」

 「いえ、パーティーに入れてもらってるのですからこの位のことはお任せ下さい」

 「うーん、そういうことじゃないんだけどな」


 摂理が名乗りをあげて、花火が申し訳なさそうに謝る。摂理は張り切っていて、花火の感情には気が付かなかった。ともあれ摂理が樹上にいるゴランノスへと近づいていく。その歩みは穏やかで、とてもこれから4体のモンスターを殺すようには見えない。十分接近したところで、樹上を視界に収めた摂理が言葉を紡ぐ。


 「落ちろ」


 その呪いは乱暴に、ゴランノスたちを地面へと落下させる。




 言ノ葉摂理は呪術師である。呪いというのは能力(スキル)とは違う規則で存在するものであり、彼女の祖先が編み出して伝えられてきた血族特性とでもいうべきものだ。ある見方をするならば固有能力(ユニークスキル)とも呼ぶことができるかもしれないそれは、粗雑に情報を加えてしまえる。彼女の呪いの対象は視界に収めた敵と認めるものであるが、言葉の対象はこの世界の記録である。本来こんな呪いにはとてつもない代償があろうものだが、呪いを唱えた摂理に何らかの負荷がかかっているような様子はまるで無い。では代償はどう支払われているというのか。それは既に能力として摂理に与えられることによって支払われていた。


 呪いの代償は自らへの不利益として降りかかる場合が多いだろう。しかし摂理は呪いの力を手に入れると同時に、能力も与えられた。摂理が失ったものは無く、扱える力が増えた。呪いの代償として与えられたその能力は世界を破壊しうるものであった。禁忌の能力〈情報感染(キリハリ)〉。これは触れたものの情報を記録しておき、別の触れたものをその情報に書き換える。この能力によって言ノ葉摂理は世界にとっての爆弾となった。そして世界は爆弾を放っておくわけにはいかず、言ノ葉摂理の排除を目指すのだ。呪いの代償は世界の敵となることだった。

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