18話 白い光の中で
貴族ではないという身の潔白をする術を今のところは持ち合わせていないのだが、とりあえずは話し合いによる解決を望むとしよう。貴族という存在はどこにいても私に面倒な思いをさせてくるようだ。実際に貴族が
原因となって人が迷惑を被っているなんてことはざらに起こっていることだろう。もはや公害なのではないだろうか。とはいえ国王から与えられた領地を治めているのは大抵貴族であって、その点に関してはご苦労様ですと言う他ない。しかしながら社会のサイクルなんかが作られたことで発生したウイルスではあるだろう。殆どが悪性であっていつか滅びが訪れる。善性があっても悪性が多いために殺されてしまいがちなのだろう。とにかく、貴族というだけだけでその人物には全く関係のないようなこじつけを押し付けたり、悪だと思い込むのは最終的には人を人を傷つけて自らの価値も貶めているという結果になることもある。要するに人間の攻撃性というのは己を蝕む毒でもあり触れるもの皆傷つけるいわば塩酸のようだということである。意味のわからない話の帰結をしてしまったが、こんなことはどうでもいい。私は貴族ではないということを言いたかったのだった。
その後ギリーから様々なことを質問、確認されて、ようやく私が貴族ではなさそうだということを認めてくれた。しかし。
「なるほどミリアが貴族ではないということは認めよう。しかしな冒険者には登録できないぞ」
何故だ。
「どうして?」
私がさも不思議そうに首を傾げて尋ねると、ギリーはさも当たり前のことだと言わんばかりの態度で言った。
「どうしてってそりゃ、冒険者登録は15歳にならないとできないからさ。残念だったなミリア。ま、あと5年も経てば登録できるんだ。その時は歓迎しよう」
どうやらギリーの目は節穴で私の年齢もわからないらしい。やれやれ困ったものだな。それにしてもあと5年だと?私が10歳程度にしか見られていなかったというのか?やるせないな。そもそも年齢によってできないという仕事もあるが、年齢という枠組みだけで切り捨てるのはおかしいと思う。それは出来ても出来ないという環境に繋がっている。ともあれ真実を告げよう。
「私16歳だよ?」
私は誠に不本意ながらほんの少しの怒りという感情を言葉と共に態度で表した。これによって真実味が増す。人間が相手から情報を得る時に顔から大半を仕入れるという。それは言葉に嘘がないかも多少わかるだろう。
「いやいや、えっ、まさか本当に?10歳じゃないの?」
本当そうだと感じたのかギリーが再度聞いてくる。それにしても10歳はないだろう。ともあれ私は本当に自分が16歳であることを説明した。
「にわかには信じ難いが。仕方がない。冒険者登録させてやろう。ただし15歳未満だったら剥奪させてもらうがな。それでもいいか?」
私はうむと頷いて了承する。ギリーは部屋を出て私を手招く。
「じゃあこっちで登録するからついてこい」
ついていくと、その部屋には何やらいくつかの小さな水晶が埋め込まれた石板が鎮座していた。
「これに手を置いてくれれば15歳以上なら光ってカードが出てくる。15歳未満だと何も起きないがいいのか?」
しつこいギリーは無視して、私は石板に手を置いた。すると石板は正しく光りだした。が、その光量は段々と増していく。
「な、なんて光の量だ!!くっ!目がっ、目がぁ!!ァァァァアア!!!!」
ギリーは目を抑えて叫んでいた。次第に光量が収まっていき、やがてどこからかカードが出てきた。
ほどなくして落ち着いたギリーに連れられギルマス部屋に戻る。まだ何も書かれていないカードに名前を入れたり、色々説明をするそうだ。カードに何も書かれていないとはいえ、情報は詰まっているらしく、念じれば様々な情報がカードの所有者だけに閲覧できるらしい。
ギリーによって冒険者の基本的なルールやら仕組みやらの説明を受ける。そしてカードに刻む名前を尋ねられた。
「偽名で活動する人もいるんだがミリアはどうする?」
「ミリアでいい」
「そうか。んじゃ、ミ、リ、ア、っと。よしできたぞ~。これでミリアも冒険者だ。よろしくな」
ギリーが何やら不思議な道具で名前を書き入れると、カードが光った。文字は書き終われば統一されたものに変わるらしく、カードにある名前は綺麗に揃えられている。別にギリーの文字が汚かったというわけではないが。ともあれこれで私も冒険者である。早速明日からお金を稼ぐとしよう。今日はお祭りを見て回らなければならないからな。
ミリアはギリーに連れられカウンターの所まで来た。集まる注目、ざわつく冒険者。ギリーが睨みをきかせるとサッと目を逸らしひそひそと話し出す冒険者たち。それにしても意外と女性の冒険者もいるようだ。ミリアはギリーと受付のお姉さんにお礼を言ってギルドから出ていく。
街には未だ人々の荒波が形成されていることかと思ったが、朝の部かなんかは終わったのか、あまり人通りはないようであった。では街を散策でもしようか。




